突き当りと分かれ道
廊下で待ち構えていた刺客たちを縄でひとまとめに転がしたあと、状況を確認すると勇者たちは廊下の一番奥にいたらしい。一方に伸びた廊下は緩やかに曲がっているので、その先は見えない。
進む道は簡単に決まる。一つしかない道を進む。だが、そんな単純に行くわけでもない。
いくつかの部屋を確認しながら歩いた時に突き当たりに行き着く。
「どっちに行く?分かれるか?」
「大きさまでは探知してなかったんで、二手に分かれるのもありかなって感じ」
「個人的には右かなぁ」
「なんでだ?」
「何となく?」
全く当てにならない勇者は放っておくとしても、どちらに向かうかという議題に確固たる意見は出なかった。
「迷っているだけ時間の無駄だな。分かれるとしよう。俺とミーシャ、アイリスにリミーナの組み合わせが戦力が均等くらいか?」
「あーしも戦えますからね?」
「それでも戦闘職ではないだろう。それにあなたに何かが起こるのが一番まずい。…ここまで連れてきてとも思うが」
「いいんですよ。どうせあーしがいなくてもしばらくは結界は維持自体は出来るでしょうし、聖女が死ねば代わりの聖女が生まれるのは常識でしょ」
正式に聖女と教会が認めるのはただ一人だが、その聖女の能力にはランダム性がある。今回一緒にいる聖女の能力は結界特化型でその特性を生かして最前線の維持をおこなえているわけだ。次の聖女が同じように結界に秀でた人物になるかはどうかは分からない。だから、最前線を結界によって維持し続けることが可能とは限らない。
とはいえ、違う特性の聖女であればまた異なった魔族との対抗方法が採られるだろう。例えば、回復特化であれば、現状維持ではなく、攻勢に出ることも出来るだろう。聖魔法特化もそうだ。聖なる魔法は魔族に良く効く。
「だが、自分の命を軽薄に扱うのは感心しないな」
「そうだね。まるでいつ死んでもいいって口ぶりじゃないか」
「ん~、そうかもしれないね?あーしは必要とされているから生きているわけですし」
「……それはダメだよ。僕が許さない。君は生き抜くべきだ」
力強い言葉にそれ以上に言葉を紡ぐ気になれないのか、すっかりと静かになってしまう。
「…行くか」
沈黙を破ったのはレオナンドであった。




