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行き当たりばったり勇者譚  作者: 青い傘
第三章 水の都 ウィンデル
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野営

 メッカ火山の聖剣の封印を解いた勇者たちはひとまず、最寄りの町に向かうことにした。が、メッカ火山のあれこれが終わり、竜の背中を堪能し終えたころには既に日は傾き始めた。


 行きのようにちょうどよく馬車が通りかかるわけもなく、彼らは少し歩いたところで野営を取ることにした。


「と、こんなところかな」


 手早く集めた木々に小さな火を魔法で作り出し、点火する。たき火の完成である。テントは荷物になると持ってこなかったが、ミーシャが魔法の絨毯を取り出したことは記憶に新しいだろう。ならば、その魔法の絨毯はどこから取り出したのか。


 ミーシャが被っているつばの広い帽子の中からだ。空間魔法を付与した魔道具だというのは今さっき知ったのだから、テントを持っていないのも仕方がないことなのである。


「そういえば、封印を解いたのはいいが、それも聖剣とか言っていたな。どういうわけだ?」


「これのことね」と抜いたときから剥き身の聖剣をポンポンと叩くと勇者は質問に答える。


「確証があるわけではないんだけどね。封印を解くと本体が抜けるようになるんじゃなくて、各地で聖剣を集めることで本来の聖剣が完成するみたいな?ちなみにこの状態だと、なまくら程度の切れ味しかないと思うよ?代わりに浄化の力は強いっぽいけど」


 笑いながら、「そのおかげで鞘に入れなくても何とかなっているけどね」と続ける彼。とはいえ、切れ味のない剣であっても剥き身で持っているのは外聞もよくはない。次の町で買うべきだろう。


 出発一日目ということもあって、用意できた夕食はそれなりに豪華と言えるのだろう。様々な具材を煮込んだスープと柔らかいパン。スープを両手に持ちながらアイリスが口を開く。


「そういえば私、野営って初めてなんですけど、見張りとかするんですか?」


 現在の野営場所は比較的大きな道。馬車が街から街へと行き来出来るするくらいには人通りも多い。だからと言って、盗賊も動物も魔物も出ないとは限らない。ならば、当然見張りも付けなければなるまい。


「そうだな。戦力的には男女分けた方が安定するだろうが、同性の方がやりやすいだろう。それに俺も話したいことが少しあるしな」


 ちらりと勇者の方を見ながらも、アイリスに返事を返す。それから「先に俺たちが見張りをやるから、少し寝ていろ」と寝るように促す。


 まだスープはお椀に残っていたが、あまり食欲がなかったのか、気を使ったのか。


「お先に失礼しますね。行きましょうか、ミーシャさん」


 ミーシャも連れ、少し暗がりの方へと去っていく。


 彼女たちも去ったところでレオナンドは勇者に切り出す。


「別に大したことを聞くわけじゃない。俺も王位継承権を捨てたとはいえ、王族だ。もしも、お前が良からぬことを考えていたりした場合は止めるのも俺の仕事だ。だから、正直に答えろ」


 レオナンドの右目が赤く光る。彼の持つもう一つの魔眼。『真偽の魔眼』。この魔眼の前には嘘をつくことが出来ない。正確には嘘をついているかが分かる。難点は、嘘かどうかが分かるだけだが、質問次第でどうにでもなる。


「はい、いいえの二択で答えろよ。お前は魔王を倒すために戦っているか?」


「うん」


「お前…。まぁいい。とりあえずはそれが聞ければ十分か」


「それが僕の存在理由だからね。違えることはないよ」


 いつもの少しお茶らけている感じとは違って、かなり真面目に見えたその様子にレオナンドも納得したのか、真面目な雰囲気は消え失せ、少しばかりの世間話と共に夜は更けていった。

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