ヒット&アウェイ
前回のあらすじ
ルル&キキの店がオープンした。
リントはDランクのクエストを受けに冒険者ギルドに向かった。
「リントさん~!おはようございます~!ロイズさんから聞きましたよ~!冒険者ランクDになったんですね~!」
「おはようマリー。なんとかDまで行けたよ。さすがにパーティー組んだけどね」
「おめでとうざいますー!Cまであと1つですね~!」
「ん?そりゃそうだけど。Cまで?何か目標とかあったっけ?」
「あっ!え~と~~~~~~」
マリーはリントがCランクになったら自分を買ってくれるように言うつもりだ。だがリントはその事は知らない。
「あれですよ~。Cになったらシルバーカードになるじゃないですか~」
「あ。シルバーカードね。確かに。ギルド証に槍とか剣とか入れてるから重量制限になりそうなんだよね」
マリーはリントに感づかれずにホッと胸をなでおろした。
「そういえばマリー。俺レベル24になったんだけど2次職業ってどうやったらなれるの?」
「リントさんはギルド証にある職業は過去の偉人達の情報を元に構成されているのは知っていますよねー?」
「うん。サーシャ先生に聞いた」
「基本職はそこから何でも選べるんですけど2次職はその人の性質によって決まります~」
「性質?」
「その人の性格や、感情、ステータス、それらの条件を全部ひっくるめて決まるんです~」
「ほうほう」
「例えば戦士だったら2次職は剣闘士と守護騎士と暗黒騎士がありますよ~」
「ふむふむ」
「剣闘士ならガンガンいこうぜ!な人。守護騎士ならいのちだいじに!な人。暗黒騎士は何かトラウマを持ってる人とかです~」
「暗黒騎士の条件だけなんか嫌だな」
「まぁステータスとか色々な条件があるみたいなんで一概には言えませんけどね~」
「なるほどねー。レベルは関係あるの?」
「基本職のレベル20以上から2次職になっていくみたいなんですけど、それぞれの職業によって違うみたいです~。条件が揃ったら自動的にその職業になります~」
俺はまだ条件が揃ってないって事かな。
「水僧侶の2次職って何か知ってる?」
「え~っと、ちょっと待って下さいね~」
そう言うとマリーは大きな百科事典のような物を取り出した。
「水僧侶になる人が全然いないから調べた事もなかったです~」
「でしょうね・・・」
そんなに人口少ないのか。俺結構気に入ってるんだけどな・・・。
「えっとですね~。まずは水司教!これは水僧侶の上位版ですね~。ステータスは今まで通り魔力と敏捷が主に上がって上級までの水属性魔法が使えるみたいです~。条件は分かりません~」
「さすが嫌われ職業!」
「続きまして~水拳士!これは拳闘士の派生にもある職業ですね~。ステータスは筋力と敏捷が主に上がり、水属性魔法は中級までと今までと同じですが武技は中級まで習得可能みたいです~。条件はたぶん肉弾戦がすんごい好きーとかですかね~」
「あ、被ることあるんだね」
「ですね~。でも拳闘士で水魔法覚えている人なんて少ないんでこれにはほぼならないですけどね~」
「そりゃそうか」
水魔法もなかなか気に入ってるんだけどな・・・拳闘士は魔力低いし普通覚えないか・・・。
「最後に。光の道を選ばず、敢えて水を選んだあなたにこそ相応しい。神への冒涜はまさに堕天使の如く!闇に落ちた僧侶!その名はーーーーー闇司教!」
「おお!俺の厨二心をくすぶる響き!それでそれで!?」
「えっと~。すいません~これしか書いてありません~。誰もなった事ないんですかね~?アハハ~」
「うそーん!分からんだらけやないかーい!でもフラグは立ったな!」
「フラグ?」
「いや、なんでもない。でもそっち系の闇魔法が得意な職業って他にもあるよね?」
「もちろんです~。暗黒騎士とか、呪術師とかは闇魔法が得意ですね~」
なるほど。中級の闇魔法ぐらいは使えそうだな。どんな魔法があるのか知らんけど・・・。
「じゃあ、そろそろ初のDランククエスト行くわ。何か良いフィールドクエストある?」
「そう来ると思って、リントさん初のDランククエスト探しときましたよ~。倒しただけもらえるやつです~」
マリーがそう言うとウィンドウが表示された。
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ランクD
ブラッディウルフの討伐
場所 西の森中層
クエストクリア報酬 1匹550リェン
ギルドポイント 1匹 15ポイント
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「おー!報酬良いじゃん!この森って、俺が前ゴブリン狩ってたところ?」
「そうです~あそこの森のもうちょっと奥ですね~」
あの時もうちょっと奥行ってたらこんな奴出て来たのか・・・。
「じゃあ、これでお願い!」
「分かりました~!かなり強いらしいので気を付けて下さいね~」
「し、死なない程度に頑張るよ・・・。」
俺はマリーに別れを告げて街道を通り森に向かった。
中層に行く途中ゴブリンに何度か遭遇したが難なく倒しながら奥に進む事が出来た。
奥に進むと森の木や花等が低層に比べて一回り大きくなっていた。まるで自分が一回り小さくなったように感じる。
この辺が中層かな?
