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聖女様と瓜二つ

 「そっか〜」とご満悦の笑みを浮かべる養父に笑みを溢す。まぁ代わりに、義兄達の機嫌は急降下していたがそれは知らん。この中で一番権力があるのは養父だ。後ヤンデレ度も養父が一番手に負えない。例えどんぐりの背比べだとしても、権力者には媚び諂い尻尾を振る覚悟が私にはある。


「父上。協定の事、お忘れじゃありませんよね?」

「ああ、あれ?反故しよっかな〜」


 あの馬鹿げた協定、もう結ばれてたんだ。是非反故してほしい。


「わかった。兄上がそのつもりなら、反故すればいい。まぁ、いくら兄上でも俺達全員を相手に出来るとは思わないが」

「…………」


 まさに今、一触即発な空気が漂う。

 いくら養父が一番の権力者でも、叔父や義兄達、さらにはチェイニーまで相手にするのは分が悪いのか、さっき私が上げてあげたご機嫌メーターが天から地に落ちた様な不機嫌さを醸し出し、押し黙ってしまった。私の努力が水の泡である。


 皆が暴れ出す前に、私は壁に掛けられた時計を確認してコホンと一度咳払いをした。


「もう。皆、喧嘩はよくありません。仲良くしないと、聖女様が悲しまれますよ」


 繰り出したのは必殺技。おかげで皆から剣呑な雰囲気が吹き飛び、気まずげな表情をして俯いた。

 この言葉を使えばだいたい90%くらいは問題解決出来る。100%じゃないのは私が15歳になった時、何千回と「聖女様が悲しまれますよ!!」と叫んでも解決出来ず、あんな事やこんな事をされたからだ。

 数十年前、この国を救ってくれた聖女様。

 当時を知る人達は皆口を揃えて絶賛する程の容姿を持ち、清く正しく美しい心を持った聖女様を、この頭のおかしな人達はずっと想い続けているのだ。勿論ライクじゃなくラブの方で。

 数十年も想い続ける人がいる中、私にあんな事をしてきたのは本当に頭おかしいとは思うが、寧ろ数十年も想い続けた結果、拗らせ過ぎて私に手を出さざるを得なかったのかも知れない。

 なにせ私は、その聖女様と瓜二つだから。

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