第79話 空蝉:死神さん
上級悪魔召喚、
代償次第で召喚する悪魔が変わる。
例えばHPだと、
半分程度ならそこそこ、
9割ならかなり、
命...全て消費となれば相当なのが召喚出来る。
最上級悪魔は五つの色がある。
用途によって悪魔の色が変わる。
蹂躙の赤、深紅のガネト。
・相手全体にダメージを与える。
・自分、またはパーティの攻撃力を高める。
沈黙の青、蒼黒のモフィラ。
・相手全体にランダムでデバフ。
・相手全体のバフを消して継続ダメージを
与える。
狂乱の黄、金閃のザニア。
・自分のパーティの速さを高める。
・一度だけ“絶対先制攻撃”か“絶対回避”を
行える。
恩讐の白、白銀のダリア。
・自分のパーティの防御を高める。
・パーティ全員が一度だけ被ダメージが0に
なる。
虚無の虹、月虹のネーション。
・敵を倒した際、手に入るのがドロップか経験値
のどちらかのみになる代わりに経験値は獲得量、
ドロップは獲得率が3倍になる。
・上記のどちらも獲れない代わりに
レアドロップ率がランダムで上がる。
(最大5倍)
月虹以外の最上級悪魔を召喚時、
パーティの誰か一人が命を落とす。
(一応復活可能。)
代償が代償なだけあってその強さは他の悪魔とは段違いに強力。プレイヤーの間では“死亡時に発動するスキル”を発動後にこれを使って戦うのが流行っていた。
そして今、
今まさに目の前にいるのが...、
「蒼黒の皇魔モフィラ...!?」
『これはこれは、我の名を知る者が現代にいるとは...光栄じゃ。そう、我こそはモフィラ。最上級悪魔が蒼黒である。』
『離れよ、皆!!』
『おやおや、戦の女神とこんな所で会うなんてのー。』
不味い、守れるのか。
皆を無事に守れるのか?
いくらなんでもこんな改変は悪質過ぎるだろ。
『ほーぅ、これはこれは。お主ら若く幼いのに優れた力を持っておるではないか!とても喰らい甲斐のある魂と血肉、久々に豪華な食事といこうではないか!!』
「メリー、リズ、シア、アテナ!!!」
最高戦力で挑む以外何もない。
私達でこの化け物を抑えられるのか...?
「...死神さん?」
「!?」
『お...?』
マロウちゃん、前に出ちゃ...!
「その声、死神さんだよね!!」
『!!...お主まさかあの時の。』
マロウちゃんはフードを外し、顔を見せる。
『...!!!?』
「その感じ、やっぱりあの時の死神さんだ。」
『お主....治ったのか!?立てるのか、歩けるのか、生きておるのか!!?』
「え?え?」
え、なに、なに?
「マロウだよ!元気になりました!!」
『...!!!』
なんだ、どういう事だ、何が起こっている。
蒼黒の皇魔モフィラがマロウちゃんを涙目で抱きしめている...!?
『ああ...そうか、そうか!良かった、マロウよ!お主は今ここにおるんじゃな!良かった、良かった!!』
「...知り合い?」
「えーとね、」
ーーーーー
これは9歳の頃。
この頃も私は病院で寝たきり。
特にこの頃が一番命が危うい頃だった。
長くても15歳から18歳まで生きれるかどうかって程に。
あの日の夜、
台風がこの国にやってきていた。
落雷か何かの災害の影響か、
生命維持やその他の医療魔道具が一斉停止を起こした。
その上私の容態も急変を始めた。
幼い私の命運もここまでだと思った。
たった9年という短い時間を。
『これ、そんな無駄に荒い呼吸では死神さんが魂を刈り取ってしまうぞ。』
「...?」
『手を貸してやる、』
私はなんとなく頭に入ってきた方法を、
とにかく落ち着いて、大きくゆっくりと呼吸をする。
『そう、いい子じゃ。』
体が少し楽になってきた。
『よしよし、我がいてやる。』
そうして少し経った後、
医者や看護師がとんでもなく慌てて部屋に入ってきた。
生きていた私の様子を見て奇跡だとかよく生きていたと言っていた。
この時には声は聞こえてなかった。
幻聴なのかなと思っていたが...次の夜、
『どうじゃ、生きておるか?』
また聞こえてきた。
「...誰?」
『お?そうじゃな...魂を刈り取りに来た死神さんかもしれんぞ?』
