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『啓太、お前の連れか?』
『信二以外は初対面だよ』
『お前ら全員、時間があるなら手伝ってくれないか?』
『みんな、ごめんな。隆太さん、少し気性が荒いんだ。でもとてもいい人なんだ』
三人は啓太と一緒に手伝うことに決めた。
『じゃ、啓太。そいつらと一緒にさっきの続きをやってくれ』
『わかったよ、隆太さん』
バザーを楽しみに集まる人たちの数は凄かった。
どうやら今年は例年以上だ。
賑わいは例年のピーク時を超えていた。
商品を運び終えた啓太たちは、寺田夫妻と共に販売の手伝いに参加した。
売れ行きや客入りは好調な出だしを切った。
『啓太、疲れただろう。お前たちは休憩に入っていい』
啓太たちは寺田夫妻からの差し入れの弁当とお茶を戴いた。
テント内で直射日光を避けながら楽しく四人は食事をした。
信二が突然、大声を出した。
『おい、啓太。向かい側の花屋を見てみろよ』
『えっ・・・』
『あの花屋の店員。お前が好きだった女じゃないか。似てるよな』
『あっ、あの人は・・・』
啓太は切ない気持ちに胸が締めつけられた。
『俺の・・・好きだった女性』
『啓太、今も好きなんだろ』
『あぁ、今も好きと確信した』
啓太は懐かしい気持ちと愛しい気持ちで、身体の力が抜けたようにその場に座り込んだ。
『しっかりしろよ、啓太』
そこへ久美子が近づいて二人に言った。
『あの人、知ってるわよ。私の自宅の近所の花屋さんで働いている人よ』
『えっ、亜田さん。それって本当?』
『嘘言っても仕方ないじゃん』
『ごめん、そんなつもりじゃ・・・』
『わかってるわよ。啓太くん、あの人のことが好きなんだ』
啓太は高校時代に恋をした女性が、今は目の前の人であることを久美子と聡に伝えた。
久美子が言った。
『だったら話しは早いじゃない。今、話しかけてきたら?』
聡も後押しするように言った。
『そうだよ、今は休憩中でもあるし。チャンスだぜ。行ってきたら』
そんな二人に対して啓太をかばうように信二が言う。
『お前ら、わかってないだろうけど、啓太はデリケートな性格なんだよ。特に女にはな』
『信二、俺は大丈夫だよ』
『無理すんなって、啓太』
『大丈夫、少し話してくるよ』




