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選ばれざる言霊使い   作者: シロライオン
第1章 名もなき島 編
18/75

4人でパーティー

前回のあらすじ

リントはキキに防具を脱げと言われた。

リントはピンクの妄想をしつつ防具を脱ぎ始めた。


「ヴァンガードさんも防具を脱いでもらっていいですか?」


ルルがヴァンガードにも促す。


「分かったぞい」


えーーー!?おっさんも脱ぐの!?分かったぞい。って何が分かったんだよ!パーティでパーティーするの?俺にはまだレベルが高すぎる!てかおっさんと一緒とかやだぁぁ。


と思いつつもリントは脱ぐのをやめない・・・。


「き、貴様!誰が下着まで脱げと言ったぁ!」


キキは頬を赤らめながら目を塞いでいる。


「え?」


脱げって言ったり脱ぐなって言ったり・・・・何これ新しいいじめ?


「リント君。防具以外は脱がなくて良いですよ」


ルルは至って冷静だ。


「あ、はい」

「じゃあ、ちょっと失礼しますね」


そう言うとルルはリントに大きな赤子をおんぶするような、おんぶ紐を取り付けた。


「え?なんですか?これ?」

「リント君にはヴァンガードさんをおぶって頂きます」


え!どんなプレイ!?バツ1子持ちの独身。淫らな隣の奥さんプレイ!?マニアック過ぎだろ!


「じゃあ、防具を片付けて下さいね。なるべく軽くしたいんで」


リントは防具をギルド証に入れて、仕方なくヴァンガードをおんぶ紐を使っておぶった。


・・・そんなに重くないけど、おっさんの体温感じたくないわぁ・・・。


「リント殿の背中。意外と大きいんじゃな・・・」

「マジ勘弁してくれ・・・それは妹キャラが言うセリフ!」


てかおっさんはこの状況なんとも思わないのかよ。


ルルとキキがリントの両側にそれぞれ立った。


「リント君。キキとルルの腰に手を回して下さい」

「あ、はい」


リントは身体を二人に密着させルルの腰に手を回した。


「ぁっ」


ルルがピクッと体を揺らす。


フフフ。聞こえましたよ。ルルさん。


リントは恍惚な表情を浮かべる。


「変なとこ触ったら殺す!」


でも一瞬で萎えた。


ルルは二人三脚のようにロープで3人のお腹をグルグル巻きにした。

3人は完全に固定され歩くのもままならない。


「あ、あの~。そろそろどんなプレイが教えて貰っていいですか?」

「プレイ?なんです?それ?」


純粋無垢な瞳でルルはキョトンとしている。


「いや・・・じゃあこの状態はどういう?」

「崖から飛び降りる」

「え!?・・・・あ、二人は空を飛べるんでしたか」

「いや。飛べない。飛べたら初めから飛んでいるだろう?」

「ですよねー・・・」


そんな事を話しながら、あと一歩でも踏み出すと山頂の崖から奈落の底に真っ逆さまなところまできた。


  ヴァンガード

キキ リント ルル

崖崖崖崖崖崖崖崖崖


    ↑   

  こんな感じ


「ちょ、マジこれどうするんですか?」

「滑空する!捕まれ!行くぞ!」

「え!?なんて?ちょ!まっ」


キキとルルが飛び出した!2人に固定されているリントもヴァンガードも連られて落ちる。



 う

  わ

   あ

    ぁ

     ぁ

      ぁ

       !



リントの声がやまびこする。


オーディンの言う通り、飛翔フライのスキル取っておけば良かったかな・・・。


リントは死を受け入れられないまま、落ちる。落ちる。浮いた。


ん?浮いた?


