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ゲーム世界に転生したので物語介入を始めます!  作者: 亜土しゅうや
Chapter.2
67/81

第67話 消失?:デモンズヴァルキリー

 「いよいよですね、騎士様!」

 「頑張ってください、ナスタ様!」

 「我らはデモンズヴァルキリーと共に!」


 ...うるさい。


 公演が始まる、私は舞台に出る直前。

 その後ろからは小さく黄色い声援が広がる。


 練習期間11日程度だけど仕上げるだけ仕上げた。

 コンディションは多分ほぼきっと大丈夫。


 『さぁ行くがいい、主よ!』

 「ああ見ていてよ!」


〜〜〜


 今よりも世界が混沌と恐怖に包まれていた時代。

 人間と言う種族は各地で凶暴化する魔物の大群によって次々と倒れる。一夜が明ければどこかの村が消え、1ヶ月あれば小国さえも滅んだ。


 今日はこの村が消える。

 腹を空かした魔物が全てを喰らいつくさんと襲いにくる。


 人々は恐怖し、怯え。

 抵抗も虚しく瞬きする間に誰かが食われる。


 逃げる幼子が連れて行かれた。

 ロクな肉も無い老人はただただ引き裂かれた。

 先回りされた。


 ああ、村が囲まれた。


 平和だった農村にロクな武力は無い。

 農具で太刀打ち出来ない。

 魔物は牙を向き血走り飢えた目を光らせる。


 これが現実。


 ああ、終わりだ。


 「怯えるな、勇気ある者達よ!!!」


 「その声は...!」

 「魔物の大群を相手によく持ち堪えた!我らが来たからにはもう安心だ、私の名はナスタ!!ルドベキア魔王国の騎士である!!さぁ集え、そして行け、我らが勝利は目前だ!!!!」

 「うおおおおーーーー!!!」


 魔族の騎士ナスタことサフラの声が舞台を包み、

 騎士達の声が心を震わせる!


 「...俺達は死なないのか?」

 「やった、増援だ!!魔王国の騎士達だ!!!」

 「デモンズヴァルキリーだ!!」

 

 魔王国の騎士達は迫り来る魔物を斬り払う!

 凶暴な魔物を寄せ付けない、魔王国が誇る最強の精鋭達だ!


 「グォォォーーーー!!!」

 「ほぅ、この私に威嚇するとは余程自信があるのか。いや...そんなに私が怖いのか?」

 

 ナスタは抜剣、

 青白く輝く刀身に皆の目が注目する!


 「その蛮勇と罪に後悔しろ!デモンズブレイド!!」


 ボス魔物は一瞬にして斬り裂かれ、村を襲っていた魔物達も他の騎士達によって殲滅されたのだ。


 「生きている...俺達は生きているぞ!!!」

 「やったあああーーーー!!!」


 人々が歓喜をする中、

 ただ1人そうでは無かった。


 「...また全員助けれなかった。貴方達が望むならこの場でこの首を斬られる覚悟はある。」

 「な、騎士長!?」

 「おやめください!!」


 ナスタは若くして騎士長へと登り詰めた実力者。

 しかし愛国心と責任感が強い故に助けられなかった人達の事を忘れられない。恨まれて当然だと常に思っている。きっといつか、そんな自分を断罪してくれる人が現れると信じ魔物と戦い続ける。


 今日も斬られなかった。

 皆は自分達を救ってくれた人に刃を向けられないと言うばかり。


 なぜ皆は私を恨まない。

 恨まれて当然の人間なのだぞ。


 部下に止められ、私はその重い足を動かし次の地へ向かう。


〜〜〜


 (おお...彼女が叔母上が...!)

 (凄い...サフラさんかっこいい!!)

 (サフラさん、演技力高い...!)

 (あんな短期間で凄いねサラ。)

 (見て、側近役のリップ先輩の目がすっごい輝いてる。)

 

 (...。)

 (叔母上?)


 エキナさん、やっぱりさっき人とぶつかってから様子が変だ。


 席が離れていてもかすかな殺気と言うか何かを感じる。さっきの人を監視しているのか?


