計画通り
「少し道を間違えただけだ」
素っ気なく応えるジュロンに、叔父の顔は見えないが、兄2人は怪訝な目でジュロンたちを見つめている。
「まさかとは思うが、街に行ったわけじゃないよな?」
叔父が振り返り私に問うてくるので、私はコクリと首を縦に振る。
「あちらが街に続く道なんですね。知りませんでした。ここに来る前にお父様たちに何か贈り物をしたくて、ジュロン様たちに頼んでお花を探していたんですが、少し遠回りをしてしまったみたいですね」
スラスラ出てくる嘘八百を並べ立てる。相変わらず、私の演技力は惚れ惚れする程素晴らしい。
「へぇ…。で、花は?」
手ぶらな私を訝しむ叔父に、私は笑顔で応える。
「私です!」
「……ん?」
「この世に私程美しい花はないでしょう?そこらに生えてる雑草のような花より、私の笑顔によって咲いた花の方が貰って嬉しいじゃないですか!どうです?見えるでしょう?この満開の花たちが!」
アニメや漫画でよくある、登場人物の周りを色鮮やかに飾る花の絵を、私はリアルで再現出来るのだ。
「悪い。何を言っているんだ?結局花は持って来てないんだよな?」
「やれやれ。お父様でも一度は結婚出来たのに、叔父様が今まで一度も結婚出来なかった理由がよくわかりました」
「兄上は跡取りが必要だったから子供を作っただけで、結婚はしてないぞ」
「えっ…」
それは知らなかった。てっきり離婚でもしたのかと思っていたけど、そもそも結婚していなかったのか。
「それでも、お父様には私の周りのお花が見えますよね?綺麗なお花がいっぱい咲いているでしょう?」
「うん、よく見えるよ。綺麗だね。このピンクの花なんて、君によく似合ってるよ」
「流石お父様はよくわかってますね!そのピンクのお花は桜なんですよ!私が一番好きなお花なんです!」
「へぇ、そうなんだ…一番ねぇ…」
ドヤ顔で叔父を見ると、溜め息を吐かれた。
「ルゥナ、お前も大概ヤベェな」
「何処が」
「幻覚見えてんのヤバイじゃん」
「幻覚じゃありません!まったく…やっぱり私の事を一番理解してくれているのはお父様だけです!」
「うん、そうだね。やっぱり僕が君の一番だよね」
「はい!」
ガシリと養父の首に抱き着くと、ジュロンたちまで溜め息を吐いてきた。まぁいい。街云々は有耶無耶になったみたいだし、計画通りだ。




