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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第2章 強欲の塔 編
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拉致

前回のあらすじ

リントがヴァンガードの狩りの様子を見ているとふいに後ろから声をかけられた。

振り向くと昨日ビラを受け取ってくれた女性が立っていた。


「あ・・・あの時の」

「ウフ。今度は覚えてくれていたみたいね」


女性が微笑みながら手を上げると見覚えのある傀儡が10人ぐらい俺とおっさんを囲んでいた。

ん?こいつは・・・この瞳は・・・。


「おっさん!」

「ほえ?」


ほえ?じゃねぇよ!気づけよ!俺もクピスとリンクしてたとは言え全然気づかなかったけど・・・。


「もう遅いわ。捉えなさい!」


女が号令を出すと一斉に傀儡が襲ってきた。俺は傀儡をくぐり抜けておっさんの近くまで退避。

おっさんに運命天秤デスケルをかける。


「おっさん逃げろ!」


俺1人なら逃げれそうだがおっさんがいると無理そうだ。


「じゃ、じゃがリント殿・・・」

「あいつはたぶん俺狙いだ。おっさんが一緒に捕まる必要はない。それに捉えろって事はすぐには殺されないだろ」

「しかし・・・」

「良いから行け!サーシャさんに伝えて貰った方が助かる!」

「むぅ・・・分かった!」


おっさんは傀儡の隙を見て走り出す。


「逃すな!」


女が叫ぶと傀儡達は一斉におっさんに飛びかかる。このままでは捕まりそうだ。

俺は運命天秤デスケルに賭けてみた。


闇渦潮ダークウェイブ!」


魔力を思いっきり込めておっさんを中心に黒い渦が発生。傀儡達とおっさんが飲み込まれる。


ガキィン!


俺がよそ見をしていると別の傀儡が遅いかかってきた。


「クッ!」


傀儡を鞘で受けると振動している剣で力任せに叩き斬る。


「ぐぁ」


傀儡を倒しておっさんの方を見ると姿が見えなかった。

運命天秤デスケルの効果か分からないがどうやら無事に渦から逃げ出せたらしい。

まさかこんな所でこの魔法を使うとは思わなかったけど。


「よそ見はダメよ」


女の声を聞いた時は既に遅かった。女が放った火の玉が直撃して俺は吹っ飛んだ。

傀儡達に受け止められると頭を掴みあげられ女と目線を合わせてしまう。


「しまっ・・・!」

「ウフ・・・」


女の青い瞳を見ると俺はだんだんと意識が無くなった。



ロロロロロロロロ



ピチャン。ピチャン。


水が落ちる音がする・・・ッ!頭が割れるように痛い。

目を開けると薄暗い部屋の中に取り巻きの傀儡と青い瞳の女が座っていた。

俺は両手両足を鎖に繋がれて身動きが取れない。


「あらぁ。目が覚めた?」


女は微笑みながら問いかけてきた。


「・・・何が目的だ?」


俺は睨みながら女に言った。


「聞きたい事があるの」

「聞きたい事?」

「そうよ・・・貴方。王女の事を知っているわね?」


・・・何だこいつ?ティルダを探してるのか?


「王女って・・・ランルージ王国のか?」


女は一瞬不機嫌そうな顔をする。


「・・・ええ」

「・・・見た事はないが名前は聞いた事がある」


俺がとぼけた返答をすると、女はため息をついて近くに置いてあるボタンみたいなのを押した。


「ぐぁぁぁぁぁ!」


激痛で一瞬何が起こったか分からなかった。体中を電撃が走ったらしい。

骨が焼けるとはこの事か・・・。


「そんな嘘が通じると思ってる?ダフィーネ・テイルは今どこなのかしら?」


一緒に住んでるのは知らないみたいだな。


「・・・知らない」

「いい度胸ね・・・」


女はボタンを押す。


「ぐっ!ぁぁぁ!」

「時間はたっぷりあるの。可愛がってあげるわ」

「ぐぁぁぁぁぁぁ!」


リントの叫び声が部屋に響き渡る。



ロロロロロロロロ



--ゴルタン 夜


オープンセールで大忙しだった皆はリビングで寛いでいた。

そこにバタバタと足音を立ててヴァンガードが飛び込んできた。


「大変じゃ~!リント殿が!リント殿が~!」


ヴァンガードの慌てぶりに皆は驚いた。


「落ち着いてヴァンガードさん。リント君がどうしたの?」

「そ、それが・・・ワシを逃がす為に捕まってしまったのじゃ」


えーーー!?

と皆が叫ぶ。


「捕まったとはどういう事だ?誰に捕まったんだ!?」


キキがヴァンガードに詰め寄った。


「分からん・・・じゃがリント殿は恐らく自分が狙われていると言っておった」

「自分が・・・?」


ヴァンガードは事の顛末を皆に話した。

するとここまで発言しなかったサーシャが口を開く。


「なるほど・・・クピス。リントの様子が分かる?」

「・・・リント。薄暗い部屋にいる。でもここが何処か分からない。青い目の女がいる」


サーシャは少し考えこむ。


「・・・青い目。その情報だけじゃ足りないわね。ギルド証も壊されているみたいだし・・・私が探してくるわ。皆はここで待機していて」

「え~!?リントさんが一大事なのに待ってなんかいられませんよ~!」

「どんな相手か分からないのよ?危険だわ!」

「サーシャさんごめんなさい。ルルは行きます!」


ルルはそう言うと屋敷を飛び出して行った。


「あ!待ちなさい!」


続いて他の皆も散り散りにリントの捜索に向かう。


「もぅ~!何かあったらすぐ連絡するのよ!!」


サーシャはそう叫ぶと駆け出していくティルダを水鞭ウィップで引き寄せた。


「サーシャ様!何を!?」

「アナタはダメ。リントが狙われてるって事はアナタ絡みの可能性が高いわ!」

「・・・しかし!妾も行かねば」

睡魔スリープ

「!!」


問答している時間がないと思ったサーシャはティルダを眠らせた。


「ロイゼ!この子を見張っておいて!絶対に屋敷から出さないで!」

「分かったわぁ。ロイちゃんが責任を持って見張っておくわぁ」


サーシャの魔法で眠らされたティルダはロイゼに抱えられて部屋のベッドに連れて行かれる。


「リント・・・無事でいて・・・」


サーシャは水晶を取り出すとゴルタンから飛び立って行った。

★ロイゼのひとりごと★

ロイちゃんも探しに行きたかったわぁ。

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