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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第1章 名もなき島 編
37/75

思い込みって怖いよね

前回のあらすじ

リントはイケメンエルフにいちゃもんをつけられた。

~ イケメンエルフ ギリアン・レナード(22歳) ~


場所 ヴェネの町 古びた決闘場


皆さんこんにちは。

僕の名前はギリアン・レナード。

僕が何故こんな汚らしい場所にいるかって?

それはこの薄汚い人間から、マリーを救う為だ。

マリーはこいつに騙されている。僕が助けなくてはならない。


僕は由緒正しきフォレン王国の上流貴族、レナード家の次男として生まれた。

次男として生まれた僕はエルフにしては珍しく、魔法の才能がなかった。

魔法がダメなのが分かると、僕は来る日も来る日も剣の鍛錬をしてきた。

そしていつの日か領内で、僕の右に出る者はいないほどに剣は上達した。

それなのに父上と母上は兄様ばかりに目を掛けている。


僕の兄様は魔法が得意で、頭が良く温厚で庶民にも優しい性格だ。

しかし、兄様は生まれつき体が弱く、戦闘センスは全くない。

兄様のような人では他の貴族にバカにされ、やがてレナード家が蹂躙されるのは目に見えている。

このまま兄様がレナード家の当主になれば、レナード家は終わりだ。

それでも父上と母上は兄様を担ぎ上げようとしている。

納得行かない。跡継ぎはこの僕だ。頭も戦闘センスも僕の方が良い。何故それを分かってくれない。。。


僕は冒険者として名を上げて、いずれ父上と母上を見返してやる。

そう思ってぼくはこの島に来た。汚らしい人間の奴隷、ドットを連れて。


しかし、マリーに出会って僕の人間に対する価値感が変わった。

いや、マリーだけが特別なのかもしれない。マリーは本当に人間なのだろうか。

天使のような微笑み。透き通る肌。太陽のような性格。

その微笑みで、僕の負の感情を一瞬にして取り払ってくれた。

だが、僕はマリーがいないとまた負の感情が溢れてくる。

必ず手に入れる。。僕の女神。。。マリーは僕の物だ。。。僕の物。。。



「リントとか言ったな!?決闘は死んでも文句は言えん!分かっているな!?」

「あ~。うん。まぁどっちにしろ死んだら文句は言えんけどな。。。」


なんだその気のない返事は?まぁいい。殺してやる。

マリーが見ているが、正々堂々と正面からの決闘ならマリーもきっと分かってくれるだろう。

それに幸いな事にロイズが立会人になってくれている。

こいつが死んでも誰も文句は言うまい。


「始め!」


ロイズがそう叫ぶと僕は突貫した。

僕は先日、戦士から守護騎士にクラスチェンジした。

守護騎士になった僕は攻撃力も防御力も大幅にUPしている。

この島にいる人間風情に僕が負けるハズがない。僕の邪魔する奴は殺す!


ブォン!


僕の袈裟切りを運よく躱した奴は後方に下がり、詠唱をして黒い球を飛ばして来た。

フフ。バカめ。僕に魔法は効かないんだよ。レナード家に代々伝わるこの魔法の盾がある限り。

飛んでくる2つの球を魔法の盾で消滅させた。


「飛び道具とは卑怯物め。男なら正々堂々と剣で勝負しろ!」

「・・・・・・」


臆して声も出ないか。

降参するなら今しかないぞ。

ん?鞘付の剣か?カッコつけやがって!


突貫して斬りかかる、今度は剣と盾のコンビネーションだ!


ガキィン。ガキィン。



・・・・ほう。人間にしてはなかなかやるじゃないか。

鞘で僕の剣を受けるとは。。。


ガン!! ピシ!


ん?盾が?

驚いて後方に下がる。

!!!!僕の魔法の盾にひびが入っている。

今まで、傷1つ付いた事なかったのに。。。


「僕を怒らせたな!後悔させてやる!」

「戦闘中に、よくしゃべる奴だな。」

「黙れ!僕の武技。ギリアンスペシャルラッシュで殺してやる!」

「ダサい名前のラッシュが来るのか?あんまり自分で手の内を明かさない方が良いと思うぞ?」


殺す!!!!!ラッシュ!!!


もう一度突貫!僕の射程に入った!


!!足に水たまり??

急に現れた泥水で転んでしまった。

奴がいない!


・・・・・上!


ガシャン!


奴の黒剣は僕の鎧を貫いて左肩にめり込んだ。


「があぁぁぁ!」


左肩からは血が溢れ出ている。あまりの激痛に動かせそうにない。


「降参しろ。」

「ハハ。バカな。」


すぐに奴を蹴り飛ばし起き上がった。

クソ!クソ!!


闇弾ダークボール


魔法を打って来た!盾!・・・間に合わない!


鉄壁発動!


ドン!


黒い球の直撃を体の真ん中に受けた。

僕は後方に吹っ飛び、壁にぶつかる。武技の鉄壁を施さなければ僕の体は貫かれていただろう。

奴が黒剣を持って、こちらに近づいてくる。。クソ。。。立ち上がれない。。。。


「降参!降参しやす~!」


ふいに聞こえたその声は僕の奴隷、ドットだった。


「もう勘弁してくだせぇ!ギリアンの旦那はもう無理です!」

「な。。。なにを。。勝手な。ことを。。。」


奴が近づいてきて、黒剣を僕に突きつける。


「お前の仲間はそう言っているがどうする?」

「ふざ。。けるな。。」


右手に忍ばせておいた砂を奴に向かって投げる。

奴が目を塞いだ!チャンスだ!

すぐに剣を持って奴を突き刺


ドッ!


顎に衝撃を受けたかと思うと目の前が暗くなった。。。




・・・・・・・・

目を開くと見覚えのある天井だった。

やはり気を失っていたのか。。。


ベッドから起き上がるとドットがいた。

相変わらず卑しい顔をしている。


「旦那!気づいたんですかい?」

「ああ。」

「あんまり無理しないでくだせぇ。」


左肩を触るとすっかり傷は治っていた。


「・・・肩の傷は?」

「リントの旦那が治してくれたんです。」

「・・・あいつが?」

「へぇ。旦那が気を失っている時、珍しい回復魔法を使って、時間をかけて綺麗に治してくれたんです。」

「クソ!!何たる屈辱だ!!!」

「・・・・旦那。滅多な事を言うもんじゃありやせんぜ。リントの旦那が早く処置してくれたんで、傷1つ付いてないんですぜ。」

「うるさい!!!・・・・マリーはどうした?」

「・・・もうこの島にはいませんぜ。旦那は三日も寝てたんですから。昨日、船で出発しやした。」

「何処に行ったんだ!!」

「分かりません。あの船は定期便じゃありやせんでした。」

「クソ!!!」


どいつこいつも役に立たない。

僕は何故いつもこんな不運に見舞われるんだ!

・・・これも神の試練なのか?そうだ。そうだとしか考えられない!

愛は試練を乗り越えてこそ燃え上がるというものだ!

フフフ。神も酔狂な事をしてくれる。

分かったぞ。神よ。。必ず僕はあいつからマリーを助けてみせる!!



リントはまた頭のおかしい人に目をつけられた。

★サーシャ先生の補足授業★

鉄壁は守護騎士系のスキルで敏捷が下がるけど防御力が倍になる武技よ。

ラッシュはその名の通り敏捷を一時的に上げて攻撃の手数を増やす武技なの。

2つともHPを消費するわ。

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