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第二話

2話 別世界だ!



 周囲の喧騒に目が覚める

 どうやら、寝ている間に運ばれたようだ。テントの中に並んだベッドの一つに寝かされている。

 着替えさせられたようで、青い貫頭衣になっている。

 横を見ると、着ていた服が畳んでおいてあり、思っていたよりは、待遇は悪くなさそうだ。

 最悪、監禁されていたらどうしようかと思っていたところだ。


「目が覚めたのね。 まったく乱暴なんだから、後で絞めておかなくっちゃね」


 テントの入口から、人が入ってくる。

 白衣を着ているところから、医者である事がわかる。

 ただ、一つ問題がある。

 女医さんの頭にウサギの耳が付いているのだ。

 

 間違いないここは、別の世界だ。


「じろじろ見るのもいいけど、君の名前を教えてもらえるかしら?」


 思わず、顔をじっと見たままで固まっていたようだ。

 正直、軍人みたいな恰好したやつを見つけてから薄々感じていたが、現実を突き付けられるとショックが大きい。

 今までの苦労は一体何だったんだと、愚痴が出そうになる。

 しかも、この世界にきて早々まだ、一日もたっていない。

 いきなり厄介事に巻き込まれそうな予感に言葉が詰まる。


「言葉が通じていなのかしら? コノコトバハワカリマスカー? アナタノナマエヲオシエテクーダサイ。」


 言語に関しては翻訳魔法があるので問題はないが、黙っていたら言葉がわからないと勘違いし他の言語で話しかけているようだ。

 若干、変なイントネーションが付いているが意味は通じている。

 どうでもいいことに感心していると、女医さんの勘違いがどんどん進んでいく。

「困ったわね。 人族なら二つのどちらかは知っているはずなのに、どこかの獣族集落で育てられたのかしら?」


 困った顔をしながら、白衣のポケットから黒い板状の物をとりだす。


「とりあえず、ここに君の知っている文字はあるかしら?」


 渡された物を見てみると、そこには綺麗な映像が映し出されていた。


「こっ、これは一体っっ!」


「ちょっと、話せるじゃない、なんで黙っていたのよ!」


 思わず声が出てしまった。

 特に黙っている理由は無かったが、会話の流れ的に話す切掛けを失っていた。

 

 しかし、この渡された小さなテレビのような物。

 前の世界にはもちろん、元の世界にも無かったものだ。

 幼いながら記憶にある発展した機械といえば、白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機である。

 母が洗濯機欲しいわ~と言っていたのをよく覚えている。

 数少ない記憶だが家族の事を思い出すと、しんみりとしてしまう。

 元気にしているだろうか。


「さっきから、一体何を考えているのか、説明してもらえるかしら?」

「えーっと、すみません。 黙っているつもりは無かったんですが。 混乱しているうちに話す切掛けが無くなってしまって。 名前は百舌隼人です」

「まあ、混乱していたならいいけど、ハヤト君ね。 どうしてあんな所にいたのかしら?」


 言葉に詰まる。

 正直、なんて答えればいいのか全然わからない。

 異世界から来ましたなんて言われたら、自分でも意味がわからない。

 余計ひどくなりそうだ。

 なにかいい考えはないか、とりあえず誤魔化そう。


「こっ……これは何ですか?」

「スマートフォンのこと? 携帯電話だけど君はそんなことも知らないのね、渡した時の反応がおかしいとは思ったけど」


 しっ、しまったっっ! 

 よく考えれば、こんな子供に気軽に渡すってことは、それほど重要なものではないってことだ。

 普通に誰でも持っている物という可能性を見逃していた。

 それを知らないって、何て言い訳すれば。

 だめだ、この世界の事が分からないままじゃ、何を言っても墓穴を掘るだけだ。

 どうする、最後の手段として記憶喪失があるが、無理がありすぎる。

 ここは最低限の真実だけで誤魔化すしかない!


「はっ、初めて見ました」

「大人が持っているところも見たことがないの?」


 ぐっ、突っ込んできやがる。

 だが、先ほど携帯電話って言っていた、つまり、電話だ。

 どこかで見ていてもおかしくないはずだし、子供なら持たされていなくても不自然ではないはず。そう思いたい。


「そっ、そのような形の物を持っているのを見かけた事はあります」

「まあ、いいわ。 今は関係のないことだし。 聞きたいのはあの場所で何をしていたのかと言うこと」


 結局、質問は元に戻るのかよっ!

 しかし、助かった。このまま墓穴を掘り続けるよりはましだ。

 なにか、いい理由はないか。

 思い出せ、最初何か言っていたような気がする。

 たしか……、そうだ!


「地雷原! 地雷原を歩いていて、分からなくなりました……」

「そう、わかったわ。 ちょっと待っていてね、すぐ戻るから」


 思わず口から飛び出てしまったが、正しい選択だった気がする。たぶん。

 理由を聞いた途端、女医さんの表情が暗くなり、出て行ってしまった。

 良い方に同情してくれたと思いたいが。

 俺の行く末に同情されたのだとしたら……。怖い。

 自白剤、拷問、そんなことになったら、この体じゃ逃げるのも無理だ。

 外で何か話している。気になるので、ここぞとばかりに魔法で盗聴を試みる。


「そう。 そう。 地雷原を歩かされていたと言っているわ。 うん。 だと思う。 わかった。 じゃあそっちの処理は任せるわ。 こっちでやっておく。 たのむわね」


 話が終わったようでテントに戻ってくる。

 結局何も分からなかった。

 魔力が弱すぎて、相手が何を言っているのか全く分からなかった。

 何とかしないといけないが、今は目の前の事をなんとかしないとやばい。

 全然分からなかったが、何かヤルのは間違いない。


「あら、緊張しているのかしら? 安心して、もう何も心配する事はないから。 そうだ、言っていなかったわね、私の名前はアリスよ。 覚えておいてね」


 両手で肩を軽くつかまれて、抱き寄せられる。

 先ほどまでとは打って変わって、人を安心させるような頬笑み。

 先ほどのやりとりを聞いていた身としては、全く安心できない。

 だが、名前を教えてくれたという事は、信用してもらえたと考えてもいいのか?

 しかし、それすらも罠の可能性も……。


 大丈夫だ。

 子供相手にそんな面倒な事するはずない!

 そうだ、そういう事にしよう!


 正直、疲れた。

 急激に眠気が来る。

 アリスさんの頬笑みを見ていると、安心から眠くなる。

 首が支えられなくなり、視線が横を向くと、袖口から何か出ているのが見える。


 またかよ。

 魔法でレジストする前に、眠気に負けてしまった。



すみません、まだロボット出てないです。

次の話で出す予定です。

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