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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第2章 強欲の塔 編
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古代龍と獣耳

前回のあらすじ

赤龍がルルをよこせと言ってきた。

「聞こえなかったか?ルルをよこせと言っている」


赤龍はまたも殺意を持った目つきでリントを睨みつける。


(・・・どうする?こいつにはどう考えても勝てない。。。。それによこせって言われてもな。。。俺の物じゃないし。。。イチかバチか運命天秤デスケルをこいつに使ってみるか?いや。運が悪くなったところで俺が敵う訳がない。。。良くて相打ちか?でも俺が死んだらクピスまで。。。)


リントが険しい顔つきで思考を巡らせる。


「・・・・・・ククッ。ガハハハハ。気に入った!」

「!?」


赤龍は突然笑い出した。


「小僧。冗談だ。。。」

「え?」

「小僧を試してみたくなってな。アインを預けるのに相応しいかどうか」


リントは思考が停止する。

赤龍が何を言っているのか全く理解出来なかった。


「・・・・え!?」

「どう見ても勝てぬ相手に小僧は何とかして仲間を逃がそうとした。違うか?」

「・・・・いや、確かに相打ち覚悟でルルだけでも逃がそうとしました」

「ガハハ。その気概やよし!アインを託そう」

「え?」

「ん?拒否権があると思うのか?」

「いやいやいや。拒否とかじゃなくて。。。どういう事ですか?」

「・・・我はな。生きている事に疲れた」

「・・・・は?」

「そこでだ。。。我はアインに殺されたい」

「・・・・全然意味が分からないんですが」


(赤龍様はロリ属性ドMなんですか?)


赤龍の話をまとめるとこうだ。

生きている事に疲れた赤龍は自分の死に場所を探していた。

そんな時ふと森の中に捨てられている獣人(厳密にはエルフとの混血ハーフ)の赤子を見つけた。

いつもなら素通りするが、何故かその赤子の鳴き声を聞いていると放って置く事が出来なくなり拾ってしまう。子など育てた事がない赤龍だったが長年生きてきた知識を生かして何とか育てたらしい。


「そこまでは分かりました。でも殺されたいって言うのがイマイチ分からないんですが」

「我が育てた子に殺される。本望ではないか」


(分っかんねー!どういう事?何が本望なの?長年生きると頭おかしくなるのか?)


と、そんな事は言えるはずもなく


「な、なるほど。。。」

「今のアインでは我は殺せん。情も移っているだろうしな」


(いつまで経っても殺せない気がするけど。。。)


「そこでだ。小僧に託そうと言う訳だ」


(どこでだ?どこで託そうと言う訳なんだ?ワタシ。リュウゾク。リカイデキナイ。。。)


「はぁ。。イマイチ。。と言うか全然理解出来ないんですが。。。俺なんかじゃなくてもっと強い人とかにした方が良いんじゃ?。。。例えば勇者に託すとか。。」

「分かっておらんなぁ。強い奴の所に預けてどうする?それではアインの成長が遅くなる。逆に弱すぎてもダメだ。アインが危険な目に合う。それを考えると小僧が丁度良い。自分の命を投げ出しても仲間を思う気持ちがあるしな」

「それは。。。でもアイン君?の事も全然知らないしそんな簡単に命張れませんよ?」


(可愛いけど男だしな。。。)


「・・・アインは女だ」

「え?でもさっき自分で男って言ってましたよ?」

「ガハハ。それは我がそう言って育てた。その方が都合が良かったからな」

「・・・・」

「それにさっきも言ったが小僧に拒否権はない。アインを預からないと言えば。我。お前ら。皆殺し」


(オレオマエマルカジリ。。。)


「わ、分かりました。。。でも俺は良くても本人はそれで良いんですか?」

「うむ。友達が欲しいと言い出したのはアインだしな。我はしばらく眠るとか適当な理由をつけておけば良いだろう」

「・・・それで納得するんですかね?」

「ガハハ。大丈夫だ。以前も眠ると言って2年程アインの元を離れた事がある」

「え?何処かに預けたんですか?」

「いや。その時は修行だと言って山の中に1人置いてきた」


(スパルタどころじゃないな。。。)


「何歳の時に?大丈夫だったんですか?」

「7歳の時だ。大丈夫に決まっている。我が育てたからな」

「そ、そうですか。。。」


リントは少しも理解出来なかったが、拒否権もないのでアインを預かる事にした。


「話は決まったな!なに。5年もすればアインは我を殺せるだろう。龍魔術ドラゴニックマジックの基礎を全て叩き込んだからな。あとは自分なりに成長するだけだ。それまでアインを死なせるなよ?」


赤龍はまた殺気が籠った目でリントを睨みつけてきた。


「あ、はい!」

「また5年後に会おう!」

「あ!ちょっと待って下さい!」

「何だ?拒否権はないぞ?」

「違うんです。預かる代わりと言っては何なのですが。。。」


リントは今回のクエストの説明をした。


「ガハハ。我に交渉するとはいい度胸だな。それでこそ我が選んだ者だ。。。これを持っていけ」


赤龍の爪先が一瞬光ったと思うと、液体が入った小瓶がリントの掌に落ちて来た。


「これは?」

「知らんのか?万能薬エリクサーだ。それでその小娘の病気も治るだろう」

「ありがとうございます!」

「では今度こそさらばだ!」


そう言うと赤龍は翼を翻して飛び去って行ってしまった。


(行っちゃった。。。しかしどうやって5年後に会うんだろ。。。)


リントは安堵の息を吐いたあと、洞窟の外にいる2人の元へ向かった。



「あ。リント君。もう話は終わったの?」

「うん。。。取り敢えず皆の所に戻ろう」

「・・・父上は?・・・もしかして父上は眠るって言ってたの?」


アインはリントの表情で察したのか寂しそうな表情を浮かべる。


「そうなんだ。。。それでアイン君を俺に預けるって」

「そっか。。。じゃあ、いずれ父上と戦う話も聞いたんだね?」


アインは赤龍から自分を殺して欲しいと言う事は聞いているみたいだった。


「うん。。。辛いよな?」

「・・・大丈夫。父上は死に場所を探して僕を育ててくれたんだ。僕は父上の願いを叶えたい」


アインは気丈に振る舞っていたが目には涙を浮かべていた。


「そうか。。。アイン君は強いんだな」

「あ、当り前だよ!ぼ、僕は誇り高き古代龍エンシェントドラゴンの子だもん。。。う、うわぁぁん」


アインはついに泣き出してしまった。

赤龍に育てられたとは言えまだ幼い。頭では分かっていても簡単に乗り越えられるものじゃない。


「よしよし」


ルルが母親のようにアインを抱きしめた。

こうやって人に抱きしめられるといった事はなかったのだろう。

アインは今まで押し殺していた感情を爆発させたように泣いた。

その様子はまるで父親を亡くした子供が母親に抱かれ泣いているようだった。


リントはその様子をアインが泣き止むまで優しく見守っているのだった。

★サーシャ先生の補足授業★

万能薬エリクサー古代龍エンシェントドラゴンの爪を素に作られるその名の通りの万能薬よ。

どんな病気も治せると伝えられているわ。


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