不思議な家の奇妙なお茶会
「それでお前は一体何なんだ?」
悔しいがおいしいと認めざるを得なかったお菓子やお茶を一通り食し、いったん落ちついた空気になると、レオナンドは当然の疑問を投げかける。
「ん~、僕はね~、良く分か~んない。一つ言えるの~は僕はこの家から離れることが出来ないし、この家は僕自身だろうな~ってことくらい?」
聞けば、どこからか彼がやってきたとかではなく、目を覚ました時には既にこの家が自身と納得出来ていて、自分に出来ることは分かったが、目を覚ました以前のことはまるで分からない。生を受けた瞬間にこの不思議な家になっていたということなのだろうか。
「おうちの妖精みたいなものですかね?」
「………それよりも魔術形態について気になる」
「たは~、分からないことだら~けだねぇ。まぁ、暇を持て余していたことだけは事実だね」
勇者たちのように、一緒にお茶会をしたのは実に数百年ぶりだという。少年自身の時間の流れはこの世の人と感じ方が違うのか、たった数百年と言える辺り、それ以上の年月を一人で生きてきたのだろうか。そう考えたのも無理はない。
「…僕たちと一緒に来る?」
それは同情からか、純粋な誘い文句かどちらにしても少年の返事は変わらなかったのだろう。
「ふっふ。それ~は無理だね。言ったでしょ。僕はこの家自身、動けないの~さ」
君たちに付いていくのも面白そうではあるけれどもね。呟くような後の言葉も全くと言っていいほど、残念さは見当たらない。彼の感情はどう定義されるのだろうか。
「よ~しよし次。今なら何でも答えるよ。さぁさぁ、質問カ~モン」
「………早く魔法」
「ん~、心に従えば、出来ることは出来ることは出来る。出来ないことは出来ないって分かるよ」
「聖剣についてなんか知ってる?」
「なんか強そうな剣?」
「最高の聖女―――アナスタシア様について何か知っていますか?」
「あ~、知らないなぁ。そんな名前の人がいたのは覚えているんだけど」
「お前、何にも知らないな。何なら知っているんだ」
知らない分からない、あまり使えない少年にレオナンドも呆れの表情を浮かべながら、問いかければ、
「む、そりゃあ知らないことが多かったけどさ~。あ~、良いのある~よ」
「もったいぶらずに言え」
「むふっふ。実は竜、ドラゴンは実在しますっ」
「うん、知ってる。それで?」
「へ?あ~と、え~と、それだけ」
ダメだ。本当にこいつ、使えないと一同が感じた空気を少年は話を変える
「そいえば、ここにき~たってことは泊るところでも探してきたとか?」
話題の転換もあまりうまくないなぁ。とそんな気持ちではあったが、勇者はその話に乗っかることにした。
「うん、君が嫌でなければ一晩止めてほしい」
「おっけおけ。下の集落には宿屋ないも~のね。たまにそういう人も来るんだけど、みんな怖がって逃げちゃうからさ」
「それじゃ、どんな部屋が良い?」
少年の無邪気そうな笑顔は到底信じられないようなことを息をするように行うのだった。




