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第21話

第21話


ホタルは、混乱と羞恥に顔を染めながらも、ぐっと唇を噛みしめた。

そして、はっきりとその目を開いた。


それを見た“声”の主は、満足げに低く笑った。


「……ふむ、茶番はこれまでだ。本題に入ろうか。

問おう、ホタル——お前は、何を望む?」


その問いに、ホタルの目が鋭く光る。


その瞳には、もはや怯えも迷いもなかった。

代わりにそこにあったのは、狂気と決意が同居する、静かな光。


「……おまえも含めて、全部——ぶっ壊してやるよ!」


その叫びは、鋭く、そして確かに空間を震わせた。


言葉とともに、彼女の身体から溢れ出したのは、目に見えない、だが圧倒的な“力”だった。


——咆哮のような衝撃波が四方に放たれ、周囲の空間がきしみを上げた。


「ほう……やっと目覚めたか、小娘……!」


声の主は、嬉々とした笑みを浮かべながら大きく笑った。


「ハハハハハハッ! ならば——好きにやってみろ、小さき者よ!!」


その瞬間、ホタルと“声”の主、ふたつの存在の力が激突した。


バァアアアアン!!!


空間そのものが、崩壊し始める。


光と闇が交差し、世界が歪み、境界線が崩れてゆく。

まるでこの世の理が壊れ、あらゆる法則が無効になるような——そんな異常な現象。


その向こう側、崩れゆく空間の亀裂から、目に見えぬ“何か”の気配が一瞬だけ漏れ出した。

得体の知れない存在たちの視線が、遠くからこちらを覗き込んでいたように感じた。


だが、それも一瞬。すぐに全てが霧のように消えた。


「……あれが……あたしが、これから向かう場所……?」


ホタルは、胸の奥に強く宿った意志を手繰り寄せるようにして、崩れゆく空の向こうをじっと見つめた。


そこには、想像を絶するほど美しい夜空が広がっていた。

星々が静かにまたたき、月が優しくその全てを包んでいた。


ホタルは、そっと目を閉じ、深く息を吐き出した。

そして、もう一度、目を開いたとき——


彼女は、すでに現実の世界へと戻っていた。



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