リントはウルフを探しながら奥に進むと他のパーティーがウルフ3匹と戦闘していた。
戦士っぽい男が1人。魔法使いっぽい男が1人。僧侶っぽい女が1人。
人間?いやエルフか?
遠目なので種族の判別はつかなかったが観察してみた。
まず、戦士が先頭に立ちウルフ3匹と剣を交え魔法使いの詠唱の時間を稼ぐ。詠唱が終わり魔法使いが火の魔法で全体攻撃。ウルフを倒すと僧侶が戦士を回復という感じで上手く役割分担して戦っている。
固定パーティーかな?息がピッタリだ。
リントはトロール討伐に行った時の事を思いだしていた。あの時は連携と呼べる戦闘をあまりしていない。ほとんどリントの指示通りに(ヴァンガードは別だが)戦闘していたし、最後は一か八かの攻撃。あんな戦い方をしていてはいつかはボロが出る。指示を出さなくても阿吽の呼吸で動いてくれる仲間の必要性を目の前の戦闘を見ながら痛感していた。
まぁ野郎とは固定組むつもりはないけどな!
でもハーレムの方が大事だった。
それにしてもブラッディウルフなかなか強そうだな。さすがDランクといったところか。思ったよりデカいし動きも早い。ここはいつもの奇襲戦法でいきますか。
ブラッッディウルフは全身が黒い体毛で覆われており体長は約1.5m。鋭い牙を持ち動きもかなり早かった。敏捷が早いリントでも囲まれるとダメージは免れそうにない。
そこでリントは待ち伏せ作戦に出た。まず水鞭で木に登り息を殺してウルフを待つ。言霊でオーラを確認し上から飛び込み剣を突き刺す。その後すぐ木の上に離脱。といった戦法だ。
素早く行わないと仲間を呼ばれる可能性がある。死体もギルド証ですぐ回収だな。
飛んでいる魔物がこの辺りにいないのは幸いだった。
リントは息を殺してブラッディウルフを待った。
来た!単独のウルフだ。
感づかれないように言霊を放つ。
オーラは・・・緑だ!好物は・・・肉。てか魔物って餌食べるの?湧いて出てくるんじゃないの?それを言ったらビッグタートルは卵があったしな。仕組みが分からん・・・まぁいいや。闘気覚醒!
リントは射程に入ったブラッディウルフ目掛け上から飛び込み剣を突き刺す!剣は頭に貫通し血しぶきを上げた。ブラッディウルフは声を上げる間もなく即死。リントはすぐに亡骸をギルド証でドロップ化し木に登る。
上手くいったな。数はあんまり稼げそうにないけど、安全第一だ・・・てか俺ってかなり卑怯者?いやいや勇者じゃないし!ソロだし!一般ピーポーだしー!普通だろこんなんもん。うんうん。
この方法で数匹狩った時だった。
「キャイン!」
近くで狼の鳴き声が聞こえた。他の冒険者が戦闘しているのかと思い振り返ると4匹のブラッディウルフが1匹のブラッディウルフを追っている。しかしよく見ると追われているウルフは体毛が銀色だった。
俺は無意識にその後を追った。
★サーシャ先生の補足授業★
ギルド証で覚えた魔法は詠唱しなくても発動は可能よ。
でも詠唱することによってMP節約にもなるし威力も上がるの。
本来のスペルに近づけるって訳ね。




