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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第1章 名もなき島 編
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志願奴隷と罪人奴隷

「ど、奴隷ーーー!?」


俺は思わず叫んでしまった。


「ちょっと!声が大きいわよ!」

「すいません。でもそれってつまり・・・性奴隷ってやつですか?」

「ち、違うわよ!」


サーシャさんは頬を赤らめた。可愛い。


「そんないやらしいものじゃないわ!」

「すいません・・・でも奴隷ってあんまり良いイメージないもので。奴隷商人に攫われて無理矢理奴隷にされたり、親の借金の肩代わりに奴隷にされたり。そんで奴隷になった人は重労働をさせられたり、主人の慰み者にされたり」


俺はこの世界に奴隷がいるとは思ってなかった。

この町でそんな人を見かけた事がなかったからだ。


「王国が出来る前まではそんな感じだったみたいだけど、王国が出来てからは奴隷制度は変わったの」

「と言いますと?」

「記憶を無くしたって聞いてたけど、そんな事まで忘れてるのね・・・奴隷になる人は犯罪者もしくは志願した人なの」

「志願?自ら奴隷に志願する人なんているんですか?」

「いるわ。例えば魔物に親を殺されて孤児になった子供。職に就けず冒険者にもなれない人。借金地獄でどうにもならなくなった人。そういった人は奴隷協会に志願して保護して貰うの」

「保護?」

「そう。奴隷協会に住むことにはなるけど志願奴隷になれば衣食住は約束されるし、借金も肩代わりしてくれるの」

「ずいぶんと太っ腹ですね」

「ええ。奴隷協会の財政は4王国の税金によって賄っているから問題ないわ。でも志願奴隷になるには一応審査があるの。自分で作った借金を返したいからって志願奴隷にはなれないわ。税金の無駄使いだもの」

「へぇ」


俺が思ってたのとすいぶんイメージが違うな。


「ただし!志願奴隷に自由はないわ。自由に使えるお金はないし、魔導器を首に付けられて行動を制限されるの。奴隷協会の指示に逆らえば魔導器から激痛が走るわ」

「奴隷協会の指示って?」

「仕事よ。志願奴隷の仕事は奴隷協会が指定するの。様々な種類があるけど志願奴隷のほとんどは公的機関の仕事に就くの。例えば町の塀を補修したり国の特産物を作ったり、ギルドの手伝いだったりするわ。仕事が休みの日は、奴隷協会の檻に入れられて買ってくれる主人を待つの」

「なるほど・・・1度志願したら買われない限り奴隷協会からは抜けられないんですか?」

「孤児だった子は誰にも買われないまま16歳になると大人と認められて奴隷協会から解放されるわ。そこからは1人で生きていくの。それ以外の人は何か問題を起こすか、主人に買われない限り基本的に志願奴隷のままよ」


自分で志願してるんだから当然と言えば当然か。


「誰でも志願奴隷は買えるんですか?」

「いいえ。志願奴隷を買う場合は審査があるの」

「そ、そうなんですか・・・」


審査か・・・。俺じゃ無理だろうな。


「フフ。残念そうね。志願奴隷にも人権はあるの。血気盛んな青年が若くて可愛い女の子を買ったら、やることは決まっているもの。それに志願奴隷は主人を選ぶ権利があるわ。いくらお金をつぎ込んでも志願奴隷が拒否すればその子は買えない仕組みになっているの」

「ちょ!俺が女の子を買って慰み者にしようとしているみたいな言い方じゃないですか!」

「あら?違ったの?」


サーシャさんは意地悪な顔で恍けてくる。

この人・・・Sだな。


「違います!そりゃちょっとは期待しましたけどね。ちょっとは・・・でも無理矢理とかは嫌です。はい」

「フフ。でも私が推薦状を書いたら買えるわよ。しかも格安で!もちろん志願奴隷の了承はいるけどね」

「ええ!マジっすか!?か、書いてくれるんですか!?」


マジで!?


「え?書かないわよ」

「書かんのんかーい!」


じゃあ何で推薦状の話を・・・。

サーシャさんはドS確定だな。


「そりゃそうよ。志願奴隷を買うって事は、その奴隷を養う義務が生じるの。今のあなたに養える?ギルドランクFのあなたに」

「む、無理です・・・」

「でしょ?それに買ったとしても無理に慰み者にしようものならその主人は捕まるわ」

「いや・・・ですから・・・そんな事しませんって・・・」

「ふ~ん?」


サーシャさんが疑念の眼差しを向けてくる。


「でも分かるものなんですか?黙っていれば分からないような気もするんですが・・・」

「たしかにそうね。奴隷は契約を交わすと魔導器によって主人に危害は加えられないようになるから」

「じゃあ?」

「でも分かるわ。初めて志願奴隷を買う時は契約金を10日分程、奴隷協会に払って主従契約するの。契約を交わして10日経つと志願奴隷と一緒に協会に行って契約の更新を行わないといけないわ。そこで主人と志願奴隷に契約を続行するかどうかを聞くのよ。無理に慰み者になんてしたらすぐにバレて罪に問われるわ。奴隷が嘘をついているとも考えられるけど、そこで奴隷が嘘をつくメリットはないわ。その主人が嫌なら契約を解除すれば良いだけだもの。それを面白がる奴隷だったとしても、それはその奴隷を選んだ主人の責任よ。でもまぁ、そんな志願奴隷がいたらすぐに噂になるから誰も買わないけどね」


奴隷選びは慎重にしないとな。

買えないけど・・・。


「主人と志願奴隷が同意して契約続行なら次は20日その次は40日その次は80日と徐々に期間が延びて行くわ。でも孤児だった子は16歳になると奴隷契約は自動的に解除されるの。まぁ、ほとんどはそのまま主人に仕えるけどね」

「なるほど・・・再契約に遅れた場合どうなるんですか?」

「多少なら大丈夫だけどあまりに遅い場合は指名手配されるわ。何か特別な理由でもない限りその人は罪に問われて2度と志願奴隷を買う事は出来なくなるの」

「志願奴隷が死亡した場合は?」

「罪に問われるかどうかはその時次第ね。でも2度と志願奴隷は買えないわ」


へぇー。上手く出来てんなぁ~。


「・・・犯罪者の奴隷についても聞いていいですか?」

「罪人奴隷は重い罪を犯した囚人がなるの。売れない罪人奴隷は魔導器の人体実験や危険なダンジョンの探索とかをさせられているみたいよ。主に王国内にしか収容されていないから地方で見る事はあまりないわね」

「じ、人体実験・・・・」

「人体実験されるような罪人奴隷は死刑囚よ。死刑囚なんてのは極悪人しかいないから」

「そうですよね・・・罪人奴隷は誰でも買えるんですか?」

「その罪人奴隷の親族以外の人なら買えるわ。罪人奴隷に主人を選ぶ権利はないの。罪人奴隷は志願奴隷の100倍の値段はするけどね・・・あとはリントの想像通りよ」

「と言いますと?」

「・・・分からないの?私みたいな超絶美少女が罪人奴隷だったらすぐに売り切れて金持ちのおもちゃにされるって事よ!」

「な、なるほど・・・」


確かに見た目は20歳ぐらいで凄くキレイだけど超絶美少女って・・・最低でも60歳は超えてるよな?サーシャさんっていったい何歳なんだ?


と疑問に思ったがサーシャさんが怖いので歳を聞くのはやめた。

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