3 一斗side
愛とか恋とか、全然わからない。それに、わかろうともしない。
…その、はず…だった…。
何故だか、気分が落ち着かない。
診察室に入った大成を待ちながら、色々な事が思い浮かぶ。
つまずいてぶつかったとは言え、初めて、キスされた。それから、告白された。
相手は、男、同性だ。しかも、いつも一緒の幼馴染。あいつ、大成が、そんな事を考えていたとは、びっくりした。友達以上の何かってなんだろう。
僕は普段会社員だけど、家に変身して悪と戦う建築戦隊。代々建築戦隊の家系に生まれ、長男が後を継いでいく。僕は長男、他の兄弟は妹二人。
もし、僕が誰かと付き合う事になったら、建築戦隊のサポートで色々苦労を掛けるだろう。実際、母親も、先代建築戦隊の父親と、現在の建築戦隊の僕のサポートをしてくれている。
もし、僕が結婚をして、子どもができたなら、その子どもも建築戦隊を継ぐ事になる。僕のように争いを好まない子どもならば、きっと建築戦隊を継ぎたくないであろう。
だから僕は、誰も好きにはならない。そう決めていたんだ。
でも大成は、子どもの時からずっと一緒で、建築戦隊の仲間でもある。
だから、いいのか、大成を好きになっても…?
いや、大成は男ではないか。
診察室を終えて、大成が待合に来た。
「一週間後、消毒に来いってさ。ガラスは抜けたから、大丈夫だ」
「よかった。一週間後、一緒に行くよ。…一人でここまで来るの、大変だろ」
僕は恥ずかしくて、大成の顔をまともに見れない。
外は暗くなったけれど、夏の夜はまだ汗ばむ気温だ。
しっかりと歩けない大成を支えながら、このまま抱いてしまっても、悪くはない。
一斗はBL編で、はじけすぎな件。
まさか建築戦隊を子供に継がせたくないから、誰も好きにはならないなんて、そんなことまで、考えていたんだと、自分で書いたのにびっくりした、たかげるげでした。