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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第1章 名もなき島 編
9/75

ブロンズチェンジー!

「話が奴隷講義になっちゃったわね・・・私はその勇者の志願奴隷だったの。」

「そうだったんですか」

「ええ。でも魔王との戦争で私を庇って死んじゃったの」


シャイナのお母さんが転生した人か。確か魔王に殺されたって言ってたな・・・。


「・・・すいません。何か嫌な事思いださせて」

「いいのよ。もう昔の事だし気にしないで。それに私はあの人の事を忘れた日はないわ。あそこに飾ってある剣があるでしょう?」


サーシャが指をさした方を見ると、唯一額縁に飾ってある剣がある。いかにも聖剣といった感じだ。


「あれは、あの人が使っていた剣なの。初めはそれしか飾っていなかったんだけど、なんとなくあの剣が寂しそうだったから友達を作ってあげたくて剣をいっぱい集めてたらいつの間にかこんなになっちゃった」


サーシャさんは本当にその勇者が好きだったんだな・・・


「・・・ごめんなさい。なんか湿っぽい話になったわね」

「いえいえ。とんでもないです・・・」


サーシャさんがしばらく黙りこんだ。

俺は何を話せばいいのだろう。


「あ!そういえば、初心者の頃あの人がよく言ってた事思い出したわ。転生者はギルドランクBにならないと死んだら虫になるとか・・・たしかあなたもそんな事言ってたわよね!?」


げっ!そっちいったか!ヤバイ!


「もしかして、あなたって勇者だったの!?」

「あ。いや違うんです。色々手違いがありまして・・・」


サーシャさんになら話しても大丈夫だろうと思って今までの経緯を話した。


「・・・・・という訳で俺は一般人として転生したんです」

「本当に?まぁ、ビッグタートルに手こずるぐらいだもんね・・・勇者って化け物みたいに強かったから」

「勇者ってそんなに強いんですか?」

「ええ。最上級の全属性魔法を覚えられる上に武技も全て覚えられる。固有スキルもあるしステータスも異常だったわ。何より普通の倍の早さでレベルアップしていくの」

「パネェっすね・・・」


そんなに強いのに魔王には勝てなかったのか。どんだけ強いの?魔王さん。


「じゃあ頑張ってね!ビッグタートル倒してきたら特別にご褒美あげる」

「え?マジっすか?頑張ります!」


あれ?これってもしかして聖剣使いリントの大冒険!へのフラグ?よっしゃあ!これで俺もプチチートだぜ!・・・いや、奴隷協会への推薦状かもしれないな。へへ。


そんな事を思いながらリントは武器屋に行って装備を整えた。そこでは片手剣ではなく槍を買った。片手剣では4mあるビッグタートルにはリーチ的に不利なのだ。


浜辺に行く途中リントはどうやってビッグタートルを倒すか考えていた。


==============================================

リント 21歳 男 人間

称号 :切り替えの早い男

レベル:11

ランク:F

職業 :水僧侶アクアプリースト

HP :55/55

MP :32/32

筋力 :33(+20)

耐久 :18(+25)

敏捷 :45

魔力 :43

運  :30

スキル:言霊ことだまレベル1 生物と意志疎通が出来る

水魔法:水治癒キュア泥水マッド

装備 :ロングスピアー

   :皮のマント

    :鎖かたびら

:皮のブーツ

お金 : 330リェン

==============================================


うーん。レベル11になったけどビッグタートル相手にはまだまだ攻撃力が足りそうにないな。攻撃魔法覚えるか・・・いや、ビッグタートルに水属性は効きそうにない。物理攻撃でいくしかない。出来れば水治癒キュアが持続している30秒で勝負を決めたいところだな。この防御力なら体当たり一発で瀕死にはならないだろうけど厳しいな


リントはそう思いながらスキル一覧を眺める。


「そうだ!武技だ!俺でも初級なら覚えれるはず・・・これだ!」


==============================================

闘気覚醒・・・・5秒間のみ攻撃力を倍にする。その間は1秒間につきHPを10%ずつ消費する。HPが60%未満の場合使用不可。

==============================================


「筋力じゃなくて攻撃力が倍ってことは武器にも補正が入って5秒間は攻撃力が106になるって事だよな。使用条件は厳しいけど俺の水治癒キュアと相性抜群だな。」


早速リントはギルド証を使って武技を覚え浜辺に向かった。


遠くから浜辺を見るとビッグタートルオスがいた。

もう時刻は夕方だ。ずっとそこにいたのだろうか。死んだビッグタートルメスを立ったまま見つめていた。


リントは覚悟を決めてビッグタートルの前に立った。

不意打ちをせずこの戦いは正々堂々と正面から戦いたかった。

リントに気づくとビッグタートルはすぐさま怒り狂いながら襲ってきた。


「グォォォォ!」


リントは紙一重で体当たり回避。躱しつつ手足に槍で攻撃!効いている。多少だがダメージは通る。

躱す➡攻撃➡躱す➡攻撃を繰り返す。

しかし槍を使うと敏捷が落ちる為、ついにビッグタートルの右フックがリント横腹に当たる!


「ぐぁぁ!」


リントは吹っ飛びながら浜辺の大きな岩に直撃した。


ハァハァ。水治癒キュアのおかげでまだHPは60%あるな・・・よし!


ビッグタートルは止めを刺そうとすかさずリントに体当たりしてきた。


泥水マッド!」


リントは目の前に泥水を作りだし横に回避。ビッグタートルは不意を突かれ泥水ですべって大きな岩に激突!しかし、ビッグタートルはすぐに甲羅に隠れて衝撃を防いだ。


「待ってたぜ!この時を!!闘気覚醒!!!」


武技はイメージするだけで発動するがちょっと言ってみたかった。

こういうのは気分だよな。


「うぉぉぉぉぉ!」


ピンク色の闘気に身を包みながら甲羅の穴を目掛けて槍を突き刺した!

