表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第1章 名もなき島 編
5/75

戦略

--次の日


俺はゴブリン討伐クエストを受けて町の近くの森にいた。


物陰に隠れながらゴブリンの様子を伺う。


「うーん。どうしたものかな・・・」


俺の目線の先にはゴブリンが3匹座っている。初心者の心得によるとゴブリンはペアかトリオで行動しているらしい。俺がが初めて戦ったゴブリンは1匹で襲ってきた。しかしあのゴブリンは剣を持っていた。通常のゴブリンはナイフを持っている。あれはゴブリンの中でも変わり者だったのかな?

スライムは直接体当たりしてくるだけの魔物だが、ゴブリンは少なからず理性を持っているようだ。3匹同時に襲われたら対処出来る自信がない。1人だとこういう時に困る。

・・・そういえば言霊ことだまをゴブリンに使った時に何も反応を示さなかったな。もしかしたら俺以外は見えてないのかもしれない。試しに使ってみよう。


そう思うと俺は言霊ことだまを1匹のゴブリンに目掛けて放った。透明な球状はゆっくりゴブリンに近づいて当たった。

やっぱり俺以外には見えてないのか・・・そして何も感じないみたいだな。


当たったゴブリンからオーラが見えた・・・黄色・・・警戒中ってところかな?


もう2匹にも使ってみる。ヒット。1匹のオーラは黄色。そしてもう1匹のオーラは緑色。

オーラが緑色のゴブリンはよく見てみるとあくびをしている。どうやらこいつは油断しているらしい。


よし。こいつを不意打ちだな。「魔物とはいえ不意打ちとは卑怯者じゃな。」とかオーディンのおっさんに言われそうな気がするが気にしない。気にしない。俺は勇者じゃないもん。


そんな事を考えながらリントは物陰からゆっくりと音を消しながらゴブリンに近づきがら空きの背中に素早く剣を突き刺した!!


「グェ!」


剣を突き刺されたゴブリンは絶命。残りの2匹がすかさずナイフを構えリントを襲ってきた!オーラは赤に変わっている。リントはバックステップで少し距離を取った。


泥水マッド!」


1匹は急に現れた足元の泥水で転倒。成功だ。

しかし1匹リントに襲いかかる!しかしリントは落ち着いて対応。ゴブリンの攻撃を横ステップで躱し、袈裟斬り!


「ギャア!」


胴体は真っ二つになった。

もう1匹を見るとまだ泥水でもがいている。リントは泥水マッドを解除。すかさず剣を突き刺した!


「グゥ!」


絶命した。


「ふぅ・・なんとかなったか」


リントはギルド証を取り出し、死んだゴブリンに向ける。

するとギルド証が輝き出すと死んだゴブリンが吸い込まれていく。


「ドロップはゴブリンの牙か。何に使うんだこれ?」


ギルド証は死んだ魔物にかざすだけで魔物をアイテム化して回収してくれる便利な物だ。もっとも、リントが持っているノーマルカードは通常のアイテムと合わせて重量制限が10kgという物だが。


「さてと。こんな感じでさっさと終わらせよう。目標は20匹だったな」


ゴブリンの攻略法を編み出したリントは油断しているゴブリンを見つけては危うくなりながらも不意打ち戦法でその日のうちにクエストを終わらせた。



町に着く頃には夕方だった。MPを使い果たし、リントはヘトヘトだった。MPは休むと時間経過で回復するが、回復→使用→回復→使用と何度も繰り返すと疲労が貯まる上に回復量も落ちる。疲労を回復しないとMPの回復量も悪いみたいだ。



冒険者ギルドに着いた。


「お疲れ様です~!リントさん~!」


マリーは今日も元気だな。


「すごいですね~!ソロなのに1日でゴブリン20匹も狩ってくるなんて~!どうやってやったんですかー?」

「戦闘は戦略だよ。フフフ」


リントは得意そうに話す。

マリーに言霊ことだまを使用した不意打ち戦法とは口が裂けても言えない。


「クエスト報酬は1500リェンになります~!ドロップアイテムも売却しますか~?」

「うん。全部お願い」

「ドロップ全部で600リェンです~」

「ありがとう・・・ところでちょっと聞いて良い?」

「どうぞ~」

「このドロップアイテムってギルドが買い取りしてくれるけど、何に使われてるんだ?」

「用途は様々ですよ~。武器の材料に使ったり魔導器の材料に使ったりですね~。鍛冶師や魔導精製士に買値と同じ値段で売っていますよ~」


魔導精製士とはどうやら魔導器を作る職業みたいだ。


「なるほど。上手く出来ているんだな。ギルドは世界共通なのか?」

「そうです~。どの大陸や島でも魔物は少なからずいますからね~。ギルドは4王国公認の機構なんです~」

「ふむふむ。1つ思ったんだけどさ。ゴブリンのナイフを売ってもお金にならないのか?」

「ゴブリンのナイフは粗悪品ですかね~。まず売れないと思いますよ~。それにギルド証には重量制限があるので持ち帰るのはあんまりおすすめしません~。」


うーん・・・もっと強い魔物を倒したらアイテム化するか装備を奪うか考える余地は一応ありそうだな。


「それはそうとリントさん~。ランクUPおめでとうございます~。」

「え?マジで?ランクUPしてたの俺?」


ギルド証を見るとGがFに変わっていた。いつの間に・・・全然気づかなかった。


「Fランクはまだノーマルカードですが、Eランクになるとブロンズカードになるので頑張って下さい~!

明日からはFランクのクエストに挑戦して下さいね~」


「うーん・・・取りあえずまだゴブリン狩ろうと思うんだよね」

「そうなんですか~。まぁ1人ですもんね~。頑張って下さい~!」

「う、うん」


スゲー毒を吐かれたような気がする・・・。

宿に帰って簡素な食事を済ますとシャワーを浴びてベッドに潜り込む。


今日は危うい場面があったな。ゴブリンをドロップ化してる最中にいきなり背後からゴブリン3匹に襲われたからな・・・水治癒キュアを予めかけてなかったら死んでいたかもしれない。ソロはなかなか厳しいな。明日からはもっと慎重に行こう。てか今日も茶色のスープで飽きたな・・・。


次の日もその次の日も俺はひたすらゴブリンを狩り続けた。自分が納得するまで狩り続けようと思う。

2週間が経過する頃、俺は言霊ことだまを使わなくても3匹のゴブリンを同時に倒せるまで成長していた。


後で知った話だが他の冒険者に”あいつはゴブリンが恨みがあるんだよ”と噂されていたらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