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ゲーム世界に転生したので物語介入を始めます!  作者: 亜土しゅうや
準備期間編
7/73

第7話 蛮蜘蛛の剣

新年あけましておめでとうございます。

早速ですがサラちゃん大ピンチ。

 突然だが前回のあらすじ!


 スリジャに座学で負けた私サラとカメリア。

 あまりの悔しさにスリジャ指導の下自習をするも気づけば夕方。

 ヘトヘトに成り果て寮に戻ろうとするも突如悲鳴が響く。駆けつけるとそこにはなんと大量の蜘蛛の魔物がいるではありませんか!

 流石に教師を危険に晒す訳にはいかないのでカメリアとスリジャに押し付け私は経験値に目が眩み蜘蛛の群れに突っ込む。

 だがうっかり罠に嵌められてしまい、大きい蜘蛛ことボス蜘蛛&子分蜘蛛vs私単体という状況になってしまった!


 さぁ私は一体どうなってしまうのか!?

 とりあえず言わせてもらう!


 「しくじっっったああああああーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」


 だああああーーークソおっ!!!

 ゲームではこんな凡ミスは15回に1回あるか無いかだってのに畜生!


 思考加速!

 考えろ、まずこの時の対処方法はなんだ?


 1、森なんか気にせず広範囲魔法でぶっ飛ばす。

  →そもそもそんな魔法持ってない。

 

 2、閃光玉ことこの緊急信号玉で目を眩ます。

  →蜘蛛は視力が弱いのでそれほど期待出来ない。


 3、デバフを増やす。

  →MP消費がやばいので却下現状維持。


 4、ボス蜘蛛を倒して子分蜘蛛を無力化させる。


 ....4しかない。

 ケッ、4...[し]ねぇ、縁起悪っ。

 いや、何もそれの対象は私だけじゃない。


 「私が...ボス蜘蛛に[死]を与えればいいだけだからなあああ!!!!」


 私は襲いくる子分蜘蛛をとにかく斬る。

 噛みつこうとするヤツの頭を裂き、糸で捕えようとするヤツは腹を潰す。ボス蜘蛛はまだ動かない、だが子分を倒していくたびに様子が少しずつ変わっている。

 

 「ジュアアアッーーー!!!」

 「24匹目っと。」


 それは子分を倒される光景に対する怒りか?

 違うね、今の私はさっきのデバフを発動したままだからボス蜘蛛から見れば、気持ち悪い何かが子分を殺しまくり安全圏が狭くなっている....そんな所だ。


 ちなみに逃す気もない。

 ここにいる蜘蛛どもの素材からはいい装備作れる、それもボス蜘蛛ならさらに上質なのを期待が出来る。売ったとしても結構な値が付くだろう、このボス蜘蛛いいもの食ってるようだし素材も期待出来るわ....!


 「さんじゅう...いっぴき!!!」

 「!!!」


 ボス蜘蛛の足が一瞬後退した。

 自身の兵...安全圏が無くなってきて焦ったか?そうだろうな、ボス蜘蛛の大きさは1.8mもある、だが体格に対し足が若干細い。おそらく....、


 「ジュアアアアッーーー!!」

 

 子分蜘蛛と共に紫色の液体を飛ばしてきた。

 木に掛かるとジュッと音を出し幹の表面を溶かしている。そしてボス蜘蛛の毒が掛かってしまった子分蜘蛛が動かなくなっている。


 なんとわかりやすい、毒だ。


 おそらくあのボス蜘蛛は毒を使い獲物を仕留めてきた事により体格の割に足が若干育っておらず、多分麻痺毒と酸の混合液を浴びたやつを食ってきたので腹というか足以外が先に大きく成長した...そんな所か。


 おそらく他にも毒に関する力を持ってる可能性がある。それに加えあの体格、子分は生物の本能として自身より大きいやつには従うってやつか?

 

 まとめると、毒が得意な大きな蜘蛛。


 「ふふ....勝てるかどうかは知らん!!」


 とりあえず子分蜘蛛がまだいるので先にそっちを蹴散らしてからボス蜘蛛を倒すとしよう。


 32....33...34...


 「ジュアアッ!!」

 「うおっと!!」


 ゲッ、スカートの端が少し焼け溶かされた!

 制服割と高いのに!!


 「ガチチチッ!!!」

 「やってくれたなぁ...経験値共があああっ!!!」

 

 流石のこれには頭がきた。

 

 「でやああああああ!!!!!」

 「ジュアッ!?」


 42、43、44...しつけえええなあああ!!!

 魔法どころか物理的な必殺も持ってないんだよ私!

 え、そういう技も存在するのかって?

 あるんだよディスティニーブレイブには!


 武法と魔法...それがディスティニーブレイブの必殺。

 武法は肉体系の技、魔法は構築系の技。

 どちらも魔力を使うことで発動する。

 武法は肉体技なのでちゃんと体を相応に鍛える必要あり。

 魔法は発動する技をイメージしなければいけないので思考力や結構な知識を持つ必要があり。

 厄介なのは一個人が全部の武法や魔法が使える訳ではない。適合性ともいうのか、炎魔法は使えるが水魔法は使えないとかそういうの。


 そして私は...武法が一個も無い。

 昔から鍛えてるけどこれ見事に武法が一個も身につかない。

 なぜこうなっているのかって?

