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ゲーム世界に転生したので物語介入を始めます!  作者: 亜土しゅうや
Chapter.3
77/81

第77話 空蝉:マロウちゃん強化キャンプ②

 「...。」

 「キキッ、コムスメ、ドコニキエタ!!」


 暗い森の奥、クレイジーフェアリーが誰かを探している。


 

 ドスッ


 「ギッ...!?」


 どこからか音も無く針...いや、矢がクレイジーフェアリーの脳天を貫いた。


 クレイジーフェアリーは僅かな断末魔を残し、静かに消えた。


 「...20匹目。」


 黒緑の服装、目は鋭く冷たい。

 その手にはクロスボウ、矢には毒が塗ってあるようだ。


 「んー、この距離なら[サイトアイ]の倍率はもう少し低くてもいいかな。高すぎると狙いづらくなる。」

 「はい、サフラさん!!!」


 マロウだ。


 「んじゃ一旦ここまで。私はメリーと買い出し行ってくるから戻ってて。」


 時を遡ること数日前...、


ーーーーー


 「これって...クロスボウ?」

 「そう。ヒットマムズ社製品の中でもとりわけ優秀なクロスボウ、[サイレントセイバー]だ。」

 「ひっと...まむし...?」

 「ヒットマムズ社。金属を使う生活品やその部品だけでなく聖鉄など武器の金属、ゴーレムまでも製造加工をする大企業だよ。基本はゴーレムやインフラに建築関連が主力だけど20年くらい前に武器生産も開始した。この辺り結構歴史あるからマロウちゃんだと来年くらいにはテストに出るよ。」

 「ええ!?」


 (H)eavy (I)ndustry (T)hat

 (M)akes (A)ll (M)etals (S)hine

 -あらゆる金属を輝かせる重工業-


 「私が知る中のクロスボウはこれがいいと思うな。」

 「といいますと?」

 「レアドロップのクロスボウはこれほど汎用性のあるのは滅多にないしクセが強かったり、壊れない性質故に変に改造も出来ない。変形出来る物はあるけどそこそこ魔力を使わなきゃならないのが厄介。隠密で使おうにも目立つ見た目や帯びている魔力、それを抑えようと発した魔法で敵に気付かれる事がある。だから手入れが必要だけどパーツ単位で個人に合わせれるこっちが良いって訳。」

 「なるほど...。」

 「まとめるとレアドロップは細かい調整が効かないのが痛い。なら高性能で金さえあれば割といつでも手に入ってカスタマイズ出来るこっちの方が優れてる。」

 

 私の稼ぎならなんの問題もない。

 使い潰すつもりでも構わない。


 「まずはパーツ単位でバラして組み立て、メンテナンスの仕方から教えていくから見ててね。」

 「は、はい!」

 「皆んなは周囲警戒しつつ引き続きキャンプの準備よろしくー。」


 そう言ってサフラはマロウに説明を始めた。

 聞こえてくる単語や説明は聞いた事もない呪文の如く、下手に耳を澄ませば脳内に疑問符が思い浮かぶばかりである。


 どこでそんな知識をと思うも3年くらい会ってなければどこかで覚えてるんだろうとカメリアとスリジャは解釈した。

 しかしなんか妬ける気持ちがあるらしい。


 なお本人は前世の知識をゲーム解釈交えて説明しているだけ。前世で本物なんて扱ったことはない。


 あ、現世ではちょっとだけ扱ったのだとか。

 

 「...うーん、サイトシステムっていうのはいるのでしょうか?」

 「結構いるよ。魔法で視覚倍率変える魔法はあるけどさっき言った様に位置バレや余計な魔力消費に繋がる。マロウちゃんは魔法適正結構あるけど体力や持久力がまだ低いからね。それにアナログな物も持久戦に於いて有効だ。先に体力強化特訓と行きたいけど理由も無くただ運動しても意味はない。それに必要のない筋肉をつけるのも機動力低下に繋がるのであまり良くない。マロウちゃんは意外と柔軟性が高いから多少狭い場所や低い姿勢でも動けると思う、その辺りを伸ばそう。」

 「ふむ。」

 「だからマロウちゃんには最低限の筋肉と結構な体力をつけるのが強化キャンプのメインとなります。」

 「はい!」

 「勿論、これを装備した上でです。しばらくはマロウちゃんに合う様、後々調整する為のデータを取るから付きっきりになるけどいい?」

 「いいです、凄く良いです!!ああ...サフラさんと一緒にいられるなんて...私幸せです!」

 「そ、そう。」


 あれ、なんか嫉妬に似た視線を感じたぞ?


