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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第2章 強欲の塔 編
65/75

芸術とは他人には理解し難いものである

前回のあらすじ

ルターニュに向かう途中、何者かに襲撃された。

「行くぞ!」


リント達はすぐ馬車の外に飛び出した。


「ぐぁぁぁ!」


周りを見渡すとフードを被った山賊らしき者達と護衛の戦闘が始まっていた。

護衛の1人が火だるまになって叫んでいる。


「クソッ!クピス。防御旋律ディフェンス頼む!アインは火だるまになってる人の回復に専念してくれ!」

「あい!」

「分かったよ!」


乱戦なのでアインの回復魔法は敵も回復してしまう可能性があるが仕方ない。

クピスはドレスを着ているので不利な接近戦はさせられない。

リントは追い詰められている護衛の援護に向かう。


闇弾ダークボール!」


攻撃魔法を放ちつつ鍔競り合いをしているワクールの間に割って入る。

山賊にリントの闇弾ダークボールが直撃。


「ぐあぁ」


山賊が怯んでいる所を少しばかり躊躇したが首を刎ねた。


(魔物じゃないとかいってられないな)


「リント様。ありがとうございます」

「いえいえ。それよりも他の人の援護を!」


ワクールに指示を出すと、次に押し負けそうな護衛の援護に向かった。

1人。2人。3人と次々に敵の首を刎ねる。

3人目の首を刎ねた刹那、リントに向かって火球が飛んで来た。


水壁アクアウォール


バシュッ


リントにとってそれは避けれない事もなかったが、護衛が後ろに居たため魔法で相殺した。


「・・・あらぁ。今のを防ぐなんて。。いい男ね。。。」


声がする方を振り向くと黒いスリットが入ったローブを纏い、細い杖を持っている黒髪の女が立っていた。歳は20代半ばといったところだろうか、その声と長い髪も相まって妖艶な雰囲気を醸し出している。


「誰だ!?」

「あなたこそだぁれ?私の可愛い傀儡ちゃんを簡単に倒してしまうなんて」

「傀儡・・・?」

「ウフッ。あなたもすぐに傀儡にしてあげるわ」


女がリントの目を直視すると、リントは目が離せなくなってしまう。


(なんだ??この感覚。。。前にもあったような。。。)


リントは女の青い瞳に吸い込まれそうになり、意識が朦朧としてきた。


「りんと!」


クピスが叫ぶ。


「ハッ!俺。。。」


クピスの声で辛うじて意識を取り戻す。


「あらぁ。変わった目をしているのね。あなたも魔族なのかしら?」


そう言うと女はリントに直接触れようと近づいてきた。

しかし、リントはまだ頭がボーっとしていて反応出来ない。


「お兄ちゃん!」


アインは気円陣の中で叫び、女に目掛けて気を放つ。


ドンッ!


「きゃぁ。。」


女は反応しきれず、後方に飛ばされ木に直撃して倒れた。

すると女はゆるりと立ち上がったかと思うと杖をかがげた。


「・・・稲妻ライトニング


杖の先からアイン目掛けて稲妻が走る。


地龍の鱗(アーススケイル)!」


アインは大地の衣を身に纏い稲妻を防いだ。


「ウフッ。これは少し分が悪いわね。。。」


女はそう言うと魔石のような物を取り出し上空へ投げつけた。

弾けたそれは閃光弾の様に辺りを激しい光で包みこむ。


「ッ!!」


3秒程の出来事だったが、激しい光に包まれている間に女を見失ってしまう。

護衛と戦っていた傀儡もその場から消えていた。


「消えてる・・・」


不思議な出来事だが何故か死体も消えていた。

消えた理由は分からないが、取りあえず怪我人を治療する事にした。

火傷の酷い者は完全には回復出来なかったが、幸いにもこの戦いで死者は出なかった。


「リント様。護衛の我々が足手まといになってしまい、申し訳ありません」

「いやいや。死人が出なくて良かったです。。。でも奴等はなんだったんですかね?」

「分かりません。。。しかし、ただの山賊とは思えません」

「あのローブの人。”あなたも魔族なのかしら?”って言ってたよ」

「え?」


(魔族だって?どういう事だ?魔王がついに動き出したのか?・・・それにしては小規模過ぎる。積み荷が目的?・・・いや、特別な物はないはずだ。俺が目的でもなさそうだし。。。分からん。。。)


