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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第1章 名もなき島 編
39/75

良い日旅立ち

前回のあらすじ

ルルとキキが一緒に付いて行きたいと言ってきた。

「リント君。お願い。」


ルルは真剣な眼差しでリントを見つめる。


「いや、俺は全然良いって言うかむしろ嬉しいんだけど店は大丈夫なの?」

「店は他の店の店主さんに、任せようかと思ってるんです。」


ルルの話では、ルルとキキの店が出来た事によって他の武器屋や道具屋は客足が激減。早くも1ヶ月で倒産寸前だった。これらの店主さんが2人に自分を雇ってくれと懇願。困っていた2人の矢先にリントの旅立ちの話が来た。この町で今まで通り店をやる事も考えたが、この島では手に入る素材も限られているし、何より競争相手がいないので張り合いがない。それでは自分達が成長しない。

2人は考えた結果、リントに付いて行こうという決断に至った。


「まぁ、今の理由が2割で後の8割はリント君に付いて行きたかっただけなんですけどね。」

「そうなの?キキ?」

「・・・・キキの割合はその逆だ。」

「・・・・そっか。じゃあ、ルルだけ一緒に行こうか?」


リントが冗談半分で言うとキキは焦った。


「ま、待ってくれ。その。。キキも。。。」

「キキも?」


リントが耳に手を当てる。


「・・・・・キキも・・・リントに付いて行きたい。。。」


キキは少し涙ぐんでいた。


「リントさん~。そんな意地悪しないで連れて行ってあげましょうよ~。」


3人のやり取りを見ていたマリーが口を開く。


「ごめんごめん。キキが可愛いからつい、からかってみたくなってさ。」


リントはキキを抱き寄せ、背中をさする。


「ごめんな。キキ。でも、もうちょっと素直じゃないと損するぞ?」

「・・・・・うん。」

「あー!キキずるーい!リント君!ルルもー!ルルもー!」


ルルも抱き着いて来た。


「あ~。2人ともずるいです~。リントさん~。私も~。」


マリーも抱き着いてきた。


「・・・・りんと。」


クピスも抱き着いてきた。



そんな意味不明なやり取りをたまたま通りかかって、見てる人物がいた。


(何やっとるんじゃ?あやつらは?・・・女子おなごに囲まれとるのは、リント殿?)


「リント殿、気がついたんじゃな。」


声の主はヴァンガードだった。


「あ!おっさん!」

「元気そうで良かったわい。。。何やら楽しそうじゃな。」

「この前は俺を運んでくれたんだろ?ありがとな。助かったよ。。。そうだ!おっさんも一緒に来るか?」

「?」


ヴァンガードに事の経緯を説明した。

クピスの存在には何故か全然驚かなかった。

とぼけたフリして大物である。


「という訳で、ランルージ大陸を目指す事にしたんだ。」

「ほほぉ。」

「まぁその前に隣の無人島に行って、ライスフラワーの実を取るんだけどね。」

「何!?ライスフラワーじゃと!?」

「う、うん。。。おっさん好きなのか?」

「ライスフラワーの実から極上の酒が作れると聞いた事がある。」

「そうなの?」

「うむ。。。この島の酒には飽きていたところじゃ。ワシも付いて行こうかのぉ。」

「決まりだな!」


ヴァンガードの参加も決まり、各々準備の為その場は解散した。


解散後、ルルはマリーの装備を見繕ってくれた。

もう仲間なんだからお金はいらないとの事。

そういう訳にもいかないんだが、ルルは断固としてお金を受け取らなかった。

ちなみに店主さん達に任せる事になったこの店の商品は、ランルージ大陸で2人が店を出せるようになったら定期便を使ってこの島に供給するとの事だった。2人の商品は品質が良いので少し割高になっても店に置いてくれと、後から店主さんに言われたらしい。




俺は本当に、皆に頭が上がらない。

異世界へ来て右も左も分からなかったが、この島の優しい人達に囲まれて俺はここまでこれた。

もし魔王とやらが仲間を傷つけるような事をすれば、俺は必ず魔王を殺すだろう。

それは勇者でも神でも何でも同じだ。仲間を傷つける者は許さない。

俺はもっと強くならなければならない。仲間を守る為に。もっと強く。。。。




出発の朝。 


場所 ヴェネの町 港


天気 快晴


「リント。また帰ってくるのよ。」


サーシャは別れを名残惜しむ。


「もちろんです。落ち着いたら連絡しますね。」


サーシャとはフレンド登録してある。

ランルージ大陸ならリントの魔力でもメッセージを送る事は可能だろう。


「ギルドの転移門は、その地を収めている貴族に許可を貰うのよ。」

「はい。許可が降りたら1度帰って来ますね。」

「ええ。楽しみに待ってるわ。」

「じゃあ、行ってきます!!」



船が汽笛をならし出港する。


青い。青い海へ。


ゆっくりと。しかし確実に。


遠く、遠くなっていくその船をサーシャはいつまでも見守っていた。

第1章はここで終了します。

ここまでこの小説を読んでくれた方、ありがとうございました!


第2章 強欲の塔編へ続きます。

一生懸命書きたいと思いますので、引き続きご愛読の程、よろしくお願い致します。

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