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行き当たりばったり勇者譚  作者: 青い傘
第三章 水の都 ウィンデル
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水の都の戦い ミーシャ後編

 ミーシャが早速帽子から取り出したのはいくつかの瓶であった。


「………これを投げて当てるだけ」


 店で聞いた使い方はそれだけの単純なこと。ひとまず一番近かった魚人の魔物に赤色の瓶を投げる。


 魔法使いであるミーシャではあるが実は投擲技術は高い。この瓶のように投げて使う魔道具が多い性質上上手くなったというのが背景ではあるが。そのため、きれいな放物線を描いて、魔物の頭に当たり、瓶が割れる。


 瓶が割れると同時に何が起きたか。発火である。爆発とまではいかないが赤い火が魔族の顔を焼き尽くす。その燃焼速度は海に戻って消火させるという判断出来ないほどの速さで魔族を絶命させる。


 次に取り出したるは、緑色の瓶。これもまた投げる。その瓶が当たったのは亀の魔族であった。亀の甲羅は硬く、頑丈で物理攻撃に強い。彼女が毒々しい色の瓶を亀に向かって投げたのは偶然ではあったが、相手からしたら不幸な出来事である。


 何かを投げられた気配に気づき、甲羅の中に逃げ込んだのは良い。今までもそれが自分を守ってきた。経験則が彼をその行動を起こさせた。だが、今回に限って言うのであればそれが間違いであった。


 潜った甲羅に瓶は当たり、中身が飛び散る。液体は甲羅の表面にかかり、その効果を表す。掛かった箇所から甲羅が溶けていく、そんな現象。


 ただ、一つ計算外であったのは甲羅が思っていたよりも分厚かったこととそれに対しての液体量が足りなかったということである。


 甲羅を溶かしたことに違いはないが、それが致命傷ではないことは明らかである。ボロボロにはなっているが硬そうな部分が多いのがその証拠であろう。


「………もう買わない」


 落胆の表情で追加の瓶を亀に投げつける。その数は四本。亀の末路は言うまでもなく、全身が溶け、見るも堪えない姿に変り果てる。


「………次」


 次は瓶ではなかった。巻物である。一般には魔道具で巻物と言えば、魔法を巻物に封じ込んだものとされる場合が多い。特に巻物はその紐の結び方によって使い方が異なる。今回、ミーシャが取り出したのは蝶々結びである巻物。これは開いてから一定時間後に発動するものである。


 そして、その巻物に付与されていたのは何だったのか。


 それは空間の切り取りであった。効果はほんの一瞬。巻物が開かれてから二秒後、その巻物のある場所の直径五十センチほどの空間をどこかに飛ばす能力。それが世界のどこかなのか、異空間なのかは飛ばされたものしか分からない。


 例えばそれが頭に巻物を被せられたなら、胴体の半分ほどと頭はどこかに飛ばされ、下半身はこの場に残されるという現象が起こるのだろう。


 そんな推測を裏付けるのが目の前の光景であった。頭が無くなっているわけではないが、右半身が無くなっている。何かに抉られたような痕跡だけが残った死体と化した。


 その後も次々と魔族が現れるが、新しいおもちゃで遊ぶ子供のような笑顔でミーシャは魔道具のお試しは続き、無数の魔族の山が築かれるのであった。

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