 「んん...まずはクロスボウと予備のナイフを装備した上でランニング。魔物は出くわし次第戦闘で行くよ!」

 「はい!」

 「キシャーーーッッ!」

 「走る前に出ました!!」


 はえーよ。


 「まずは構えて!」

 「はい!」


 私は現れた魔物の手足を糸で固定する。

 

 「まずはどこでも良いから撃ってみて。」

 「はい...!」


 マロウは呼吸を整え、静かに射つ。


 「ギッ....!?」


 なんと頭は固定してなかったのに脳天一発だ。

 すっげ。

 

 「やった、当たりました!」

 「よし、じゃあ走って行くよ!」

 「はい!」


 長くなるので、

 ここからは彼女の成長記録を簡単に書こう。


 マロウちゃんは意外にも体力というか呼吸やスタミナの使い方が上手い。ガス欠ならない程度のペースを理解していた。


 また、魔物が現れた時に気配を隠す為の息を早くも学んでいた。

 夏休みが明ける頃には大幅な成長が見込める。


 ただやはり筋力はすぐにどうにでもなる訳じゃ無い。

 加えてマロウちゃんの元の素質じゃ私達程の筋力は期待出来ない。無理に鍛えるのもダメだ。


 クロスボウ本体には弦を自動で装填準備する魔道具を組み込んで置くべきか。どうせ金かけるならボルトの自動装填魔道具も付けておいたほうが隙が少なくなる。


 さて、彼女の柔軟性だが...かなり柔らかい。

 筋力は最低限の方がいいだろう、筋肉つけると体がその分硬くなる。

 もみもみ。


 「わっ、ひゃひゃ、くすぐったいですぅ!」


 羨ましい、その上体幹も1週間経った頃にはもう成長し、変わった体勢でも相手をしっかり狙えていた。

 もみもみ。


 激しい前線はまだまだ厳しいが、スナイパーとして後方支援はそろそろ最低限は戦えるだろう。


 しかし見つかった場合、囲まれた場合も想定しなければならないだろう。撃ってはポイント変えるような、早め早めの行動も必ずしも成功する訳ではない。


 

 ...と、色々考えてる内に。


 「...さん、サフラさん?」

 「へ!?あ...え、もう夕方?あちゃー早く帰ろうか。」

 「はい!」


 気がつけばレベル28。

 夏休み10日目。


ーーーーー

 時は戻って、夏休み13日目。

 レベルはさらに上がって30。


 「結構変わったわね、マロウちゃんのソレ。」

 「はい!とても使いやすいです!」

 「なるほど、これは確かにレアドロップでは出来そうに無いね。職人って凄いな。」

 「ボルトって言うんだっけ、この矢。思ったより重量あるんだ...。」

 「矢が小さい分重さで威力を出すんだ。クラン、君の国にこういうのこだわってる職人がいなかったか?」

 「ああ、そういやウチの王都の東側に...、」


 皆さん私に興味津々。

 ものすごく可愛がられています。


 サフラさんからもらったこのサイレントセイバーというクロスボウも貰った時から結構見た目が変わった。


 特に凄いのはアイテムボックスを通じてボルトを自動セットしてくれる...その..アタッチメント?っていうのが便利。

 確かにこれは人の手で作られたからこその良さってやつだろう。


 でも値段は教えてくれませんでした。

 なんでだろ?

 

 「ギシャーッ!!」

 「珍しい、スモール・イースト・サラマンダーだ。あれは群れのハグレ者だな。」

 「ほぇー、私初めて見たかも。」

 「東の圏内を広く渡り活動するのよ。でもハグレ者は特に凶暴って書いてあったわ。」

 「私に任せてください!」


 剣と違いこれは精密な部品がある。

 乱暴に扱わず丁寧に素早く展開、

 目の前だろうと気配を抑え最適な位置を決める。


 「そこ。」

 「ッ!?」

 「ひぇー、あんな硬そうな鱗も貫くなんて。」

 「クランとラーズさんもあれくらいもう余裕でしょ?」

 「そうですけど...頭が特に硬そうなのにいとも簡単に貫けるって、クロスボウの威力もそうですが相当な技量がいると思いますが...。」

 「あー。」


 やった!

 藍色のトカゲを倒しました!


 するとラーズお姉さんが綺麗な鱗を拾って、


 「ねぇマロウさん、この鱗をアクセサリーに加工出来る方と繋がりがあるの。成長のお祝いに依頼してもよろしいでしょうか?」

 「え!?いいんですか!!ありがとうございます!」

 (可愛い...!!)


 ラーズお姉さんは私と話してる時はちょっと体をくねらせる。なんでだろ?


 そうしてるとサフラさんとカメリアさんが買い出しから帰ってきた。今日はカレーを作りたいのだとか、やったー!!


