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『おい、お前たち。休憩は終了だ』
『今、行きます』
三人は急いで準備をして手伝いに参加した。
『おい、啓太はどうしたんだ?』
『あいつならすぐに来ます』
『まぁ、いい。レジは寺田さんに任せて、お前らは袋詰めや梱包作業を頑張ってやってくれ』
その頃、啓太は京子にそろそろ店に戻ることを伝えた。
『京子さん、店が忙しくなってきたみたい』
『早く行かないと怒られるわよ』
『うん。これ僕の連絡先。京子さんも教えて。僕から連絡するから』
『うん、分かった』
『ありがとう、じゃあ、行くよ』
京子は駆け足で掛けていく啓太を見送った。
『さて私も頑張るかな。よしっ』
やがて正午も過ぎ、暑さも少し和らいだ。
『隆太さん、ごめん。今から手伝うよ』
『早くこっちに来て信二たちと分担して作業してくれ』
『分かったよ。隆太さん』
こうして休む間もなく、バザー初日は無事に終わりを迎えたのだった。
寺田さんがみんなに言った。
『君たちのおかげで助かったよ。ありがとう。、これはほんの気持ちだ』
『えっ、まじっすか!ありがとうございます』
跳ねて喜ぶ信二を見ていた佐藤と久美子は声を揃えて言った。
『私たち、そんなつもりでお手伝いしたわけじゃないですから受け取れません』
『若いもんが遠慮してどうするんだ。私がいいと言っているんだ。気にせず受け取りなさい』
寺田さんはにっこり笑って言ってくれた。
『じゃあ、戴いておきます』
『ありがとうございます』
『すみません。ありがとうございます』
聡と久美子は深々と頭を下げた。
信二はまだ飛び跳ねて喜んでいた。
少し沈みかけて赤く染まった空の光景が、今日のうだる暑さを消し去っていった。
隆太はみんなに尋ねた。
『お前ら、明日も手伝ってくれないか?』
『隆太さん、僕は大丈夫だから』
啓太はそう言葉を残して足早に去っていった。