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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第1章 名もなき島 編
26/75

漢の戦い

前回のあらすじ

琥珀を掘ってるとリザードマンが現れた

リザードマンはこちらの様子を伺っているようだった。

リントは仲間になるようにイメージしながら言霊ことだまを放った。

オーラの色は赤。好物は××××


(好物が分からない?こんなの初めてだ。・・・・・俺が知らない物は分からない。とか?)


リントが考察しているとリザードマンがスピーク目掛けて襲ってきた。

スピークは剣を躱し腕に噛みついた。しかしリザードマンは手でスピークを掴み投げ飛ばし、スピークは壁に直撃した。


(やっぱりダメか。仲間にするには何か条件があるんだな。)



「スピーク!大丈夫か?」

「ワン!」


(大丈夫そうだな。)


リントは剣を構え、リザードマンに斬りかかる。

ガキィン!

剣と剣が交え金属音を鳴らす。

何度か打ち合っている内にリントは押されていた。


(強い!速さはそこまでじゃないけど、一撃が重い。)


キン!


(しまった!)


リントの剣がリザードマンの一撃で折れた。リントはすかさずバックステップ。

スピークは主人が劣勢とみると、リザードマンの尻尾に噛みついた。

リザードマンはたまらず、体を揺さぶりスピークを振り落とそうと暴れた。しかしスピークは噛みついたまま離れない。


リントはエレメンタルタクトを取り出し、衝撃波インパクトのスペルを書き始める。


「スピーク!離れろ!」


リントがそう言った瞬間スピークは噛みついている尻尾を離し、距離を取る。

スピークが離れた刹那、衝撃波インパクトを展開。リザードマンに当たり、壁に吹っ飛んだ。


水鞭ウィップ!」


壁に当たってよろけているリザードマン目掛けて放った。反動を利用し、勢いよくエレメンタルタクトで頭目掛けて突き刺した。

リザードマンは血しぶきを上げ崩れ落ちた。


「ハァハァ。スピーク。帰ろう。」


リントは悪寒がしていた。

もしリザードマンが1匹じゃなかったらと思うと背筋がゾッとした。

1匹でもスピークがいなかったら危なかっただろう。

リントは十字を切り、亡骸をドロップ化して早々に鍾乳洞を出た。




リント達は町に帰り、ルル&キキの店に向かった。


「ただいま~。」

「帰ったか。その様子だと見つけたみたいだな。」


キキがリントに微笑みかける。ルルは他の冒険者の接客中だ。


「うん。これだよね?」


リントはギルド証から琥珀を取り出し、キキに見せた。


「こんなに!?そんなに奥まで採りに行ったのか?」


リントが取り出した琥珀は10㎏ぐらいあったのでキキは驚いた。


「いや、どうなんだろ?ここまで行かないとなかったんだ。」

「そうか。手前のは他の冒険者が掘った後だったのかもしれないな。」

「そうかもね。てかリザードマンが出て来てやばかったわ。剣も折れちゃったし。」

「リザードマン!?あそこの鍾乳洞にはいないはずなんだが。。。すまなかった。」

キキは申訳なさそうに言った。

「いやいや、そんなの分からないんだからしょうがないよ。こうして無事だったんだし。」

「すまない。後でギルドに報告しておく。」

「そうだね。。。琥珀はこれだけあれば足りる?」

「充分過ぎる程だ。これで首輪を作ってもお釣りが来る。」

「そっか。。。残りは全部あげるよ。いつもお世話になってるし。」

「いいのか?それは有り難いが。。。後でルルに相談してみる。また明日来てくれ。」

「分かった。また明日ね。」


リントはキキに手を振り、店を出て宿に向かった。



宿に着くとサーシャは相変わらず眼鏡をかけて魔物図鑑を見ていた。


「あら、お帰りなさい。今日は早かったのね。」

「ちょっと汗かいたんで、シャワー浴びようと思って。」

「そうだったの。。。これからまた出掛けるの?」

「そうですね。ちょっと酒場に行って情報収集しようと思ってます。」

