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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第1章 名もなき島 編
36/75

マリー

前回のあらすじ

レギオ王国の目から離れる為、島を出る事になった。

次の日、サーシャに推薦状を受け取ったリントとクピスは奴隷協会に向かった。


奴隷協会に着くと副館長のダルヴィンがいた。

相変わらず、頭はボサボサで怪しさ満点だった。


「これはこれはリントさん。お待ちしておりましたよ。今日は可愛いお嬢さんを連れてますね?」


ダルヴィンはクピスを舐めまわすように見ている。


「ゴホン!ダルヴィンさん。この子は俺のパーティメンバーです!・・・・お待ちしてたって事はマリーから何か聞いてますか?」

「ええ。リントさんが買いに来るので、案内をと頼まれました。」

「そうですか。」


リントはホッと胸をなでおろす。

マリーの気が変わってないか少しだけ心配だった。


「でもあのマリーが、自分から買われる事を申し出るとは驚きましたよ。どんな手を使ったのですか?」

「どんな手って。。。仲良くさせてもらってただけですよ。」

「そうですか。。。確かに精神操作をされたような形跡もなかったので安心ですが。。。不思議です。」


(疑い過ぎだろ。。。失礼な奴だな。)


「逆にどうやって精神操作するのか教えて欲しいですよ。それに俺はこれを持ってるんです。文句ないでしょ?」


そう言うとサーシャから預かった推薦状を取り出す。


「これは!・・・サーシャ様の!?」


ダルヴィンは驚いた様子だった。

サーシャに様をつけている様子を見るとサーシャの事を知っているらしい。


「大変失礼致しました!リント様。サーシャ様のご紹介であれば疑う事は何もありません!」

「じゃあ失礼があった分、安くしてくれよ。」

「もちろんです!1日500リェンで手を打たせて頂きます!」


ダルヴィンは怯えるように言い放った。

サーシャに弱みでも握られているのだろうか?

前に聞いた値段の10分の1になっている。

リントもまさかここまで安くなるとは思っていなかった。


「1日500リェン。。。マリーが志願奴隷を解放されるまでの日数分を買ったらいくらになります?」

「マリーは解放までの期間が2年伸びているので、あと1275日あります。500×1275=全部で637500リェンです。」

「・・・・ピッタリ600000リェンにしてくれませんか?サーシャさんにはダルヴィンさんが良い人だったと伝えておきますから。」

「・・・・・分かりました。」

「ついでにお金は今、全額払うから再契約もなしにして欲しいんですが。。この島を出る事にもしたし。」


ダルヴィンは一瞬殺意を抱いたような顔をしていたが、すぐに表情を変え答えた。


「そうですね。。。今回は推薦状+マリー自らの購入希望という事で大目にみましょう。」

「やった!ありがとうございます!」


リントはお金を払い、マリーの所へ案内してもらった。

案内された部屋は檻ではなく、マリーの相部屋だった。

部屋に入るとマリーはいつものギルド職員の服ではなく、黒を基調とした可愛いメイド服を着ていた。


「あ!リントさん~~!」


マリーがリントに気づいて抱き着く。


「おっと!ハハ。今日も元気だなマリー。。。ところで、その服装は?」

「これですか~?これは志願奴隷が買われた時に着ていく正装ですよ~。」


(まさかここでメイド服とは。。。ありがとう奴隷教会。。。)


「そ、そうなんだ?よく似合ってるよ。」

「えへへ~。」


リントはマリーの頭を撫でてやると、ダルヴィンと交渉した事を説明した。


「え?じゃあ、もう私は解放されたんですか~?」

「うん。もう再契約をする必要はないし、お金も心配しなくていいよ。」

「さすがリントさんです~!一生ついて行きます~!」



奴隷協会への清算を済ませ、マリーの首輪を外した。

マリーは外す事を拒否したが、リントの強い希望で外す事にした。


「リントさん~。首輪外しちゃったら、マリーは逃げ出すかもしれないですよ~?」

「ハハ。それならそれで俺の器が不足してたって事だよ。」

「・・・じゃあ、いっぱいわがまま言っちゃうんで、よろくお願いします~。」

「おうよ!女はわがままなぐらいが可愛いぜ!」


奴隷の首輪は2人には必要なかった。

むしろ首輪を外す事で、より一層絆が深まった気がした。



リント達はマリーの冒険者登録をする為に冒険者ギルドに向かった。

冒険者ギルドに着くと、ギルド長のロイズがカウンターに立っていた。


「おや?いらっしゃい。」

「こんにちは。ロイズさん。」

「リント君~。君がウチの優秀な看板娘を買い取ったお陰で大変なんだよ~。」

「す、すいません。。。」


リントは、みんなの?アイドルを買ってしまった自分に少し罪悪感を感じていた。


「アハッ。冗談だよ。いつも美少女を連れている君にちょっと意地悪言ってみたかったんだ。」


(うん。こいつも俺の嫌いな人リストに追加決定。)