目を開けると先ほど山の頂上で見た景色が目の前に広がった。リントの体はゆっくり高度を落としながら、廃墟の方向に飛んでいる。


「フフ。リント君。驚かせてごめんなさい」


隣を見るとルルは腰にある羽を広げてにこやかに笑っている。その反対を見るとキキもまた羽を広げている。


「リントに話すと反対されると思ったからな。すまない」

「すまない・・・じゃねぇぇ!本気で死ぬと思ったよ!」


てかフラグが立ったと思ったのにあまりエロい事が起こらなかった事に憤りを感じるよ。


「・・・まぁ でも・・・・・気持ちいいな」

「「え?」」

「いやいや!風が気持ち良いって意味」


リントは空を飛ぶ(厳密に言うと滑空)なんて事は経験した事がなかった。生前も恐らく、パラグライダーみたいな事はやった事がなかっただろう。


「でもそんな小さな羽でよく滑空出来るね?」

「魔力を込めていますからね。でもルルとキキは片翼だから一緒に飛ばないと出来ません」

「なるほどね」


双子か。なんか羨ましいな。


「このまま行けばギリアンより早く廃墟に着けるだろう。」


これが急いでなかった理由か。確かにこれなら速いわ。


「そういえばこれ着陸大丈夫なの?」

「大丈夫ですよ。羽をパタパターってすれば」


なにそれ可愛い。


30分ぐらい空の散歩を楽しんで廃墟の近くの小高い丘にパタパターって着陸した。


「ここから降れば廃墟だ。町の隅にに大きな建物があるだろう?あそこにトロールがいるらしい」


廃墟の隅に大きな建物が見える。屋根には大きな十字架があり、ステンドグラスに光が反射している。どうやら教会らしい。


「普通の教会にしては随分大きいな」

「宗教が盛んな町だったのかもしれませんね」

「廃墟にはホブゴブリンが住み着いているらしい。ゴブリンより少し厄介だが、冷静に対処すれば大丈夫だろう」

「確か弓とか持ってるんだよね?警戒しながら進もう」


そしておっさんに的になってもらおう。


「そういやおっさん。一言も喋べってないけど大丈夫か?」

「・・・・・・・」


反応がない。


「気絶しているぞ」

「ウフ。ちょっと刺激が強かったかしら」


おっさん・・・。



3人はヴァンガードを起こして廃墟に向かった。

廃墟に着くと魔物の気配を感じた。何処からか見られているようなそんな気配。


廃墟を歩いているとふいにルルを目掛けて弓矢が飛んで来た!


「キャア」


矢はルルの足にかすりしゃがみ込む。


「上だ!おっさんはルルの盾に!キキは魔法玉で援護してくれ!」

「分かった!」

水鞭(ウィップ)!」


リントはすぐさま水鞭を使い、建物の上に登る。

上に登るとホブゴブリンが二匹いた。二匹が同時に弓をリントに目掛けて放つ!一本を剣で弾いたがもう一本は間に合わない。しかしその弓矢にキキの魔法玉が当たり弾いた。


「キキ!サンキュー!」


リントは素早く二匹を斬り伏せた。


「ルル。大丈夫か?」

「ありがとう。でもかすっただけだから」


足から出血してる。これは地味に痛いな。


「治すね」

「待て!MPは温存しとけ」


キキはそういうとポーションを取り出し自ら飲んだ。

するとルルの傷が塞がっていく。リントの擦り傷まで塞がった。


「おー!これがアイテム共有化か。凄いね」

「錬金術士は戦闘ではこれぐらいしか出来ないからな」

「いやいや、さっき魔法玉で弓矢を弾いてくれて助かったよ。ありがとう」

「と、当然だ。貴様に死なれては困るからな」


キキは少し顔を赤らめ照れた様な素振りを見せた。



その後4人は連携してホブゴブリンを倒しながら教会の前に着いた。


「トロールは首が弱点じゃ」

「そうみたいですね。リント君のアクロバティックな戦いに期待しています」

「が、頑張ります」


建物の中だとリントは有利に戦える。水鞭で壁を移動しながら首も狙えるからだ。


「では行くぞ!」


キキが協会の扉を開けるとそこには身長5mぐらいの大きな巨人がいた。肌は灰色でブツブツした甲羅のような模様があり、手には大きなこん棒を持っていた。顔は白い髪が掛かっていてよく見えない。


「グオォォォ!」


地響きのようなその鳴き声はまさに化け物。教会のステンドグラスが粉々に割れる。


「儂に任せろ!フォォォ!」


ヴァンガードが雄たけびを上げながら突貫した。


「だからおっさん!1人で突っ込むなぁぁぁ!」

★サーシャ先生の補足授業★

ハーピーは本来、手が羽になっていて自由に空を飛べれるわ。

キキとルルはハーフで、手も普通だから飛ぶ事は出来ないの。

でも2人で一緒に高い所からなら、腰から生えている片翼の羽で滑空が出来るみたいよ。

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