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ゲーム世界に転生したので物語介入を始めます!  作者: 亜土しゅうや
Chapter.3
80/81

第80話 勇者?:背負わされた運命

 マロウちゃん強化キャンプも終わり、

 夏休みも中旬に入った頃。


 夏真っ只中、日差しは強く日焼け止めもちゃんと塗っておかないと焼けてしまう。肌トラブルは油断してるとすぐ起きるのだ。


 あー薄明の森は快適だったなぁ、避暑地として優れすぎでしょあの森。トラブルが多いけど。


 まぁそれはそれとして。


 喫茶メモリーのマスターもギックリ腰が治り店も再び開店した。休業中はシアの子分蜘蛛が掃除を続けていたらしく、久々に訪れてみれば凄く綺麗っていうか明るい雰囲気がある。


 早速サラも店の服を着ており眼福である。

 こんな日常に感謝、今日もいい日になるな。



 〈死火山の岩場に集まる魔族を滅せよ。〉


 「...?」

 「どうしたのメリー。」

 「どしたメリー。」

 「いや...なんでm...、」


 〈死火山の岩場に集まる魔族を滅せよ。〉


 「...滅せよ。」

 「???」

 「魔族を...。」

 「魔族...?」

 

 (なんだ、フラフラ立ち上がって?)

 (何か様子が変だわ。)


 「死火山...岩場...。」

 「え?」

 「こんにちはー!」

 「こ...こんにちは。」

 「あ、マロウちゃんにフヨウ...ってそっちもどういう状況?」

 『邪魔するぞ!』


 曾孫二人を抱き抱えるひいおばあちゃんこと、

 最上級悪魔の蒼黒の皇魔モフィラ。


 「あれ、カメリアさん何か様子が?」

 『お?...何かくっついとるな。』


 モフィラはカメリアの背中の付近で手刀を振る。


 プツンッ、


 「メリー!」

 『...今のはなんだ?』


 するとカメリアは糸が切れた人形の様に倒れこむ...寸前にサフラが抱えた。


 「...何が起きている。それにさっき死火山の岩場に魔族がどうとか...?」

 『...お主らはそこへ向かうといい。この者は我が観といてやる。』

 「ありがとうございます。」


 私はイヤーカフを取り付け魔力を込める。

 以前リズと使った変身...というか早着替えだ。


 「行こうリズ。マスターちょっと行ってきます!」

 「気をつけていってらっしゃい。」

 

ーーーーーーーーーー


 頭の中に声が流れ込む。

 

 〈今こそ使命を果たせ。〉


 ...と。


 なんのことやら、私はただの女子学生。

 そんなご大層な使命なんて心当たりはない。


 ...もしかして委員会の仕事が残ってた?

 それとも女優サフラへの推し活量が足りなかった?

 それはまずいぞ...!


 〈今こそ使命を果たせ。〉


 ...いや、違うっぽい。

 使命って何?

 私そんなの背負わされた記憶なんて無いんだけど。

 ていうかここどこ?

 真っ暗なんだけど。


 〈死火山の岩場へ向かえ。〉


 え、なんで。それでここどこ??


 〈勇者の使命を果たせ。〉


 ...勇者?

 勇者って魔王とか倒すアレ?

 

 〈勇者の使命を果たせ。〉


 ...もしかして強制される感じなの???

 

 「なんか嫌です。」

 〈使命を果たせ!!〉

 「モガッ...!!?」


 真っ白な鎖に全身を繋がれた。

 動けない、何これ!?


 〈今こそ使命を果たせ!!〉

 『主に触れるな!!』

 

 鎖が木っ端微塵に砕ける、

 なんとアテナがそこにいた。

 

 『下郎が、我が友人に手を出した事を後悔するがいい...[蒼黒神通力]。』

 「モフィラ...さんまで!?」

 『主よ、少し失礼!』

 「へ?」


 次の瞬間、目の前が暗転した。


 

 「ぅわあ!?...ってあれ、え?」

 『目が覚めたか主よ!』


 目が覚めると喫茶店のソファで寝ていた。

 周りにはアテナや皆がいた。

 サラとリズがいないけど...?