「ロイズさん~。そんな事より私を早く冒険者登録して下さい~。」

「おっと。ごめんよ。」


マリーは以前から冒険者に憧れていた。

12歳からずっと冒険者ギルドの受付をしていたので、憧れるのも仕方ないのかもしれない。

リントはマリーが戦う事を反対したが、本人の強い希望があったので後衛ならと承諾していたのだ。



ロイズはギルド証を取り出してマリーに渡した。

マリーはギルド証を手に持ち自分の名前をイメージした。

するとギルド証が淡く光り、マリーの名前が刻まれた。


「ところでマリーは何の職業にするんだ?」

「ふっふ~ん。それは見てのお楽しみです~。」


マリーはギルド証を手に持ち、いつもの詠唱を始めた。


「愚民共!刮目せよ!世界の終焉を救うべく降り立った神の子の誕生を!」


マリーの、詠唱?が終わると、ギルド証が輝きだし職業覧に武器商人と刻まれた。


(俺の詠唱の時は、迷える子羊だったのに。。。)


「わぁー。」


クピスはまた、マリーを尊敬の眼差しで見ている。

お兄ちゃん悲しい。。。


「マリー。武器商人になりたかったのか?魔法使いになりたいとか言ってなかったっけ?」

「良いんです~。パーティーに商人は必須ですし、商人系の職業は鑑定スキルのレベルを上げれるんですよ~?」

「鑑定?なにそれおいしいの?」

「え~!?鑑定スキル持ってなかったんですか~?」


鑑定スキルは商人系の職業じゃなくてもレベル1なら覚えられるスキルらしい。

例えレベル1でも相手のレベル程度なら分かるスキルだった。

冒険者なら必須スキルらしく、自分よりレベルの高い魔物と出くわすと逃げるのが普通らしい。


「ルルとキキも覚えてたのかな?鉱山跡地のボス戦は結構ヤバかったんだけど。。。」

「それはたぶん、相手が隠蔽スキルを持ってたから分からなかったんだと思いますよ~。」


隠蔽スキルを持ってる魔物だったら分からないようだ。

これにもレベルがあるみたいで、自分の鑑定レベルが隠蔽レベル以下の場合は鑑定出来ないらしい。

それでも隠蔽スキルを持っている魔物はボスぐらいで、普通の魔物はほとんど鑑定出来るようだ。


「マジかよ。知らんかったわ。。初心者の心得にも書いてなかったぞ。。。」

「常識過ぎて書いてなかったんじゃないんですか~?」

「でしょうね。。。」


スキルポイントが余っていたのでレベル1の鑑定と隠蔽を取得した。

試しに周りの人に[鑑定]と頭でイメージしてみた。


◎クピス◎ レベル15

◎マリー◎ レベル2

◎ロイズ◎ 鑑定不能


クピスとマリーは隠蔽をまだ取得していないから、レベルが分かる。

ロイズさんは隠蔽を持っているので鑑定不能になった。

名前が出て来るのは自分が相手の名前を知っているから出てくるみたいだ。

知らない他の冒険者に鑑定をしてみても名前もレベルも分からなかった。


(これを初めから覚えてたら、死にかける事もなかったのかな。。。)



リントがそんな事を考えていると、外から冒険者ギルドの扉を開ける音がした。


「マリー!?何故ここにいる?今日は休みじゃないのか?・・・貴様は誰だ!?」


振り向くとそこには見覚えのある、イケメンエルフがいた。

★サーシャ先生の補足授業★

武器商人はその名の通り、あらゆる武器に精通しているから何でも得意武器として扱えるわ。

戦闘では、レベルの高い鑑定スキルで相手の弱点を見破るのが主な仕事ね。

ステータスは平均的に上がるけど、戦闘職じゃないから後方から援護する方が無難ね。

でも、交渉スキルや栽培スキルなんかもあるからパーティーに1人いるだけでパーティー運営はグッと楽になるはずよ。


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