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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第1章 名もなき島 編
31/75

息継ぎ大事

前回のあらすじ

名も知らない銀髪の美少女が顔を舐めてきた。

目が覚めたらいきなり名前も知らない美少女に顔を舐めまわされる事があるだろうか。

いや、ない!

しかし、今現実でそれが起きている。

これを拒否する理由も・・・・・ない!


「!!!」


しばらく顔を舐めまわして、美少女はリントの口に舌を入れて来た。

甘い愉悦に犯され、銀髪の美少女の舌をたっぷり堪能した。


・・・・・舌を絡ませて5分が経過した。

長い。嬉しいけど長い。。息が続かない。く、苦しい。。。。


「ちょ!窒息するわ!!!!」


リントは思わず、銀髪の美少女を突き放した。

すると美少女は悲しそうな目でリントを見つめる。


「ハァハァ。。。いや、ごめん。ちょっと。。息が。。続かなくて。。ハァハァ。。。」


そんなやりとりをしているとドアをノックする音が聞こえた。


「リント?起きたの??」


サーシャさんの声だ。


「あ!はい!おはようございます!」


リントは慌てて返事をする。


「入るわよ。」


サーシャが部屋に入ってくる。

サーシャは銀髪の美少女をチラっと見たが、動揺する様子もなくリントに話かけてきた。

どうやらこの子の事を知っているみたいだ。


「心配したのよ。あなた3日も起きないんだから。」

「え?俺、3日も寝てたんですか!?」

「そうよ。一緒にパーティーを組んでた子が運んで来た時はビックリしたわ。」

「すいません。心配おかけしまして。」

「あんまり無茶したらダメよ。」

「はい。」


ぐぅ~。とリントのお腹が鳴る。


「フフフ。3日も何も食べてないんだからお腹が空くのも無理ないわ。準備しておくから、シャワーを浴びて着替えたら私の部屋にいらっしゃい。」

「あ、はい。」

「あなたは先にいらっしゃい。」

「ぁ。」


サーシャは銀髪の美少女の腕を引っ張り連れて行こうとした。

美少女はサーシャに反抗していたが、サーシャの力には勝てず半ば無理矢理、部屋から退室させられた。


リントはシャワーを浴びながら考えた。

(それにしてもあの子誰なんだ?サーシャさんは知ってるっぽいけど。・・・!てかスピークはどうなったんだ!?)


リントは急いでシャワーを終わらせサーシャの部屋に向かった。


「サーシャさん!スピークはどうなったんですか!?」


部屋に入ってくるなり、リントは血相を変えて叫んだ。


「フフ。無事よ。というか、あなたの目の前にいるじゃない。」

「え?」


サーシャの部屋を見渡すと、志願奴隷の料理担当のブルーノと銀髪の美少女だけだった。


「え?何処にもいないじゃないですか。。。」

「鈍いのね。どう考えてもこの子じゃない。琥珀の首輪をしているでしょ?スピーク。狼になってあげて。」


サーシャがそう言うと、銀髪の美少女は頷き、光に包まれた。

光から出て来たのは紛れもなくスピークだった。

そして何故か来ていた黒いワンピースも狼にピッタリのサイズになっている。


「バゥ!」

「スピーク!!!!」


リントは思わずスピークを抱きしめ、涙した。


「ごめん。。ごめんな。。。俺が弱いばっかりに。。。。」

「クゥン。。」


スピークはリントの涙を拭うように顔を舐めまわした。

・・・・しばらく抱擁したあと、やはり舌を入れてきた。


「どっせぇぇい!」


リントに投げ飛ばされたスピークはクルっと1回転し無事着地。


「やっぱりスピークだ!!」

「・・・・それで確認するって・・・どうなの?」


サーシャは呆れた。


食事をしながらサーシャはリントが眠っている間の事を説明した。


リントとスピークが運ばれて来た後、リントの無事を確認してスピークを埋葬しようと思ったが、勝手に埋葬するとリントが怒るかもしれないと思い、血だらけの体を綺麗にしてベッドの隣で横にさせていたらしい。

次の日、様子を見にリントの部屋に訪れると、スピークの亡骸がなく、代わりにベッドの上で銀髪の裸の少女が寝ていたので驚いた。話かけるとこちらの言葉は理解しているらしいが、上手く喋れないみたいだった。

もしやと思い、魔族の専門家の知り合いに問い合わせたところ魔人狼ウェアヴォルフは名前の通り、特殊な方法を施す事で人化が出来る者がいるとの事だった。特殊な方法は明らかにされていない。


「なるほど。。。てかスピークお前女の子だったんだな。。」

(俺、普通にシャワーとか一緒に浴びてるじゃん。ヤダ。恥ずかしい。。)


