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行き当たりばったり勇者譚  作者: 青い傘
第二章 聖剣と封印
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メッカ火山 入口

 王都を出た勇者たちの行先はどこに向かうのか。途中で拾った馬車のなかで話は進む。


「まずはどこに向かうんだったっけ?」


「正気か?話を聞いていなかったのか?」


 事前に王都を出発してからの道のりはある程度伝えられている。それと魔王討伐ではあるが、すぐに魔王討伐に向かえばいいというわけではない。


「いや、話は聞いていたんだけど、固有名詞とか方角とかで言われても良く分からなくてね。もういいかなって」


 そんな能天気な勇者にあきれた様子のレオナンドは仕方がないと言わんばかりに説明を始める。


「どうせ忘れるだろうから。大筋だけな。早めに終わらせたいのは聖剣の回収だな。いつまでたってもその剣っていうのは勘弁したいところだしな」


 勇者が手にしている剣は王国の宝物庫から取り出したものとは言え、勇者と言えば聖剣。聖剣と言えば勇者と言えるほど聖剣と勇者の相性はいい。


 では、その聖剣はどこにあるか。それはこの大陸から少し海を渡った先にある島に封印されていると言われている。


「封印の場所も追々説明するとして今俺たちがいるのは…」


 いま勇者たちがいたのはこの世界で一番大きい大陸で一番大きな国である王国の中心である王都であった。王都は王国の立地的にもちょうど中心辺りに位置している。


 そして最終的に勇者たちが向かうと思っている魔族の住む地は同じ大陸に存在する。その地は空気中に含まれる魔力も多く、一般的な人間には住みにくい環境である。


「島に行っても封印が解けてないからな。俺たちで封印を解く必要がある。それで一番近いのが火竜が住むと呼ばれているメッカ火山だ」


 その名前には村を出たことがなかった勇者でも聞き覚えがあった。


 メッカ火山。はるか昔には火竜が住んでいて、火竜の怒りが火山の噴火と思われていたとも聞く。しかし、もはや伝説とされており、噴火もほとんど起きていないらしい。


 竜はその存在が伝説が故に冒険譚も多い。中でも火竜を題材にしたものは多かったから彼も印象に残っているのだろう。


 竜はあくまで伝説の生き物だ。ワイバーンのような竜に似ている亜竜類はいるが、純粋な竜は現代においては存在しないと言われている。というのも昔に絶滅したというのが通説であるからだ。奇特な研究者たちによれば生育環境が悪かっただの、狩られつくしてしまったなどいろいろな説はあるが証明されているわけではない。


「それにしても赤いね」


 そう。辿り着いたメッカ山は赤い。道中はいたって普通の道ではあるのだが、ふもとの時点から草木は数を減らし、溶岩のようなものが地からところどころ覗いている。そのため、


「暑いですね」


 馬車から降りたアイリスはポツリと感想をこぼす。それもそのはずで彼女は一年中、修道服を身に付けている。生地は薄手もあるらしいがまだ夏用のものは用意していない。


「暑いな」


 繰り返すように先に降りていた第三王子が袖をまくる。まだ、春先だったので長袖を着ている人も多い。ましてや、王族の服装には肌の見えるものは少ない。


「………死ぬ」


 続けて降りた暗めの紫色の服を着たミーシャはミーシャは王都と比べると大分顔色は良い。酔わないように魔法を使ったらしいが今度は暑さでばてそうな勢いだった。、


「ありがとうございました」


 最後に勇者はそんな暑さもものにしていないような快活さで御者にお礼を言いながら降りてくる。


「おうよ。気ぃつけてな」


 麦わら帽子をかぶったおっちゃんがそのまま立ち去っていく。気のいいおっちゃんであった。


 山に入るための道には木の板で出来た立て札が置いてあった。単に”危険”とだけ書かれたそれは熱で焦げたかところどころ焦げていた。


「それじゃあ、行こうか」


 一つ目の封印を解くため、勇者たち一行はメッカ火山に足を踏み入れたのであった。

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