act3. 年齢
「あ、歳はいくつ?」
「まだ17歳です。」
「俺は20歳で、名前は晃。」
「年上なんですね。」
あ、やべっ…気を遣わせちゃうかも…。でも年齢を誤魔化したくないしね。
「でも、よく未成年に見られるけどね。」
「私から見たら、同級生より十分大人っぽいですよ!」
「…ありがと。」
久しぶりに?大人っぽいなんて言われた。大人っぽい…ってか、一応成人してるんですけど。まぁ、いっか。
「いつもここ散歩してるの?」
「はい!」
まだ敬語使ってるし。いつになったら止めてくれるんだ?俺が年上だからか。友達と話してる感覚でいいのに。
「可愛いね、菫。」
「うん。あたしが一目惚れして買った犬だからね。この毛の色も好き。だけど、一番愛くるしいのは目だね。」
おっと、犬の話をしたら敬語がなくなった。俺と同じこと行ってるしね。この調子で話をしていこうっと…。一緒に居て飽きないしね、瑠依は。でも、今日だけだよな。名前を知っていても、今日で最後だよな。
「もうそろそろで着くよ。」
「あそこだっけ?」
うろ覚えで、瑠依が言っていた店を指さした。確か…あのレトロっぽい所でいいんだよな?
「そう、あそこだよ。」
すっかり馴染んでるね、敬語なしに。犬の菫は瑠依の歩く速さに合わせていて、俺も二人の早さに合わせる。二人と一匹の間には、ゆっくりとした時間が流れる。太陽は沈みかけていて、空を紅く照らしている。
「寒くない?大丈夫?」
さっきまで暖かかったのに、日が沈むにつれ砂の温度が下がっていく。風も少し強くなってきた。すぐ帰るつもりで薄着で来たために、俺が少し寒かった。
「大丈夫。慣れてるから。」
店の近くには低い防波堤があり、その防波堤には砂浜とを行き来するための階段が付けられている。
瑠依は菫を抱え、階段を登る。俺もそれに続いて登る。上がりきったと思ったら、少しまた降りる。すると、店の前で瑠依が待っていた。
「晃さん、先に入って。」
「瑠依はどこ行くの?」
とっさに名前を呼んでしまう。本当は『ちゃん』って付けようと思っていたのに。でも、瑠依は少し驚いた様子を見せたがすぐに答えた。
「裏から入って、菫を家の中に置いてくるから、適当に座ってて。」
「おー、わかった。」
瑠依が裏に行ったのを確認すると、俺は店の中へ入った。
「いらっしゃい。」
マスターがいた。瑠依の父親なんだろうか…。何処に座っていいのかわからなかったために、カウンターに座った。
「何にしますか?」
水の入ったコップを俺の前に差し出しながら、俺に聞いてきた。
「ホットコーヒーを。」
「わかりました。」
きちんと豆からひいてるみたいた。瑠依が来ないために、俺は店の中をキョロキョロと見渡した。
「どうしましたか?」
マスターが俺に問う。