「...昨日は...見逃してくれて...ありがとうございました。どうぞ私の命を...、」
『いやいや達観しすぎじゃろ。』
「?」
じゃあ何をしに来たのか。
『我はお主に会いに来ただけじゃ。』
「??」
『お主、体がとても弱いんじゃろ?何かあった時の為に我がいてやる。見ていて心配じゃ、退屈は凌そうじゃ。』
「そうですか...。」
そんな毎日が続いて1週間が経った頃。
「ハァ....ハァ...。」
熱が上がり、体が痛い。
肺が苦しい、呼吸がしづらい。
『大丈夫か。』
死神さんが私の胸に手を置くと、体が楽になってきた。
『肺か...魔力が尽きかけておる。我の魔力を分けてやる。』
「...なんで。」
『?』
「なんで私...こんなに弱いのかな。」
私は泣いてしまった。
『...。』
死神さんは私の体を起こし、抱きしめた。
「!?」
『...我にはお主の体を治す事は出来ん。我に出来るのはこうやってお主を抱きしめる事だけじゃ。...ごめんなさい。』
初めて触れた死神さんは思ってたよりも温かく、
優しい何かを感じた。
「...死神さんはなんでここにいるの?」
『...ここは寂しい場所じゃ。別れを告げようとする魂ばかりでな。死神はあの世へ行く魂が迷わず進める様案内するのが役目じゃ。神と名がついておるがれっきとしたただの案内人じゃ。』
「...私なんかに構ってていいの?」
『ドライじゃな。いいんじゃよ、死神は他にもおるからの。』
「そうですか...。」
死神さんは頭を撫でる。
『ずっといる訳では無いが、まだしばらくはおるよ。』
「...ありがとうございます。」
ーーーーー
「その後2週間は一緒にいたけど、急にいなくなっちゃったんだ。」
『元々我はあの病院近くで呪術を使った者に召喚されたんじゃ。興味本意で呼び出したのか生半可な知識なせいか我を呼び出した代償で命を落とした。なんの命令もないので本来は1週間で元の次元に戻る予定じゃったが、あの病院を見つけたのじゃ。』
「その間どうやって顕現していたんだ?3週間だろ?」
『丁度いいのがおっての。』
マロウちゃんの耳を塞ぎモフィラは、
『実はマロウの事を金ヅル呼ばわりしておった陰湿な看護師がおっての。気に入らんから魂を喰らってやったのじゃ。』
「めちゃくちゃありがとうございます。」
マロウちゃんの頭を撫で始めた。
『普段はそんな事気にせんのに、あの時目に入ったお主の事が放っておけなくての。また会えて嬉しいぞ。』
「えへへ。」
あーまたマロウちゃんの乱れた髪が更に乱れる。
『...。』
「ん?どしたのシア。」
どした、鼻をスンスンして。
『二人とも...。』
「?」
『なんでかは知らないけど...臭いが似てる。』
「???」
『一緒におるからじゃろ。というかお主魔物の癖に随分高位の魔力を持っておるな。』
『いや、そういうのじゃない。もっとこう...血に関する深い何か...?』
『血じゃと...?』
「...え???!」
「今度はリズがどしたの。」
「...サラ、これが今私が見てるマロウちゃんのステータス。」
「...はああ!?!?」
「多分...これだよね?」
ーーーーーーーーーー
マロウの兄フヨウ、夏季休暇中...自宅にて。
「え、混血?母さんそれどういう??」
「そうよ、私のおばあちゃん...貴方のひいおばあちゃんは悪魔なの。でもお祖母様の魔法で悪魔に関する遺伝は肉体には現れてないの。継がれているのは...そうね。お祖母様は高位の魔法が使えた影響か魔法への高い適正はあるし、何かしらに飛び抜けて高い才能が芽生える筈よ。それと...、“悪魔召喚っていうあまり知られてない儀式でなんの代償もいらない”。ってところかしら?お祖母様はとても高位の悪魔だったらしいから下位の悪魔程度なら貴方でも自由に操れちゃったりして?」
「そんなまさか...。」
そう言えばだいぶ前にマロウが死神さんと会ったとか言って、顔は覚えてないけど人間ではなかった。でも温かかったとか言ってたけど...もしかしてその死神が...いや、まさかな。
いやでも高位の悪魔族なら普通に生きてそう。
あー...カメリアさん達なら絶対どこかで会いそうな気がする。
もう会ってんだよね!