「ばしゃこわれたね」


クピスが灰となった馬車を指さした。


「ん?あぁ。そうだな。。。ワクールさん。怪我人を馬車に乗せて先に連れていってあげて下さい」

「なんと。。。申し訳ありません。。。ありがとうございます。ですが私はリント様と参ります」


護衛達を先にルターニュに向かわせて、リント達とワクールは徒歩でルターニュを目指す。

街道は魔除けの魔導器が設置してあるので魔物にでくわす事はなかった。




--ルターニュ近郊


予定では夕方に着く筈だったが辺りはすっかり暗くなっていた。

街道の丘を登ると遠目に光が点滅しているのが視える。


「きれい」

「ん?・・・おー!」


遠目に視えるそれは塀に囲まれている一般的な都市だったが、塀全体に小さな灯りが複数点滅しているのが分かる。


「あれが芸術の都市ルターニュです。夜は魔石が光り美しく、昼は塀全体が壁画となっていて美しい。こんな都市は世界中探してもここだけです」

「すごいね!お兄ちゃん!」


アインは目をキラキラさせて楽しそうだ。


「あぁ。何かクリスマスみたいだな」

「くすります?なにそれー?」

「あ。。。いや。また今度ゆっくり教える」

「えー?」


リントは生前の記憶を思いだし少し切なくなる。

日本の記憶を共有し分かち合う人物はいないのだ。


「でも、すごく楽しい事だから今度やろう」

「うん!」


門に辿り着くと衛兵らしき人物がゾロゾロと近寄ってきた。


「ご苦労様です!ワクール様!」

「うむ。客人を旦那様の所へ案内してくれ」

「ハッ!」


隊長らしき衛兵は背筋を立ててピシッっと敬礼した。


(ワクールさんってやっぱり偉い人なんだな。腰がもの凄い低いからよく分からんかったけど)


「リント様。私は怪我をした部下の様子を見に行きたいと思うのですがよろしいですか?」


ワクールはとても申し訳なさそうに聞いた。


「もちろんです。早く行ってあげて下さい」

「ありがとうございます。では」


ワクールと別れて衛兵達とラクゼ卿の屋敷に向かう。


門をくぐると都市の中は魔石の光で明るく、日本の建築法ではまず立てられない歪な建物で溢れかえっていた。フルーツを模した建物や、楽器の建物、家が何棟も積み重なった建物。まさに”アート”といった感じだ。


「わぁ~」


クピスは宝石を見つけた女の子のような表情だ。

ドレスを着ている為か、より一層可愛らしく見える。


「すごいね!お兄ちゃん!」

「あぁ。どうやって建ててるんだろうな」


そんな事を話しながら都市の中を15分程歩くと衛兵が立ち止まった。


「こちらになります」


衛兵が手を添えた先の建物は都市の中で一番大きいが、至って普通の屋敷だった。


(敢えて普通にして逆にアートです的な?)


