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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第2章 強欲の塔 編
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帰郷

読者の皆様からご意見を頂き、書き方を少し主人公視点に変更してみました。

違和感があれば教えて下さい。


前回のあらすじ

綺麗で有名なハズのラクゼ卿の娘は男?だった。


「んもぉ~。どうしちゃったのぉ?リントキュン~。そんなにロイちゃんの事見つめてぇ。はずかしぃ~い」


筋肉クネ男は勘違いをしている。いや、思い込んでいるのか。

リントは現実を受け入れられず、頭が動いていないだけだ。


「あらあら。リントさん。ロイゼの美貌に驚いて声も出ないみたいですわね?」


・・・この親はドヤ顔で何を言っているのだろうか。芸術が極まったらこうなるのか。

理解出来ない。いや、芸術もクソもその前にこいつ絶対男だろ!万能薬エリクサー返せ!

とは口が裂けても言えなかった。


「は・はは・・・」


アインとクピスの助けを求めて振り返る。

クピスは、?な顔をしていてあんまり分かってないようだ。

アインは興味深々と言った顔でこう言った。


「おじちゃん!何で化粧をしてるの!?僕もやってみたい!」


ナイス!良く言ったアイン!子供だから許されるその一言!

場が凍りつくかと思われたが違った。


「お嬢ちゃぁん。わ・た・しは女よぉ~。うふっ」


ダメだ!こいつメンタルも強い系の人だ!


「そうなの?ごめんなさい。でも僕も男だからね!」


アインも認めちゃったよ!もうダメだ!帰ろう!我が家へ帰ろう!


「じゃあ、おあいこねっ!うふっ。お化粧してみる?」

「やったー!」


筋肉クネ男が気持ち悪く腰を振っている。

なぜ腰を振るんだ。こういう人は。


「ロイゼ。リントさん達は疲れておいでです。今日は泊まってもらって明日にでもしなさい」

「んもぉ~。お母様ったらぁ。分かったわょ~。お嬢ちゃぁん。明日になったら化粧してあ・げ・る」

「うん!」


泊まることになってしまった。でも今日はもう遅いししょうがない。

貴族の夕食とやらをご馳走になって寝よう・・・。


夕食は一言で言えば豪華だった。そりゃそうか。名前は分からないが見た事もない魚や肉の料理。

クピスは大好物の魚をとても美味しそうに食べていた。ちょっと食べ方が雑だけど、そんなところもまた可愛かったりして。そして特に肉が美味かった。マリーにも食べさせてあげたかったなぁと思いながらもアインとたらふく食べた。

でもルターニュ家の屋敷には志願奴隷らしき従者がチラホラいたからやっぱり来ないで正解だったかな。


お風呂も入らせて貰った。1部屋に1つお風呂があるなんてさすが貴族様だ。久しぶりのシャワー以外の入浴で疲れが取れた気がした。途中で筋肉クネ男に、お背中流しましょうかぁ?とか言われなければもっと良かったんだけど・・・。早く皆で露店風呂に入りたい。