「ワン!」

「そんな事よりあなたとスピークの目の色が変わっているけど、どういう事なの?」

「え!?本当ですか?」

「目の色が明らかに違うじゃない。気づかなかったの?」

「自分の顔を見る物がないもので。。。」

「・・・それもそうね。ちょっと待ってて。」


サーシャはそう言うと、手鏡を持ってきた。

リントは自分の顔を改めて見た。

こちらの世界に来て、水面に映る自分の顔しか見た事なかったので

ハッキリ見るのは初めてだった。

アシンメトリーな黒髪で少し襟足が長い。不細工ではないが腫れぼったい一重で、決してイケメンとは言えない顔だ。

両目を見ると、左目が赤く右目が黒かった。

スピークの目を見ると左目が黒く、右目が赤だった。


「これ、完全に目が入れ替わってますね。。。」

「でしょ?何があったの?」


リントは気絶している意識の中であった出来事を話した。しかし、魔王になるハズだった件は詳細が不明な事もあるし、サーシャを心配させたくないので伏せておいた。


「そんな事が。。。でも意識の中に干渉してくるなんて並の人間じゃないわ。」

「はい。俺も驚きました。夢かと思ったんですが。。。こうしてスピークも生き返ってるんで、信じるしかないかと。。。そいつの名前は確か・・・ハーデとか言ってた気がします。」

「ハーデ!そう言ったの?」

「はい。たぶん。。先生知ってるんですか?」

「私も詳しくは知らないんだけど、大長老様にその名前を聞いた事があるわ。」



今から約100年前。エルフの大長老が若かった頃、フォレン大陸は世界樹を巡りエルフとダークエルフ間で戦争をしていた。そんな時、傷だらけの人間の青年がエルフの里の近くで倒れているのをエルフの娘が発見した。青年はかなり重傷だったが、エルフの娘の献身的な看病のお陰で青年は一命をとりとめた。青年は恩返しにとエルフの娘の為によく働いた。そんな2人が恋に落ちるのに時間はかからなかった。

だが、現実は非情だった。徐々に戦争はエルフが劣勢になっていき、青年はエルフの娘を守るためにダークエルフとの戦争に参加した。その青年は人間とは思えない魔力を持ち、破竹の勢いでダークエルフを圧倒。しかし戦争の最中、青年が留守の間にエルフの娘は戦火に巻き込まれ命を落とした。怒り狂った青年は禁忌の魔法を発動させ、約10年続いた戦争をわずか半年で終止符を打ち、ダークエルフを滅ぼした。ダークエルフは滅び、今のフォレン王国が出来た。しかしその青年は戦争が終わると姿を消した。エルフ達は青年をしばらく探したが、ついに見つからなかった。

その青年がハーデという名前だったらしい。



「マジかよ。。。超怖えじゃん。。」

「危険人物には間違いないわね。」

「まぁそれでもスピークの命には変えれないけどな。」

「バゥ!」

「そうね。私の力ではどうしようもなかったもの。枢機卿カーディナルぐらいじゃないと死者は蘇らせれないもの。」

「そうなんですか。。。ハーデは枢機卿(カーディナルだったんですかね?」

「詳しくは分からないけど、たぶん違うと思うわ。枢機卿カーディナルは巫女様に認められた者しかなれないの。各国に1人しかいないしね。ハーデは恐らく禁忌魔法を使ったんだと思うの。それじゃないとスピークが生き返った事を説明出来ないもの。もしかしたらその影響で2人の目が入れ替わっているのかもね。。。」

「なるほど。。。全然分からない事だらけですね。」

「そうね。私も詳しく調べてみるわ。。。リントもハーデからコンタクトがあったらすぐに報告してね。」

「はい!先生だけが頼りです!」

「フフ。調子が良い子ね。。。。。ところでリント。スピークは女の子なんだから名前を変えた方が良いと思うの。今のままじゃ男の名前みたいで可愛そうよ?」

「え?そうですか?スピークもそう思うか?」


リントがそう言うとスピークは人化して銀髪の美少女に戻り、少し困ったような顔をしていた。


「じゃあ・・・クピスでどうだ?元の名前を捩っただけだけど、女の子っぽくない?」

「クピス。。良い名前ね。。。」

「あい!」


元気よくクピスと名付けれられた銀髪の美少女が返事をした。呂律ろれつが上手く回っていないところがまた可愛らしかった。


「リント。ここまで運んで来てくれた仲間に挨拶に行ってきたら?すごく心配してると思うわ。」

「そうですね。お礼を兼ねてちょっと行ってきます!」


リント達はルル&キキの店に向かった。

★サーシャ先生の補足授業★

禁忌魔法はその名の通り、使う事を禁止されている魔法よ。

ハーデがどのようにして覚えたのかは分かってないわ。

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