「外に出ないならちょっとその子を借りていいかしら?本人がいた方が本と見比べれるから。」

「いいですよ。な?スピーク。」

「ワン!」


リントはスピークをサーシャに預け、酒場に向かった。


「エマさん。こんにちは。」

「いらっしゃい。何か飲むかい?」

「じゃあ、コーヒーで。」

「コーヒー頼むなんてあんたも立派になったねぇ。」


リントが初めて酒場に来たとき、この世界にコーヒーがある事には驚いた。

しかし、値段が高いので一般人にはあまり普及していない。

貴族や王族がたしなむ高級品らしい。


リントがコーヒーを飲みながらエマと雑談をしていると、後ろから男の怒号が聞こえた。


「なんだと!!俺様がマリーちゃんを買うんだ!!!」

「ハッ。笑わせてくれる。貴様のような下衆な輩に買われる事をマリーが承諾するとでも?どうせ断られたんだろう?」


リントが振り向くと、筋肉ムキムキのドワーフとイケメンエルフが言い争っていた。


「この野郎!!そういうお前はマリーちゃんに承諾されたのか!?奴隷協会の奴が、マリーちゃんは誰も承諾してないって言ってたぞ!!」

「これだから下衆は困る。マリーは僕の申し出に恥ずかしがっているだけだ。そんな事も分からないのか?」


どうやらマリーを巡って争っているらしい。二人とも断られたみたいだが。


「あの二人は?」

「あのドワーフは、ムキムキだけど戦闘がからっきしダメなドリノ。あのエルフは最近この島に来たギリアンさ。前、パーティー募集してたろ?」


(・・・・あいつがギリアンか。イケメンだけど性格悪そうだな~。あいつのパーティーに応募しなくて良かった。。。)


「このクソエルフ!ぶっ殺してやる!表に出ろ!」

「君が僕に勝てるとでも?良いだろう。後悔させてやる。」


二人が酒場から出ようとした時エマが叫んだ。


「あんた達ちょっと待ちな!決闘は公的に定められている場所でしか禁止だよ!外でやり合おうってんなら衛兵を呼ぶよ!」


二人はエマの怒号に固まった。


「それにそんな事をしてマリーが喜ぶと思ってるのかい!?どっちが死にでもしたら、マリーが悲しむのは分かってるだろう!?」


二人は茫然としていたが、先にドリノが口を開いた。


「悪かったよ婆さん。婆さんの言う通りだ。だから衛兵は勘弁してくれ。」

「お婆さん。僕も取り乱してすまない。ついマリーの事になると我を忘れてしまうんだ。」

「誰が婆さんだい!!あたしゃまだ42歳だよ!!!!」



酒場の騒ぎは終わり、リントは宿に向かっていた。


(マリーはよっぽど人気があるんだなぁ。めっちゃ可愛いし、愛嬌もあるし、そりゃそうか。俺も・・・・断られたみたいなもんだしな。)


リントはマリーを買うのは半分諦めていた。お金に余裕が出来たらと思っていたが、承諾してくれない事には買えない。前に一度言ってみたのだが、誤魔化されたと思ってしまっている。マリーとの関係性を壊したくないので、買う事は言わない事にしていた。


リントがそんな事を考えながら宿屋の前に着くとスピークが飛びかかってきた。


「バゥ!」


リントは体制を崩し、仰向けになった。


「ハハ。どうしたんだ?寂しかったのか?」


スピークがリントの顔を舐めまわす。


「ちょ。。。アハ。。。どっせぇぇい!」


スピークが宙を舞う。クルリと回って無事着地。


「だから舌を入れてくるなって。。。」


サーシャがそんなやり取りと見ながら宿から出て来た。


「リント。すぐに私の部屋に来て。」


サーシャは真剣な眼差しで言った。


「あ、はい。」


リントは何事かと思いながらサーシャの部屋に向かった。


「リント。驚かないで聞いてね。。。」

「は、はい。え?なんですか?何か怖いんですけど。」

「その子、もしかしたら魔族かもしれないの。」

「・・・・・・え?」

★サーシャ先生の補足授業★

決闘は公的な場所でしか認められていないの。

決闘以外での、私的な理由で人を殺せば罪人奴隷にされる事もあるわ。

ヴェネの町には小さいけど、一応決闘場があるの。

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