 知らんな、適合が無いか魔法と同様変わった技しか使えないのかもしれない。


 まぁつまりだ...大ピンチである。


 「ジュアッ!!」

 「しまっ...!?」


 私の足に糸が巻きつけられた。

 急いで取りはらうも...


 バシャッ...


 「あがぁっ...!?」


 毒液に掛かってしまった。

 流石の私も体力も魔力も限界。

 所詮は人間、それも子供。

 出来る事なんてたかが知れる...。


 ボス蜘蛛が口を開けこちらへ来る。

 ケッ、私が弱ったと知るとすぐこれだ。

 悔しいなぁ...





 こんな殺しがいあるヤツをナイフで殺せないなんて。


 私はボス蜘蛛の口にあるものを投げた。


 「ジァッ....!!?」


 その瞬間、ボス蜘蛛の頭が木っ端微塵に吹っ飛んだ。

 私もその衝撃で木に叩きつけられる。

 その光景を見て子分蜘蛛は怖気付き一目散に逃げていった。


 私のソロ勝ちだ....!


 

 グチャッ...


 「え?」


 次の瞬間、ボス蜘蛛の死骸が液状化していくでは無いか!?

 あああああやめてええええ素材がああああ.........あ?


 すると今度は何かを形作っていく。

 これは...剣、ロングソードだ。

 同時に私の口からは大量の涙と涎が歓喜のあまりに溢れていた。


 そうだ...あああそうだ。

 ディスティニーブレイブシリーズのボス魔物は倒した時に5%の確率でレアな限定ドロップ品が得られる。


 そしてこの蜘蛛のドロップ品は剣。

 

 [蛮蜘蛛の剣]


 ディスティニーブレイブシリーズ全てに登場するボス蜘蛛のドロップ品。攻撃力が低く片手剣なので火力不足であると初心者はいつも言う。

 しかしそれは違う。この剣はシリーズ通して絶対装備しておきたい武器なのだ。


 ディスティニーブレイブの武器設定は割と細い。

 攻撃力、切れ味、重さ、強度、属性、パッシブと6種で構成されている。


 蛮蜘蛛の剣はとても軽い、それゆえに攻撃力が低い。

 しかし斬れ味が凄まじく高い。

 その上、ボス限定ドロップ共通の武器破壊負荷。斬れ味が落ちても自動で修復される。

 それに加えて強度がとても高い。


 このゲーム世界の属性は、

 火→水→土→風(→火)、光←→闇の6つ。

 この剣に属性は無い。

 弱点も有利も無い無属性だから扱いやすい。

 

 ディスティニーブレイブは攻撃力=正義なゲームではない。ストーリーはクソであってもこういった奥行きは評価に値する。


 おっとパッシブは...あれ?

 [酸毒付与][酸毒耐性]

 おかしい、この剣のパッシブは本来素早さが上がる[俊敏+]が付いてるはず...。


 パッシブとはその武器にあるおまけパワー。

 うーむ...あのボス蜘蛛から作られたからかな。

 あいつ毒使いだったし。


 にしても...

 なんんんーーーーーーって美しい.......!!!!

 紫黒色の柄と鞘に白い蜘蛛の巣デザイン!

 全長90cm刃渡り65cmほど、

 白銀色の刃!


 あああああ....毒属性的なためかゲームで見たのとは色が違う、でも!!!

 生であの攻略サイトトップクラスに入る武器が!!!!

 今この手に!!!!!

 やっったあああああーーーーーーーっっっ!!!


 「ガチチチチチッ!!!!」


 あらぁ...?

 生き残り...なるほど、多分もう一体ボス蜘蛛がいるな?襲撃イベントのボス魔物は最大3体だからな。

 ちょうどいいじゃん、この剣が試せる!!


 あはっ、死んで☆

 


ーーーーーーーーーー


 「どりゃああ!!」

 「ジュアッ!?」


 一方駆けつけた騎士団。

 こちらも蜘蛛の群れに襲われサラの捜索が難航していた。


 「...ふぅ、ボス蜘蛛はなんとか討伐出来たな。」

 「幸い弱い方の個体で良かったですね、もし大量同時に襲い掛かられてたら終わりでしたよ...。」

 「サラー、サラー!!」

 「返事してえええ!!」




 「あはは...あっっははっはっはっっはは!」


 「...ぁ...!」


 カメリアは背筋がゾッとなった。

 トラウマが蘇る、顔色が悪くなり冷や汗を浮かべる。


 「サラ!!!」


 その光景は地獄。

 60匹を超える蜘蛛の死体の数々。

 蜘蛛の酸毒で体のあちこちに火傷を負い、

 蜘蛛の血に濡れたロングソードを持ち、

 凄惨な景色で1人佇み狂気に笑う女の子の姿。


 「馬鹿な...まさか1人で...!?」

 「あの剣はなんだ!?」


 「...まただ。また...サラが...ああああ....!!!」

 「メリー..?メリー!!!」


 ああ...私はとーーーっても幸せ♡

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