ルターニュの転移門の使用許可も貰ったし折角だから明日はサーシャさんに会いに行こう・・・。



--次の日


筋肉クネ男に夜這いされるんじゃないかと警戒していたがそれは杞憂に終わった。流石にそれはないか。一応恩人だしね。

豪華な朝食を済ませるとアインはロイゼに化粧をしてもらった。

・・・何というか変じゃないんだけど子供にさせるもんじゃないな。何もしなくても可愛いし。

本人は喜んでいたから良いけど。


アインの化粧が終わると別れを惜しむルターニュ一家にサヨナラして、早々に冒険者ギルドに向かう。


「ねぇねぇ。お兄ちゃん。サーシャさんってどんな人なの?」

「うーーーん・・・一言で言うのは難しいな」

「きれいなひと」

「・・・綺麗だけどキレたら怖い人・・・かな?」

「へぇー。でも英雄なんでしょ?」

「そうだな。英雄なんだけど良い子にしてないと、おっかない剣で斬りつけられるぞ?」


俺は冗談のつもりだったんだが


「う、うん。分かった。良い子にしてる」


アインは信じてしまったみたいだ。

まぁサーシャさんに会えば、本当は優しい人だって分かるだろう。


冒険者ギルドが見えて来た。さすが芸術の都市。ギルドカードを模した建物だ。

中に入ると普通だったが広い。ゴルタンほど大きくないが色んな種族が入り混じってかなり賑わっている。

どんなクエストがあるか気になったが転移門を探した。

受付によると転移門は大量の魔石を消費するため1人10万リェンするとの事だったが、今回はお嬢様?の恩人と言う事で特別にサービスしてもらった。

ギルドの奥にあるドアの中に入ると転移門らしき物があった。


「こ、これが転移門・・・」

「ひかってる」

「楽しそうだね!」


アインは呑気な事を言ってるが、これは少々怖い。

門って言うぐらいだから歩いて通るのかと思ってたけど、これは光る大きな穴だ。


「これに飛び込むんですか?」


ギルド職員に聞いてみた。


「そうですが。何か?」


あんた何言ってんの?って顔で淡々と答えられた。

そう言いながら職員が設置されてある魔導器らしき物を操作している。たぶんあれで行先を決めるんだろう。ここは覚悟を決めるしかない。


「準備出来ました。では飛び込んで下さい」

「お兄ちゃん。先行くねー!」


アインがそう言って楽しそうに飛び込んだ。スゲー。子供ってスゲーな。恐怖というものを知らないのか。

そんな事を考えてると、アインの体はみるみるうちに小さくなって消えた・・・。

怖えぇ!こんなの飛び込むんですか?


「りんと。だいじょぶ?」


不安そうな顔をしているとクピスに心配された。情けない。ここは漢を見せないとな。


「も、もちろん!行こう!」

「あい!」


そう言ってクピスと一緒に飛び込んだ。

落ちる。眩しくて目が開けられない。落ちる。落ちる・・・。

眩しい光がさらに増したかと思うと急に外に出た。


ドスン!


体に柔らかい衝撃が体に走る。クッションみたいな物にぶつかったみたいだ。

ん?手には何か違う感触が・・・


ムニムニ


「あっ・・・」


目を開けるとクピスが少し頬を赤らめていて、俺の手はクピスの果実を・・・


「あ!ごめん!ワザとじゃないんだ!」」


本当にワザとじゃない!パッと手を離す。


「んっ」


クピスは全然良いよ?みたいな顔をしていた。

そんな顔をされると俺の理性が持たないよ・・・。

あー。でもマリーやティルダがいなくて本当に良かった・・・。


「お兄ちゃん。何やってるの?早く行こうー」

「お、おうよ」


気を取り直して部屋の中を見ると天井に転移門があり、下に柔らかそうな素材で出来たマットらしき物が置いてあった。どうやらあそこから出て来たみたいだ。職員も誰もおらず、この部屋には何もないみたいだ。

着いたら勝手に外に出てね。って感じか。ドアを開けて外に出ると冒険者ギルドの裏に出た。


「綺麗な町だねー。あ!海が見える!」


アインは目を輝かせながらそう言った。

白を基調とした建物がズラリと並んでおり、遠目に海が見える。

バカンスにピッタリな町並だ。バカンスに来た訳じゃないけど。


「そうだろ?俺の故郷と言っても良い所だからな」

「うん!僕、海って初めて見た!」

「そっか。ずっと山で暮らしてたからな」


アインにとってここ最近は初めての事だらけなんだろう。

俺よりこの世界で過ごした年月は長いけど、俺の方がこの世界の事を知っている気がしないでもないな。



--サーシャの宿


入り口付近に着くとリントは何だか嬉しいような恥ずかしいようなそんな気分になる。

リントが少し入るのを躊躇してるとアインが駆け出した。


バン!


そして勢いよくドアを開けた。


「たっだいまー!」


それ。俺のセリフ・・・。

そして怖がってたんじゃないのかアイン・・・。


「あらいらっしゃい。可愛い子ね。何処かで会ったかしら?」


宿の奥から聞こえてくるサーシャさんの懐かしい声。島を出てそんなに時間は経ってないけど・・・随分久しぶりな気がする。


リントは少し涙目になった。

前書きでも書きましたが

今までの方が良い。こっちの方が読みやすい。等あればご意見下さい。

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