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ゲーム世界に転生したので物語介入を始めます!  作者: 亜土しゅうや
準備期間編
9/73

第9話 欲しい物は何ですか?

 「ちょっと待ってサラ!?テルン先生と試合をするってどういう事!?」


 食堂でカレーライスを食べていたらカメリアとスリジャに絡まれた。さすが立場のある人間の行動は早い。私の剣、もしもう一本あれば多少釣り上げて売っても良かったかもな。まぁ売る気ないけど。


 私がテルン先生と戦うという情報はすぐに広がっていた。しかしたかが一教師と一生徒の戦いでそう盛り上がるか?


 「...なんでそんな盛り上がってるの?」

 「当たり前じゃない!まず魔剣ってのはすーっごく価値があるのよ!それを実戦で使うとなると誰だって見たいわよ!」

 

 あー...尋問中は混乱してて思い出せなかったけど。ボス魔物から稀に得られる装備、通称魔シリーズ。その価値は低レベルでも売ればかなりの金額が貰えるほど。そうだな...特に安いのでもこの世界じゃ8〜10年は無駄遣いし放題で暮らせれる価値があった気がする。そりゃまぁレアドロ確率5%に加えいつ起こるかわからない襲撃イベントなど、不安定要素の中の中でゲット出来る品だからねぇ。(思考加速終了)


 「それに加えてテルン先生の開発する魔道具は毎年賞を取って世に注目されているわ、そんなすごいもの同士の戦いは見たい...けど!サラはまだレベル低いでしょ!?」

 「あーそこは問題ない。」

 「へ?」

 「リズ、私のレベル見てみな...?」

 「鑑定魔法......え、21!?」

 「ええ!?私達まだ19なのに!?」

 「他の生徒は17あたりだね。」

 「そうよ!なんでサラだけレベルが!?」

 「この前の襲撃だねー...耳を貸して。」

 「「?」」

 「対盗聴魔法[ブレイク・イーブスドロッピング]。」


 一時的に盗聴防止の魔法を発動。


〜〜〜〜〜


 「...ここだけの話。襲撃で来る魔物ってね、どういう訳か経験値が普通のより増えてるの。」

 「そ、そうなの?」


 ※魔物襲撃イベントでの魔物は経験値が1.5倍。


 「それで無我夢中に蜘蛛斬ってたからこんなレベルになったの。」

 「そういえば...魔物襲撃に何度も参加した歴戦の騎士はかなりの実力を持ってるって聞いた事あるよ、それも関係しているのかな?」

 「そうだろうね。」

 「でもサラ...それでも先生の方が強いから気をつけてね。」


 学園の教師のレベルは最低でも34はある。


 「勿論、勝ってみせるさ!」


 なにせストーリー「が」クソなゲーム、レベル=強さじゃないのよ...あはっ。


〜〜〜〜〜


 というわけで学園北側にある競技用試合会場にやってきた。このエリアはゲームでも毎年何かしらのイベントで使われているので結構馴染みがある。それ故いざこの地に立ってみれば....。


 「私...ゲーム世界に転生出来たんだぁ....!!!!」


 感動ものなのだ。

 ストーリーで何度かイベント関連で立ち寄る為か大型エリアとして細かく作られていた。面白い事に座席には落とし物があるのでドロップ品として得られる。広い範囲にいーっぱい、しかもこれが1日経つとまた配置されるのでプレイヤーの間では通称[お道具箱]とも言われた。


 「頑張ってね、サラ!」

 「あはは...何もここまで着いてくることはないじゃん。」

 「でも、サラは何を賭けてるの?」

 「ん?」

 「だってこの試合は勝者が相手から何か一つをもらう権利があるんだよ?テルン先生は間違いなくその魔剣狙ってるだろうけどサラは何が欲しいの?」


 あー...そんなイベントあったな。

 そうだな...あ。


 「一つだけ...とーっても欲しいのがあるんだ。」

 「そうなの?教えて!」

 「ふふっ、秘密!」



ーーーーーーーーーー


 「お待たせしました!これより試合を開始します!ルールは簡単、どちらかが降参、または戦闘不能となるまで試合が続きます。そして勝者は相手の所持品を自由に一つ得る権利が与えられます!」


 会場は予想通り満席、話題vs話題ってすっげー。

 まぁこっちは騒がしさにカレーライスをゆっくり食べれなかったんだ。落ち着いて計画を練れる環境を取り戻す為にもなんとかしないとなぁ。


 さて、出陣!


