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人に優しくすることでしか生きられないのに、見返りを求めてしまう自分が嫌いだ。

作者: 森 go太
掲載日:2026/05/03

 全部諦めた。もう全部、どうでもいいんだ。自分のことなんて、全部どうでもいい。自我を出している俺は、やっぱりキモい。自分だけは幸せでも、誰も幸せにできない。誰も俺に、自我を出すことを求めていないんだ。みんなが俺に求めているのは、優しくて思いやりがあって、ちょっとひょうきんな俺であって、本当の俺と関わりたい人間なんか、誰もいない。人に優しくしたい。だけどそう思うたび、自分が優しくされることも、求めてしまう。でも俺を理解してくれる人なんか、誰もいない。みんな結局、都合のいい存在の俺が好きで、都合が悪くなると、みんな離れていってしまうんだ。もう俺は周りの幸せのために生きることに決めた。周りの幸せが俺の幸せなんだ。全部壊れるくらい、周りの幸せのために生きて、そのまま強制的に死にたくなりたい。みんなを笑顔にして、その記憶のまま、いなくなりたい。だけどそんな薄っぺらい偽善も、実は見透かされていて、軽蔑されているのだろうか。もしそうなら、俺は発狂して、自分の身体をズタズタに切り裂きたい。一番の理解者だと思っていた人間のことも、最近信用できなくなってきた。1人でいると、余計なことばっかり考えて、ダメだ。誰かに笑ってもらいたい。みんなに笑われていたあの頃が懐かしい。みんなに笑われていた頃、俺は張り付けた笑顔の裏で堪らなく嫌だったけれど、その頃の方がまだ幸せだったと思う。俺の心の闇を曝け出してしまったことは、失敗だったと思う。何をしていても、どれだけひょうきんに振る舞っても、周囲から同情されて、憐れみの目で見られているような感覚だけが、ずっと脳裏にこびりつく。俺は誰からも愛されないんだ。俺は気持ち悪くて、反吐が出るような人間で、きっと今仲良くしてくれている人間も、やがて何も言わず、徐々に離れていくに違いない。何で俺は生きているのだろう。こんなクソみたいな人格と、クソみたいな体で、どうして生きているのだろう。歳を重ねるたびに、無限に湧き出てくるコンプレックスが、俺に死ねと言っているように思える。神様から、お前はもう、生きる価値の無い人間だと言われているような気がする。俺に愛情を向けてくれる人はいるのに、全く信用できない。極度の人間不信。俺はいつからこんなに、生きるのが下手くそになったのだろう。俺はいつから、孤独が耐えられなくなったのだろう。あの頃の、みんな何も知らなかった頃に戻りたい。俺が俺の闇を曝け出す前に戻りたい。そしたらもうあれ以上の幸せを求めることなんて無いのに。ああ、ああ、俺はもはや人間じゃなくて、化物になってしまっている。気持ち悪い。気持ち悪い。身体が醜い蛙に見える。生理的嫌悪感に押し潰されそうになって、ゲコ、と鳴き声を上げた瞬間、全て放り出して、全部ぶち撒けたくなるから、必死に自分は人間だと思い込んで、何とか自我を保っている。俺は周囲の人を幸せにしたい。自分の全てを捧げても、幸せにしたい。その気持ちを利用しようとする詐欺師に、近づかないで欲しい。今はみんながその詐欺師に見える。みんなの心の中を覗きたい。みんな心の中を覗いて、本当に純粋な気持ちで、俺の厚意を受け取ってくれる人と、関わりたい。けどそんな邪な気持ちを、多分神様は見ていて、俺を嘲笑うのだろう。全部お前のせいだ。お前の偽善のせいで、みんな不幸になる。詐欺師はどっちだ。みんなを騙して、良い人を演じて、信じさせた上で落胆させているのは、お前の方じゃないか。ごめんなさい。俺はそんなつもりは無かったんです。俺はただ不安だったんです。不安で不安でしょうがなくて、誰にも嫌われたくなかっただけなんです。自分を愛して欲しかったんです。例えそれが偽りの姿でも、みんなに俺を好きになって欲しかったんです。誰も信じられない俺が、真実の愛を求めていたんです。みんなごめんなさい。騙してごめんなさい。騙してごめんなさい…


 窓の外では雨が降り続いていた。

 その雨の音を聴きながら、感情をぶち撒けて、

 俺が大切に思っている人の中で、俺のことを大切に思ってくれている人はどれだけいるのだろう、と考えながら、

 やっぱり人に優しくしようと思うのだった。

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― 新着の感想 ―
 森 go太さん、こんにちは。 「人に優しくすることでしか生きられないのに、見返りを求めてしまう自分が嫌いだ。」拝読致しました。  自我を求められていない、自分。  外ツラの、優しくて思いやりがあっ…
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