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行き当たりばったり勇者譚  作者: 青い傘
第三章 水の都 ウィンデル
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水の都の戦い アイリス前編

 アイリスは負傷者のもとに、ミーシャは沈んだ船の救出に、男二人は上陸してくる魚人の撃退を行う。


 勇者一行についてきていた聖騎士は既に彼らのもとを離れ、避難誘導に一役買っている。


 ここではアイリスの話をしよう。魔族が攻めてきてからやや時間が経過したときの話である。


 予想のできていたこととはいえ、都民や貿易商、観光客には伝えることが出来なかったのだから、けが人が出るのは必然。さらに、いくら警備の目があったとしてもここは水の都。水さえあれば移動できる侵略者にとって水路は格好の攻め場所。ならば、けが人が続出するのは仕方がないこと。


 彼女は臨時で作られた避難所兼衛生所で忙しく、患者の世話をしていた。臨時とはいえ、教会本部の一部を開放することで十分な広さは確保できているわけだが。


 彼女にかかれば生きてさえいれば、どんな状態でも完治させるほどの魔法を使うことは出来るが如何せん魔力量だけが少なかった。だから、どんな人でもできる治療をすることしかできない。


 一度だけ、本当に命に関わる患者が運ばれてきたが、彼女は悩んだ。どうせ回復魔法を使用するならば、全体に回復魔法をかける方が効率は良い。だが、その回復魔法によってそれを求めるような人が多くなるのはその使用制限上避けたいところであった。


 だから、彼女はこうした。


『オールヒール』


 対象を個人ではなく、全体に。全体も診療所全体ではない。水の都ウィンデルを覆い囲うようにである。それも、この都に対して悪意を持つ者には効果を与えない。そんな離れ業を簡単にやってのける。それがアイリスという女であった。


 今回の襲撃でケガを負った者はもちろん、持病で体を動かせない者、元冒険者の無くした腕まですべてを癒してしまった。


「おぉ、奇跡だ」


「これはまさに聖女の御業」


 あちこちでそんな声が上がるのも仕方のないことであろう。


「さすがに少し疲れましたかね」


 流石のアイリスでもここまでの大規模な回復魔法には疲労を覚えたのか、その額には脂汗が浮かんではいるが、まだやることがあることを直感的に理解していた。


 今までいた仮設テントの中から汗を拭いながら外に出る。


 外ではこの場所を守るようにして騎士たちが全力を尽くしてくれている。とはいえ、外に出なければいけないその思いは間違いではなかったのである。

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