 (パリッ)


 ん?...これさっき使った対盗聴魔法の範囲内に突っ込んだ時の感覚...。


 「うふふ...私とした事が焦ったわ。冷静に考えてみればあんな尋問せずともこうやって正式な試合でその剣を貰えばいいだけでした。学園長が出張中で事を荒立てたくなかったのが大きな間違いでしたわ...。」

 「ねぇさっさと始めましょうよ、他の生徒がダレるよ。」

 「ふっふふ...。」


 対盗聴魔法が切れた。


 「調子のんじゃないわよ、小娘が!!!」


 テルンは4つの魔道具をボックスから取り出す。

 それは魔法で飛び、撃てる...通称魔法銃と呼ばれる武器だ。どういうものかと言われると...そうだな、ビットやファン◯ルと似たようなものである。

 プレイヤーの間ではメカな装備でこれを扱う事で機動◯士風を楽しむというのが少々話題となっていた。


 テルンは杖を前に出し炎を収束する。


 「私を相手にした事、後悔なさい!!ファイアーキャノン!!!」


 5つも飛んできたのは初級魔法ファイアボールの強化版。

 こういうのは段違いの威力のファイアボールで圧倒するのが鉄板なのだろうけど私そんな魔法持ってませーん。


 とりあえず...知覚向上魔法「フィエルアップ」

 

  (あら...力量差に気づいて避けないのかしら...それとも避けれない?きっとそれよね!!終わりよ!!!)

 「....せやっ。」


 ジュアアッ!!!


 「...え?」

 「...ふむ、このパッシブ効果は液体で出るのか。運試しではあったけど火を消せるほどってやばいな。」

 「...まぐれよ、ファイアキャノン!!」


 思考加速発動、

 

 足音消去魔法「サイレントウォーカー」

 半透明化魔法「トランスルーセント」

 ヘイト増加魔法「マイヘイト」

 知覚妨害魔法「フィエルジャミング」

 風圧軽減魔法「ウインドスルー」


 蜘蛛討伐時の魔法を再発動、


 「っ、目が...!!」

 

 普通の人間が近くでしっかり見ればそうなって当然だ。視認しづらかろう、ドーンと私を見てもっと混乱してもいいんだよ?

 

 「小癪な!!フレアルーム!!」


 今度は範囲魔法で炎を広げる。

 確かにどこに居るかもわからない相手ならそれが有効だろう。でも見方を変えればただのヤケクソだね。

 

 ...いい事思いついた!

 

 「そーれ!」

 

 私は迫る炎を移動しながら剣を振り消してゆく。

 周りから見ればまるで凄まじい魔法から必死に逃げてるように。


 「テルン先生すげぇ...。」

 「あんなの突っ込んだ方がやばいって!」

 「逃げろサラ!!」

 

 観客の生徒達はテルンの技に驚いている。

 テルンの周囲は円形状に炎がいくつも広がっていて、下手に突っ込むと炎が飛んでくるし避けても魔道具のファイアキャノンの餌食になる。


 でも正直なんだろう...割といけそう。

 多分あれだ、蜘蛛襲撃であらゆる角度から襲ってくる攻撃をテンション任せで対処したせいかその辺の経験値も上がった...って感じなのかも。


 「よっ、そらっ!」

 「ちょこまかと...!!」


 テルン先生は痺れを切らしたのか魔道具でファイアキャノンを撃ちまくる。観客席側にバリア張ってなきゃ生徒が丸こげになってた、なんて事をしやがる。


 さて...そろそろかな?


