ドラゴン
私の中で妖精と言えばティンカーなベルで、木に住んでて小さくて可愛いイメージだ。そして私のイメージそのものな妖精たちが今、私の目の前にいる。
「可愛い〜!!私の小指くらい可愛いですね!まぁ、私の小指の方が可愛いですけど!」
「お前の例えって全然わかんねぇよな」
「これ程的を射た例えは無いでしょう。ほら!私の小指、こんなに可愛いじゃないですか!」
「…そうだな」
ジュロンの目の前で小指をピコピコ動かし、可愛さをアピールする。まぁ小指はいつでも見れるし、今は妖精に集中しよう。
「ここは何屋さんなんですか?」
「妖精喫茶だな」
「成る程」
前世でいうところのメイド喫茶か。妖精が作る料理ってなんだろう?
「オムライスはありますかね?」
「ないぞ。妖精共が出すのは樹の実や朝露だけだ」
「妖精してますね!」
暫く妖精たちが飛び回る姿を眺めていたが、そろそろ別の場所を見て回らなければ時間が無くなってしまう事に気付き、私は慌てて周りを見渡す。
「うーん…他に面白そうな場所は…」
キョロキョロ首を動かしても、とくに目につくものはない。
「女が行くのは決まって服屋か宝石屋だろ」
「後デザート屋」
「はぁ…」
それも良いけど、私はもっとファンタジーな物が見たい。
「ん?」
急に辺りが暗くなり、空を見上げると何か大きな生き物が空を飛んでいるのが見えた。
「あ、あれはまさか、ファンタジーの王道、ドラゴンでは!?」
真っ黒な身体に大きな翼、長い尻尾を揺らめかせ優雅に飛ぶその姿に目を奪われる。
「ああ、まだあの姿は見てないのか?」
「はい!ドラゴンは見た事ないです!近くで見れる場所はありますか?」
「見に行ったら確実にキーリスたちに見つかるぞ」
「え?どうしてですか?」
「あれ、お前の兄貴だからな」
「……………兄貴?」
ジュロンの言っている意味がわからず、私は首を傾げる。私の兄貴と言えばラディエスとソランジェだ。でもあの2人は人間だし、他に兄はいないけど…。
「ホントに何も知らないんだ。この国の皇族って、ドラゴンの血を受け継いでんだよ。だから稀に、魔力が強い者はドラゴンの姿になる事が出来んの」
「ドラゴンの血!?ドラゴンと人間がどうやって子作りしたんですか!?」
「いや、あいつ等だって普段は人の姿してんだろ。お前、獣人も見た事ないのか?」
「獣人!?そんなファンタジーな世界に生まれたんですか私!?妖精や獣人がいるって事は、まさかエルフやドワーフも存在するんですか!?」
「……あいつ等、そんな初歩的な事も教えてないのか?」
「はい。私、この国の名前もつい最近お城のメイドさんに教えてもらいました」
「あいつ等ヤベーな」
ホントにヤバイ人たちだ。それくらい教えてくれたってよかったのに、どうして教えてくれなかったんだろう?
「もしかして、聖女がなんかしたんですかね?奴等、僕たちと違っていつも聖女と一緒にいましたし」
「かもな」
え?まさかまた聖女様が原因なの?ホント、養父たちの聖女様への狂愛っぷりが半端ないな。