〜〜〜


 魔王国にこれまでにない程の魔物の襲撃が起きた。

 騎士達が立ち向かうも...、


 「何故です魔王様!?私は待機とはどう言う事ですか!?」

 「其方は我が国最大の剣。魔物の数とその奥に待つ群れの長と戦う為に今其方を失う訳にはいかん。」

 「私一人が国の剣なのではありません!彼らがいてこそ剣であり国なのです!!私だけが生き延びては意味がないのです!!私だけが...のうのうと生きていろと言う事ですか!?」

 「そうだ。」

 「...!?」

 「それが総意だ。」

 「総意...!?」

 「其方が民を失う事を悲しむ事の様に、皆が其方を失う事を恐怖している。...愛する者がいれば愛される者もいる、其方が恨まれると思う様に我も其方に恨まれて当然の事をした。...すまない、わかってくれ。」

 「魔王様...。」

 

 その後、幾人もの仲間が散った。

 どうしようもない怒りと悲しみを胸にナスタは出陣する。


 ボス魔物はすぐそこだ。


 皆の力が私をここまで届かせた。


 「...ありがとう、ごめんなさい。」


 全力の技をボス魔物へ命中させた。


〜〜〜


 (デモンズヴァルキリーは誰かを愛しているならば誰かに愛されてもいる...そういった思いを伝える為に生まれた物語。サフラさんの演技力もあって凄く心に響く...。)

 (サフラさん...!)

 (もう劇も終わりか...。)


〜〜〜


 「...決めたよ、私はもう後悔しない。」

 「騎士長...!」

 「元から恨まれて当然だと思っている。だから私は私が愛する者と...私を愛してくれる者達の為に戦いたい。」

 「...それが騎士長の見つけた道であればお供いたします。」

 

 「では、出陣!!」



 「今だ!!!」

 「ッ!?」


ーーーーー


 その刹那、

 3方向から私に向かって針が飛ぶ。


 が。


 「...お客様すみません、ここはアイドルコンサートの会場ではございません。騒がしくするのはご遠慮ください。


 針が空中で止まっている。


 いや、蜘蛛糸で止められているのだ。


 「予想通りだ、エキナさん。念入りに縛っておいてください。」

 「任せておきな子猫ちゃん。」


 既に犯人達が取り押さえられていた。


 「さて...リップ先輩。私から離れないでください。」

 「え?」

 「向こうの狙いは貴方です。」

 

 そう、11日前に喫茶店に届いたトゥリパーノ家印の手紙の中に、実はもう一通手紙があった。

 

 [娘が狙われている。]


 トゥリパーノ伯爵からの直接の依頼。

 当時はまだ伯爵とは直接会った事はない、だがリップ先輩の事だ、私がリップ先輩に色々見せた事から実力者であるのを知ったのだろう。


 それに喫茶店メモリーで住み込みで働いている事も伝えた。伯爵は私がソレイユ家と繋がりを持っているのに気づいただろう。


 現に練習中に伯爵と公爵は一緒にいた。

 

 演技力を見るのは当然だが、

 私の実力を見る為だ。


 戦わずとも伯爵やリップ先輩の観察眼なら私の動きを観て筋があるかどうかがわかる。


 今回の劇で私がリップ先輩の近くに最もいる騎士長の役をやっている1番の理由だ。


 「動くな!!」

 「キャーーッ!!」

 「!」


 どうやらまだいたらしい。

 それに外からも武器を持った男達が入ってきた。

 もはやテロリストだ。


 「動けばこいつを殺す!!!」

 「...どうしたらいい?」

 「お前の後ろにいる女を連れて来い!早くしろ!!」


 やだね。


 (マロウちゃん、見ててね!)

 (!!!)


 私は剣を掲げる!


 「集え!!勇気ある者達よ!!!」

 「上等!」

 「仕方ないわね。」

 「よっし、私達も。」

 「叔母上!?」

 「何している!?こいつを殺して...あれ!?」

 

 人質がいない。


 (大丈夫か!?)

 (あ...貴方はハイビス殿下!?)

 (もう大丈夫ですよ。)

 (サフラさんに頼まれてこっそり待機してたけど大当たりだ。ヒマリ、僕らも行こうか。)


 舞台には私の友人という最強クラスの精鋭。


 「ぐぅぅ....なら他の奴らを!!」

 

 させると思うなよ?


 「さぁ行け、出陣だ!!!」

 「うおおおおーーーーーー!!!!」


 会場はテロリストがいるにも関わらずボルテージが増す。困惑したテロリスト達は逆に身動きが取れず精鋭達に圧倒されてゆく。


 「行くよ、シア。」


 英霊剣...ポーラ・ラーニョ・スパーダ!!


 「見ろ、なんだあの剣!!」

 「綺麗...!!」

 「クソ、道連れにしてでも...!!」

 「その蛮勇と罪に後悔しろ!!」


 必殺の...、


 「デモンズブレイド!!!」

 「あがっ....!?」


 大丈夫、お客様の前だから殺しはしていないよ。

 

 「うおおおおおーーーーーーーっ!!!!」


 歓声が響き、会場の空気が強く震える。


 「我らの勝利だ!!!」


 剣を掲げ、盛大な拍手が舞台を包んだ。

英霊必殺:ポーラ・ラーニョ・スパーダ

  意味:恐怖の蜘蛛の剣


「安直なイタリア語だな。」

『いた...?』

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