 「大丈夫ですかカメリアさん!」

 「凄くうなされてましたよカメリアさん。」

 「え...そうなの?」

 『...気配は消え失せたな。ちっ...逃げ足が速い。』

 「えーと?」

 『カメリア...其方は勇者の称号を持ってしまった様だ。』


 勇者の称号...?


 『勇者の称号は世界の均衡を乱す存在が現れた時に、それを元に戻す為に...それを戻せる存在へ与えられる称号...と言えば聞こえは良いが。』

 「?」

 『実際はな...その均衡が大きく傾こうな時に己の意思を上書きし、均衡を戻そうと動かされる。ある意味洗脳や操り人形と大差ないものだ。』

 「...!?」

 『その上の称号を持つ者には多くの悲劇が待ち受ける。何せ均衡を戻すとは言うが犠牲が出ないと言っていなければ途中倒す相手が魔族とは限らないのじゃ。』

 「...その称号を取り除く事は?」

 『...無理じゃな、これはお主でどうにかする他ない。運命といえよう、それに今度は誰に押し付けられるかもな...。』

 『...誰がそんな事を。』

 『天秤の神じゃな。』

 『天秤だと...私は戦の女神だ、同じ神として過去に会ったことがある。正直...世の中の均衡を保つ為なら手段は選ばない奴だ。』

 「...じゃあ。」

 『?』

 「私は...誰か...大切な誰かを斬ってしまう可能性もあるって事?」

 『...そうじゃ。じゃが我がそうさせん、好き勝手に人の運命を弄くり回すソレを片鱗でも観てしまったからには無視は出来ん。アテナよ、次に奴の干渉があればもう一度...だ。』

 『何故お前が指示...いや、気にしてる場合ではないか。私も蒼黒に賛成だ、だが奴は今どこに...。』

 『サラとやらから神の気配...いや残り香か?それが漂っておった。あやつ、神と接触しているなら何か知っておるかもしれぬぞ?』


 そうだ、そう言えば...サラは3年前にある人達に助けられたと言っていた。もしかして...。


 「モ...モフィラおばあちゃん。サフラさん助けられる...?」

 『案ずるな、お前の好きな人は守ってやる。』

 「あれ、そう言う呼び方なんだ。」 

 『そりゃそうじゃ!我の自慢の曾孫じゃぞ?』



ーーーーー


 「いっちょ上がり。どうやら山岳ルートにいた巡回騎士を襲おうとしていた様だけど...。」

 「なんでメリーが知っていたのだろ?」


 死火山の岩場、

 私とリズは来てみればそこに本当に魔族がいたのだ。


 私達を見るなりいきなり襲いかかってきた。

 まぁ大した強さなんて持ってなかったから1ターンキルでしたよ、はい。


 「...どうも引っかかるな。」


 実のところこの展開は知っていた。

 いや、ちょっと違う。


 山岳ルートの巡回騎士が魔族に襲われ“た”のを聞いて主人公が駆けつける。前の呪術を行っていた奴とは別のグループが動き出したってところだ。


 目的は...死火山の強制活性化。

 やろうとしてる事がヒーロー系に出てくる悪の秘密結社染みてるかもしれないが、普通に洒落にならない。


 ...あのメリーはなんと言うか、


 「まるで誰かに操られてた。」

 「!」


 リズもそう思っていたんだ。


 ありえるとしたら...ストーリーイベントを強制進行させられたのか?


 なら誰が動かした、この世界は現実だ。

 操り手としてのプレイヤーはいない。

 

 「リズ、まだ魔族いる?」

 「いないわ。戻りましょう。」


 ...そうだ、今はメリーの元へ戻ろう。

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