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身の毛もよだつ想いのなか、啓太は次第にその声が大きくなるのを感じた。
恐怖心でいっぱいだったが、次第に別の感覚が押し寄せてきた。
それは温かいものでもあった。
啓太は汗びっしょりになりながら布団から飛び出した。
朝が訪れ、昨夜の出来事に気を奪われながらも、啓太は信二との待ち合わせの場所へと向かった。
昨日より風は冷たさを増して吹いている。
今日は良子の車で移動することもあって、信二も自宅から待ち合わせの場所まで歩いてきていた。
『よう、啓太』
『信二、もう来ていたのか。俺も早く来たつもりだったが待たせたみたいだな』
『そんなことはない。俺もついさっき来たばかりさ』
信二は啓太の浮かない顔を見て心配そうになった。
『昨日の話しだけど俺なりに考えたんだけど、剣山なんて捨てちまえよ』
『昨夜、不思議な夢を見たんだ』
『不思議な夢?』
『そう、不思議な夢』
『どんな夢だよ』
『女の子が何か俺に訴えかけてるんだ』
『女の子の声・・・』
『夢というより、現実かもしれない』
ふたりは漠然とした不安を感じながらも良子との約束の場所へと向かった。