身を突き刺す感触が手に伝わる。


「グゥォォォォ!」


無念の雄叫びが辺りに響き渡るとビッグタートルは絶命した。


「ハァハァ。悪いな。俺も生きていくために必死なんだ・・・」


リントは手で十字を切った。この世界でこれが弔いになるのかは分からない。しかし自分への戒めも含め、魔物を倒した時は十字を切る事にしたのだ。


リントはドロップアイテムと剣を回収し満身創痍でヴェネの町に戻った。

町に着くと時刻はもう夜だった。


冒険者ギルドにはまだ明かりが付いていたので立ち寄る事にした。


「おっかえりなさ~い。リントさん~!」

「ただいまー」


マリーの声を聞くと不思議と元気がでるな。


「遅くにごめんね。明かりが付いてるから開いてると思って」

「本当はもう閉店ですけどサーシャさんが必ずビッグタートルを倒して帰って来るって言ってたから待ってました~!」

「そうだったのか。ごめんね。急いで帰れば良かったな」


そう言うと、リントはマリーにギルド証を渡す。


「いえいえ~。気にしないで下さい~。でもすごいですね~!ソロでビッグタートルを倒しちゃうなんて~!さすがはリントさんです~!」

「いやいや、たまたま運が良かっただけだよ」

「またまた~。それに運も実力のウチですよ~。クエスト報酬は振り込んでおきますね~」


マリーはリントにギルド証を返した。


「じゃあ、早速ランクアップしちゃいましょ~!ギルド証を手に持ってブロンズカードをイメージして下さい~!」

「え?ブロンズカードのイメージってどゆこと?」

「茶色のカードになれ~!とかで良いんですよ~!こんなのは適当でオッケーです~」

「そ、そうなの?」


俺はギルド証を手に取ると茶色のカードになれー。と祈った。

するとマリーが詠唱?を始めた。


「・・・幾千なる数多の英霊たちよ。我が古の盟約により彼の者に力を与えん!奥義!ブロンズチェンジー!!」


すると何故かタイミングよくギルドカードが光に包まれ、白かったノーマルカードは茶色のブロンズカードになった。


「マリー・・・奥義とか言っちゃてるんだけど、それっていつも事前に考えてるの?」

「いえ!思いつきです!」

「あぁ。そぅ・・・」

「まぁそんなことよりブロンズカードになるとアイテムの重量制限が30kgまで増え、1度訪れた場所のマッピング機能が追加されますよ~。これで方向音痴のリントさんも安心ですね~」


別に方向音痴ではないんだが・・・。


「リントさん~。明日もクエストに挑戦するんですか~?」

「一応そのつもりだけど、どうしたの?」

「マリーは明日休みなのです。リントさんに会えないから寂しいのです・・・」


ん?・・・・・えーーー?ここでまさかのモテフラグ!?


「あ。じゃあ、休みなら一緒に昼飯でも食べるか?ここの近くに美味しい店があるって武器屋のおっさんが言ってたんだけど」

「マリーは休みの日は外に出れないのです・・・・」


マリーは黒い瞳を潤せながら言った。

え?なんでだ?・・・そういえばマリーの首にしてる物って・・・魔導器!?


「あ。そうなんだ・・・じゃ、じゃあ明日は俺も一日休もうかな。冒険者になって一日も休んでないしな。ハハハ・・・」

「ほ、ほんとうですか~!?やった~!リントさんのEランク初クエストはマリーが受け付けるのです~~!」


マリーはいつもの表情に戻った。

やはりマリーは笑った顔の方が可愛い。


「お、おう!よろしくな!」



俺はマリーの事を考えながら宿に帰った。

夜は遅かったがサーシャさんが受付で俺の帰りを待っていてくれた。


「おめでとう。リント。あなたなら乗り越えられると思ったわ。あなたは力だけでなく心も強くなったはずよ。その気持ちを忘れないでね」

「ありがとうございます!サーシャさんのおかげです!これからもみんなの力になります!」

「フフ。頼もしいのね。ご褒美は明日渡すから今日はご飯食べてもう寝なさい」

「はい!おやすみなさい!」


・・・リントはベッドに倒れこむ。


ふぅ・・・サーシャさんのご褒美ってなんだろう?渡すって言ってたから、「お姉さんが教えてア・ゲ・ル!」的な事は・・・・ないか!・・・それにしても今日は色々な事がありすぎて、頭パンクしそうだな。まさかマリーが志願奴隷だったなんて。知らなかった事とはいえ、ご飯に誘うなんて最低な事をしてしまった。マリーはなんで志願奴隷になったんだろ。てかマリーは絶対俺が買う!間違いなく買う!死んでも買う!・・・いくらぐらいするんだろなー。相場とか全然聞いてなかったからなー。明日こっそり奴隷協会に行って聞いてみるか。マテマテ・・・そもそも俺が買うって言ったら了解してくれんのか?急にモテフラグキターー!って勝手に舞い上がってない?俺?・・・はぁ~疲れた~。てかステータスの称号が、切り替えの早い男とかになってなかったか?めっちゃスルーしたけど。なにあれ?誰がどうやってつけてんのあれ?そして称号でディスられてない俺?・・・ご褒美なんだろ?やっぱ聖剣くれるのかな?聖剣くれたら、プチチートになってじゃんじゃん稼げそうなんだけどなー。いや。それはないかー。大事にしてたもんなー。推薦状かなー。この際そっちでもいいけどなー・・・。


zzzzzzzzz


リントは都合の良い事を考えながら眠りについた。

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