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行き当たりばったり勇者譚  作者: 青い傘
第二章 聖剣と封印
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火竜2

 レオナンドに繰り出される攻撃を代わりに受け止めるように位置の交代を行う。


「ふん。まだまだ余裕だったがな…あとは頼む」


 強がっているのか息も絶え絶えではあるが勇者と交代するようにして後ろに下がる。


 勇者の剣は力をためたおかげか少しばかり光っているような気がする。


「たぁぁぁあ」


 続けて勇者は勢いよく飛び込む。迎え撃つように振り下ろされる腕に対して先ほどまでははじき返すのか避けるのが精一杯だった勇者だったが、力を全力でためた今は違う。


 剣閃が見えるのではないかというほどの鋭い一撃。


「グギャァァァ」


 鈍いままだったが、声は上擦ったかのように高い叫びとなって洞窟中にこだました。それもそのはずで、竜の腕は手首のあたりからスッパリと切断されている。


 血こそ赤かったが肉の色は紫色で人類とは違うことが良く分かる。


 まだ息の荒い竜であったが、その戦意が衰えることはない。勇者たちとしても、これで終わってほしいと微かな望みを描いていたが、そうもいかないと竜の瞳の光具合から察せられる。


「ブチ切れてやがんぞ」


 瞳の変化だけにとどまらない。竜の赤かった体はさらに赤味を増し、蒸気のような煙が出始める。さらには、山全体が震えているようなそんな感覚。


「これは…実際に揺れていますね。噴火でもするんでしょうか」


「………興味深い。ぜひ見てみたいところ」


 あまり危機感のないアイリスにこちらも少しのんきなミーシャ。


 ちゃんと危機について理解しているは誰なのか。レオナンドも書物上は噴火が及ばす被害については確かに知っている。城の書庫にも確かそういう記憶があったはずだ。しかし、それが実際に起きたときの対処法など載っているはずもない。起きたらまずい。その程度のものだ。


 ならば、勇者はと言えば竜との戦闘にほぼ全神経を集中している。最もそんな被害とは無縁な小さな村出身であるから、分かるはずもない。


 山の震えはさらに激しさを増し、頭上から岩の破片がボロボロと崩れ落ち始めている。


 これは本格的にまずいと思ったときに状況はさらに悪化するものだ。洞窟のさらに奥から甲高く響く叫び声。いや、叫び声というよりは咆哮というべきだろうか。


 またも、竜だ。先の竜よりも少し小さいが、その威圧感は今まで相手にしていた竜と比べても遜色ない。むしろ、迫力がある。


「まだ諦めるわけにはいかない」


 覚悟を決めるように声を出し、気合を入れる勇者。それにつられて、各自も気を引き締める。

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