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『良子さん、アルファベットが書いてあるのが分かるかな?』

『確かに書いてあるわ。よく見ないとまったく気づかないわ』

『俺も啓太が話すまではまったく分からなかったんだ』

『よく気づいたわね、啓太くん』


啓太は付け加えるように言った。

『随分と古い物に間違いないよ』

『お前、女が訴えかけてくる夢を見たと言ったよな』

『うん?どうかしたか?』

『俺が思うにはだ』

『なんだよ』

『きっとこのアルファベットはだな』

『ああ』


信二は一呼吸の間をおいて、ゆっくりと話した。

『その女のイニシャルだな』

『イニシャル?』

『ああ、ひとつひとつに名前のアルファベットを刻んだのだろう』

『だけど何故、俺に・・・』

『それは分からない。でも俺の読みが当たっている可能性は大ありだぜ』


黙って聞いていた良子も言った。

『そうね。信二くんの言ってることは推測に過ぎないけれど可能性は充分に考えられるわよ』

『でも良子さん。名前だとしても特定の人間を探し出すなんて簡単じゃないよ』

『いや、名前だとしたら、きっと必ず自ら名乗ってくるさ。訴えかけてくるくらいだからな』

『残りの剣山を探し出す方のが大変だわ』

『啓太、やはり俺はお前に協力するぜ』

『私も力になりたいわ』


啓太は喜びを隠せなかった。

良子さんの優しさ。

何よりいつも自分を思ってくれる信二の姿勢に。


食事をしながら三人で話しをしていると、良子の携帯電話が鳴り出した。

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