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行き当たりばったり勇者譚  作者: 青い傘
第三章 水の都 ウィンデル
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野営後

 見張りの交代を二度三度繰り返し、朝を迎える彼らの顔色はあまり芳しくはない。野営を行ったことがないのはアイリスだけじゃない。レオナンドも勇者もミーシャもだ。自分が見張りをしないという意味では野営も行ったことはあるが、しっかりと睡眠をとることが出来ていた。初めてということもあり、その緊張感や短い睡眠などが彼らは大変だということを思い知ったのである。


「………眠い。死ぬ」


「そうですね。私たちが兵士の皆様にどれほどの負担を与えていたのかが良く分かります」


「野営も経験しておくべきだったか」


「いやー、意外とつかれるね」


 訂正しよう。一人はあまり疲れていないのかもしれない。とはいえ、全く疲れていないとも言えないのだろう、先述通り、顔色はお世辞にもいいとは言えない。


「もう野営はしない方向で行きたいところだな」


 朝食も食べる気分でもないが軽くパンと水だけでもとお腹に入れる一行にアイリスがある提案をする。


「勿体ないですけど…ヒ―ルしましょうか」


「………する。今すぐ、早く」


 この提案にいち早く飛びついたのはミーシャだったが全員がその意見に賛成だった。疲労を取るのに使う魔法はヒールでいいのか。それは問題ない。彼女の治癒魔法においてはほとんどがヒールで事足りる。


 体力の回復、ケガ、部位の欠損、毒、病気ですらヒールを唱えるだけで治してしまう。しいて言うならば、魔力量が少ないということが彼女の弱点ともいえるであろうか。彼女が勿体ないと言ったのもそこに理由がある。精々、片手の指の本数も使えれば僥倖だろうか。


 とはいえ、ヒールの一回を一人に使うのではなく、パーティ全体にヒールを掛けるという解釈をすることにより、一回のヒールで四人にかけることが出来るのだから、魔力の消費は抑えられている。


 ヒールを掛けられたことでむしろいつもよりも調子がいいんじゃないかというところまで回復した勇者たちは、次の街を目指すことにする。


「次は水の都 ウィンデルに向かうつもりだ。一つはここから近い中で一番大きい街だということ。それから、そこの港から違う聖剣の封印の場所がある島に向かえるからだ」


「うん、それでいいと思うよ。他にはウェンデル?何かあったりする」


「そうですね。私が所属する教会本部がありますね」


「………私は特に知らない。ただ、水の妖精ウンディーネの加護があるって聞いた」


 王国の中でも二、三番目の賑わいを見せるウィンデルは大陸でも随一の港を持っているため、それこそ、いろんな物や人が集まる。


「…まぁ、問題は今日中にたどり着けるかだな」


 また親切な馬車でも通りでもすればどうにかなるだろうが希望的観測をレオナンドは好まない。出来るだけ、理論的に現実的に思考するのは、王族の教育によるものか。方向性を決める。


「今日中に着くことが出来そうであれば問題はない。出来なさそうであれば、近くの村なりで一泊してから、向かえばいいか」


 ひとまずはそう方針を決め、水の都に向けて歩み始めた。

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