 「...っは!?ゴホッ..ゲホッ...!?」

 「!!、なんだ、テルン先生が!!」

 「なに゛...ごれっぇほっ!?」

 「...毒です♡」

 「え゛...!?」

 「この魔剣の力は毒です、所有者の私の魔力がある限り酸性の液体と麻痺毒の混合液が付与されるのです。先程から炎で毒液を蒸発させた事でようやくテルン先生の肺に毒が届いたようですね!」

 「ぞんな゛...ぇごほっ..!?」

 「無理しないでください!あなたほどの教師がその程度の毒でくたばる姿なんて見たくありません!無事な内に...降参してください!」


 おまけに煽る。


 「....クソガキがああああ!!!」


 魔道具にかなりの魔力が注ぎ込まれてゆく。

 どうやらキレたようだ、戦闘において冷静さを失うのはまずい事なのに...。


 『ククク...見事な戦略だ小娘よ。』


 ...?


 『面白い、我の力を貸してやろう!』


 次の瞬間、私の魔剣の形状が変化した。

 刀でいうつばが黒く染まり、中央には目のような紫色の宝玉、鍔の横部分...?が蜘蛛の足のような4本形状、そして刀身が10cm増え75cm、白銀色の刃には蜘蛛の刻印が根本に浮き上がった。

 そしてどういう訳か力が湧き上がってきた。


 今の声が何なのかは知らない、

 でもマジか...これって...!!


 「おい何だよアレ...!!」

 「魔剣の見た目が変わったぞ...!!」

 「....なんて素晴らしい魔剣なの...!!余計に欲しくなったわ!!!」


 ...渡すかよ。


 「...そろそろ終わらせましょう、先生。」

 「ええそうね....私のものだああああーーーー!!!!」


 テルンは感情任せに炎を飛ばしてきた。


 『ククク...毒が効いて先程よりも威力が落ちてるなぁ、貴様なら楽勝だろ?』

 「...楽勝よ。はあっ!!」

 「...ああああああああーーーーーー!!!」

 

 やけになって突っ込んできたか...、

 でもどこを斬れば良いかがわかる、私の勝利だ。


 「じゃあね。」

 「っ...!!!!」


 その瞬間、炎が、魔道具が、テルンが..静かに斬られた。

 3回くらい斬ったのだがまるで手応えがない、まるで包丁で絹漉し豆腐を斬ったような感覚...。

 

 「...なんだ、私も武法覚えてたんだ。」


 無音武法[静寂の斬撃]


 音も無く相手を斬り裂く武法。しかしその実態は音も出ないほどに無駄な力無く正確に斬り裂く高精度強大な技術による斬撃。だから習得出来る人がすっごく少ないと学んだが...この魔剣すごいな...。


 『実に見事だ、小娘よ。』


 すると魔剣が元の見た目に戻った。

 そして先生は気絶していた。


 「...私の勝ち!」

 「サラが勝ったぞー!!!」

 「すげーぜ今年の1年!!」

 「すごい...サラ勝っちゃった。」

 「あはは...。」


 とりあえず剣を掲げて勝利ポーズ!


 「バカな...テルンが負けた!?」

 「俺の魔剣があああ.....。」

 「馬鹿を言え、アレは俺のだ!!!」

 「あの魔女め!!」


 おやおやー、仲間割れしちゃった。

 聞いてるだけで飯が上手くなりそうだ。


 「私の...魔剣...!!」

 「いいえ私のです。...では、勝者の権利を使うとしましょう!」


 私が欲しい物...それはただ一つ。

 音声魔法[マイク]...拡声魔法[スピーカー]と同調。


 「テルン先生、貴方が私を尋問するにあたって決定的な証拠となった監視魔道具をください!」

 「.....!!?」

 

 会場がざわつく、

 テルンや尋問時にいた教師の顔が真っ青になる。

 私は笑顔になる。

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