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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第2章 強欲の塔 編
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ゴルタン

前回のあらすじ

リント達は無人島でライスフラワーの実を回収した。

---次の日


ライスフラワーの実を回収したリント達はランルージ大陸に到着するまでに今後の方針を話し合っていた。


「リントさん~。向こうに着いたらどうするんですか~?」

「う~ん。。。ごめん。全然何も考えてなかった」


そんな2人のやりとりを見ていたガイリーが話かけてきた。


「あんちゃん達。強欲の塔に行くんじゃないのか?」

「強欲の塔?」

「知らないのか?ランルージ大陸に行くって言うからてっきりそうだと思ってたんだが」


ガイリーの話によるとこうだった。

約50年前、大きな地震があり突如大きな塔が各所に現れた。

全ての塔は雲を越えていて、地上からは頂上を見る事すら出来ないぐらい高い。

塔は全部で7塔あって誰が名付けたかは分からないが、怠惰、強欲、嫉妬、傲慢、憤怒、暴食、色欲の名が付いた。

そのうちの1つがランルージ大陸にある強欲の塔である。

塔の中には魔物がいて、魔物を倒すと魔石が出て来るらしい。


「魔石?」

「あんちゃん。冒険者なのにそんな事も知らないのか?」

「すいません。記憶喪失でして。。。。」


魔石というのはその名の通り、魔力を宿している石だ。

主に魔導器の材料になる代物で、この世界において今や必要不可欠な石。

魔石は昔から存在していたが。一部のダンジョンの中でしか採れない希少な存在だった。

しかし、7つの塔が各所に出現してから各大陸の魔石の普及率はグンと上がった。


「7つの塔って言ったら、冒険者が一攫千金を狙う場所だぜ」


7つの塔は階層が上がるにつれて純度の高い魔石が取れる。純度の高い魔石は今でも高額で取引されていて、冒険者が一攫千金を狙うにはピッタリの場所だそうだ。


「更に頂上にたどり着いた者は神にも匹敵する力を手にするとか」

「浪漫ですねぇ。。。誰もたどり着いた人はいないんですか?」

「いねぇな。」

「魔物がめっちゃ強いとか?」

「いや、それもあるが99階までたどり着いた猛者によると100階の手前の扉が開かないらしい。まぁこの話も40年以上前の事だ。当の本人はくたばっちまってて、その話が本当かどうかは知らねぇがな。」

「へぇ~。。。みんな知ってた?」

「リント。。。常識だぞ。キキは行った事はないがな」

「ノームの島で畑ばかり耕していたワシでも知っておるぞ」

「そ、そうか。。。。」


魔石が取れる強欲の塔の周りには自然と人が集まるようになり、いつの間にか町が出来た。

町はランルージ王国の次に大きい都市になり、名前はゴルタンというらしい。辺境に出来た塔の都市ゴルタンは王国直轄の領地で、今リント達が向かっている港町とランルージ王国の中間にあるらしい。


「じゃあ、行く当てもないしそこに行ってみますか!」

「そうですね~」

「ゴルタンには有数の魔導精製士がいるとの噂です。ルルも行ってみたいです!」


こうしてリント達の次の目的地は決まった。

港に着くまでの2日間。

今回レベルアップして得たスキルポイントを各々相談してスキルを獲得し、船にあった演習場で各々訓練やパーティの連携を深めていった。



--2日後。

ランルージ大陸の港町パルイスに着いた。


「おおー!さすが大陸の町!ヴェネの倍ぐらいでかいな!」

「建物がカラフルでキレイですね~。人もいっぱいですね~」


パルイスはヴェネの全面白い建物とは違い、カラフルな港町だった。

行き交う人がせわしなく動いている。


「そりゃそうだぜ。パルイスはランルージ王国の貿易を担っている町だからな」

「へぇ~。ここに転移門あります?」

「いや、ここにはねぇな。ゴルタンまで行けばあると思うがな」

「なるほど!ガイリーさん。ここまでありがとうございました!サーシャ先生によろしくお伝え下さい」

「おうよ!しっかりライスフラワーの実は渡しておくぜ!またな!」

「はい!ヴェネに帰ったら店に食べに行きますね!」



リント達はガイリーを見送った後、パルイスの冒険者ギルドに行きクエストを確認した。

しかし、パルイスにはD級クエスト以下しかなかったので早々にゴルタンを目指す事にした。

ゴルタンへは馬車で1日程かかるらしい。

馬車の手配はすぐに出来たので早速ゴルタンに向けて馬車を走らせた。


「リント君。ゴルタンに着いたら、家買おうね。」

「家?」

「ずっと宿屋に泊まる訳にはいかないでしょ?ルルとキキのお店も出したいし」

「そっか。そうだよな。。。クエストは置いといて、一攫千金!塔の攻略でもしますか!」


ルルとキキは技術職なので、家を買うなら当然店を構えられる家を買わなければならない。


「マリー。いくらぐらいするのかな?」

「店舗型住居を買うなら結構すると思いますよ~」

「ヴェネの相場で300万リェンぐらいだから500万リェンぐらい?」

「いや~。この人数ですから大きな家じゃないといけませんね~」

「1000万リェンぐらい?」

「そのぐらいはするかもしれませんね~」

「・・・しばらくは宿に泊まる事になりそうだな」


途方に暮れる金額を胸にしまい、馬車に揺られながらゴルタンの町を目指す。


---時刻は夕方になり、前方の巨大な建物をクピスが発見する。


「りんと。とうみえた」

「ん?おお!スゲーな!」


塔は雲の上まで伸びており、頂上が見えなかった。


「む。どれじゃ?ワシには全然見えんぞ」


クピスと目が入れ替わっているリントは左目の視力が常人の倍以上になっていた。

皆が塔を目に捉えられたのはそれからしばらくしてからだった。


「リント君!すごい!おっきぃよぉ!」

「キキは・・・こんなの初めてだ」

「どんどん大きくなります~」

「おっきぃ」


リントが皆の違う意味で捉えられそうなコメントに興奮しつつ、一行はゴルタンに着いた。

ゴルタンは大きな城壁に囲まれており、塔を中心に建物が建っていた。

ゴルタンは王国直轄の都市であったが、冒険者には寛容で人間以外でも正式な手続きを取れば誰でも入れる都市だった。


「着いたなー!都市もデカいなー!」

「最近デカいとしか言ってない気がしますね~」

「ハハ。そうだな」


大きな門をくぐり、ゴルタンの中に入った。

ゴルタンの建物は中心地から外に行くほど新しくなっており、外壁の近くに建築中の建物が多々あった。建物は所狭しと2階建て以上の物ばかりで、ゴルタンはこれからまだまだ発展しそうだった。



---ゴルタンの入場手続きを終わらせると、辺りはすっかり暗くなっていた。

リント達は取り敢えず大人数が泊まれる宿を探さないといけないので、大きな噴水を待ち合わせ場所にして手分けして宿を探す事にした。


リントが1人で宿を探していると、路地裏の方からタッタッタッタッタとせわしない足音が聞こえた。

路地裏を見ると赤髪の女の子らしき人影が複数の男達に追われているのが目に入った。

★サーシャ先生の補足授業★

ゴルタンには転移門があるけれど、王国直轄の都市だから王家に認められないと使えないわ。

リント達がヴェネに帰ってくるのはしばらく後になりそうね。

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