 「ただいまー...ありゃ、珍しいのいる。」

 「ホントだー、...これマロウちゃんが仕留めたの?」

 「はい!」

 「うはぁ!よく出来ました!!」


 カメリアさんくすぐったい、

 髪の毛わしゃわしゃしてくる。


 「こらこらそこまでー。早く夕飯の支度するよー。」

 「はなせー。」

 「あっはは!」


 私もサフラさんと同じ。

 こんな楽しい夏休みは初めて。


 ずっと病院にいたから、

 ずっとベッドの上にいたから。


 「ギャアアア!?」

 「クラン、玉ねぎはウグッ...恐ろしいんだ。」

 「すげぇ、王子様達が玉ねぎに四苦八苦してる。」



 少し時は経ち。

 夜中12時の頃...、それはやってきた。


 パキッ、


 「...ん?」

 「なんです...?」


 皆がソレに気が付き起きたのだ。


 「マロウちゃんも気づいた?」

 「は、はい。なんか...変な気配?」

 「気配察知覚えたんだね。うん、殺気も混じった嫌な気配。リズ、シア。」

 『了解。』

 

 シアお姉さんは森から子分達を呼び寄せる。

 蜘蛛や狐に狼にリス。

 彼らは皆気配を隠すスキルを持つ精鋭だって。

 

 「リズ、視覚共有と探知力強化。」

 「任せて。」

 「あと酔い止めも。」


 それぞれの動物と見ている景色が繋がる。


 『向こうからだ、行け。』


 わ、凄い。

 これが動物の目線...勉強になる。

 あ、私はムササビと共有してます。


 「...いた!」

 「な!?アイツらは...。」


 映ったのは体格の大きな男の人達。

 とても怖い見た目です。


 「アイツ賞金首だ。クラン、ローザスで目撃情報があったと聞いていたけど。」

 「はい、実力も高く騎士団が手を焼いていると聞いていましたが...こっちに逃げて来たか...。」

 (賞金首討伐クエストの解放もChapter.3だ。その解放イベントがこんな形になったか...。)

 「騎士団の巡回は?」

 「少し前に通ったばかりだ。今なら通報して数分で来る。」

 「内密かつ早急に通報して。アイツら...思ってるより早くこっちに来てる。」

 「なるほど...コーヒー飲む?」

 「飲むぅ。」

 「あ...あの。」

 「ん?」


 皆が私をみる。

 私の手にはサイレントセイバー。


 「...。」


 あー、やっぱりダメだな。


 「...普通はダメだけど案外いい機会か?」

 「私達もいますし...。」

 『なんならアヤツら30秒あれば毒殺出来る。』

 「一時期賞金首で稼いでた子がそこにいるし。」

 「ありゃま皆んな容赦ない。」

 (まぁレベル28の雑魚なんよね。ゲームじゃ。あの近くの子分の毒蜘蛛使えば30秒どころか5秒で倒せれるのはまぁ...過剰戦力か。)


 サフラさんが立ち上がる。


 「作戦を言うよ。」


 ・マロウちゃんは茂みに隠れつつ敵に接近。

 ・敵は4人。

 ・私達はいつでも賞金首達を倒せるよう

  少し離れた位置で待機、

  周囲にシアの子分(猛毒持ち)を配置。

 ・マロウちゃんが危険と判断次第、即時介入。


 「簡潔にまとめるとこんなんかな。」

 「わかりました。」

 「いい?ちょっとでも危なくなれば私達が即刻介入するから無理はしないでね。」

 「はい。」

 「リズ、バフを。」

 「...これでよし。後方支援は任せて。」

 「メリー、転移石を使った上で一番早く行動出来るのはアテナの力を発揮したメリーだから準備はしておいて。アイツら首斬っても問題ないし。」

 「任せて。」

 『了解だサフラ殿。』

 「ハイビス達は周囲警戒。何かあったら即時連絡して。」

 「わかった。」

 「任せてください。」

 「俺もラーズも鍛えてもらったんだ。頼りにしてください!」

 「です!」

 「これは頼もしい、後方支援はこれで良し。私はメリーと一緒に突撃予定だメリー、くっついとくからよろしくね。」

 「いえっさー!」

 

 私達は早速戦闘準備を整えます。

 でもサフラさんとスリジャさんだけ耳のアクセサリーをタッチするだけで着替えが終わりました。

 カメリアさんの分はまだだそうです。

 (本人談「ズルい。」)


 最新技術って凄いなぁ。


 「じゃ...マロウちゃん、皆んな。準備はいい?」

 「いつでもです。」

 「おーけー。作戦開始。」

サイレントセイバー:マロウちゃん用カスタム。

サフラは調整に日本円で既に70〜80万くらい使ってます。

学生どころか大人でも簡単に支払えないね!

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