リントがそんな事を考えていると、衛兵隊長が少し難しい顔をして話かけてきた。


「リント様。領主様はとても饒舌な方なので少し聞き取りにくいかもしれませんが、悪気はないのでお許し下さい」

「あ。はい。」


玄関の中に入ると芸術?的な壁画が沢山かざってあるだけで、それ以外は普通だった。


「領主様!リント様をお連れして参りました!」


衛兵隊長が呼ぶと中央の扉から恰幅の良い40歳ぐらいの人間の男が出て来た。

何故か民族衣装の様な物を着ている。


「あなたがリント殿ですか!お待ちしておりました!わたくしランルージ王国東のルターニュ地方を領地しております、ラクゼ・ルターニュと申します。この度は貴重な品を我が娘に為にありがとうございます。それに山賊に襲われたワクールの部下も助けて下さったとか。リント殿には感謝しきれません。どうです?このルターニュは?気に入って頂けましたかな?リント殿がよろしければ我が一族になりませぬか?娘が是非リント殿を婿にと言っておるのです。ハハハ。気が早いですな。まだ会ってもいないのに。歳は取りたくないものです。そう言えばどうやってあの品を手に入れたのですか?わたくしが大陸中を駆けずり回ってもあのような品は見つけれませんでした。そのような時にワイバーン亜種の目撃情報が出て、これは女神の思し召しかと思いました。しかしそれ以上の結果をリント殿が持ってきてくれました。ありがとうございます。わたくしに出来る事ならなんなりとお申し付け下さい。報酬は七色薔薇セブンローズとお金でしたが、まだまだ沢山お礼がしたいのです」


通常の倍ぐらいの速さで喋るラクゼ卿。

リントは圧倒された。


「は、はい」


(聞きとれん。。。。)


しかし、唯一聞き取れた言葉があった。

娘が自分を婿にしてくれと言っているようだ。


(サラの話によると、綺麗で有名って事だったよな。。。)


どんなに綺麗とは言えこの家の婿になる訳にはいかなかったがリントは心が躍っていた。


「貴方。客人をいつまでもここに立たせておく訳にはいきません。客間に案内しましょう」


いつの間にか領主の後ろに居た婦人らしき人物がラクゼに促した。

歳は40歳ぐらいだろうか。こちらも民族衣装なような物を着ているが常識人なようだ。


(美人だ。。。美魔女ってやつ?これは娘に期待大!)


「おお。いたのかローレシア。紹介せんとな。リント殿。これは我が妻ローレシア。ローレシアとは幼馴染でしてな。何度もアタックしたんですが、なかなか振り向いてくれず苦労しました。そう言えばリント殿の後ろに居るお方はもしやリント殿のご婦人とそのお子様なのですか?いやはやこれは困った。我が娘になんと言おう。そうだ!いっそのこと第2夫人でも良い!迷惑はかけません。是非とも我が・・・」

「貴方!!!!」


ラクゼ卿の話をローレシア夫人が遮る。

流石のラクゼ卿も観念したのか押し黙り、リント達は客間に案内された。


(こりゃあ奥さん苦労しそうだな。俺だったら耐えられん。。。)


「改めましてリント様。わたくし、ラクゼの本妻。ローレシア・ルターニュと申します」

「初めまして。リントです」


(本妻とかあるのか。。。そりゃあるか。。。第2夫人とか言ってたしな)


「主人が話すと長くなるのでわたくしがお話させて頂きますね」

「お、お願いします」


ローレシア夫人に話では万能薬エリクサーのお礼に報酬額の5倍(250万リェン)と転移門の使用許可。七色薔薇セブンローズの無期限発送との事だった。七色薔薇セブンローズはルターニュ地方の高原地帯が産地らしい。少数しか採れない為、商用で使う事は禁じられたが無くなったら輸送してくれるらしい。


「ご満足頂けそうですか?」

「ありがとうございます!こんなに良くして貰って言葉もありません」

「良かった。。。ところでリントさん。娘に会って下さいますか?今は元気になったから絵画を描いてる所だと思うのですが。。。」

「あ、はい!」


(キタキタキター!)


リントは心を躍らせながらローレシア夫人に連れられて娘の部屋に向かう。

向かった先の部屋の前には夫妻と同じ様な民族衣装のを着た筋肉ムキムキな男が立っていた。

芸術の都市ならではなのか、厳つい顔なのに少し化粧をしているような気がした。


(護衛の人かな?それにしてもこの民族衣装は何なんだろ?流行ってんのか?)


「あらロイゼ。こんな所にいたの」

「お母様ぁ。この人がリントキュン?」

「ええ。そうよ。あなたの恩人」


(ん?お母様?って言った?)


ロイゼは腰をクネクネさせながらリントを見つめている。


「紹介します。娘のロイゼです」


ローレシア夫人は腰クネクネ男を見ながらそう言った。


「・・・・・え”!?」


言葉にならない言葉が辺りに木霊し、リントは思考が停止した。

★サーシャ先生の補足授業★

・・・・ある意味芸術ね。

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