第64話 消失?:今更遅い
「んー...この辺りに怪しい場所はないねー。」
「...あれ、ねぇリズ。」
木陰にキラリと何かが光る。
それは“白桜の髪飾り”という魔法向きの装備だ。
「綺麗な髪飾り...。誰のだろう...あれ?」
落とし物が誰のか、魔法で調べるも誰かが手に入れて使用した履歴が一切ない。どこで製造したかもわからない。
よくわからないが誰の物でもない。
多分騎士団に届けても永久に持ち主が現れない。
「...貰っちゃっていいのかな。」
※ゲームシステム状大丈夫です。
「うーん...落としたままってのもなんか可哀想だしね。」
「じゃあ、ちょっと失礼。」
「わ!何メリー!?」
「わー似合ってる!」
「...そう?」
リズの茶髪に白桜色の花。
「グルル...!!」
「...現れたね、怪しい魔力の流れ。」
「待ってメリー、私にやらせて。」
「ん?いいよ。」
「ガルゥアーーーーッ!!」
植物魔法[五月雨花吹雪]。
「ギャウッ!?」
「おお!?」
「これ凄い...。」
目に見えてわかる程、リズの魔法力が上がっている。
「私これ気に入ったわ!」
「うん!」
二人は目を輝かせ、年相応らしくはしゃぐのだった。
一方ハイビスとヒマリは、
「うーん見つからないな。」
「怪しい魔力を纏った魔物は出てくるのですけどねぇ...。」
邪素生成の素体にされた魔物を討伐しに回っているが、敵のアジトは見つからない。
※アジトにはサフラが侵入中。
その上、手ごたえも無い。
正直ちょっと退屈だが任せられた任務に手を抜くつもりは無い。
そう考えていた時だ、
森が、魔力がどこか騒がしく感じた。
敵意だ、それも数が多い。
「!、!」
「蜘蛛ちゃん?...なんですって!?」
「なんだ、この乱れた気配は?」
「魔物の大群がこちらに向かって来ていますわ!」
「なんだって!?」
「この地形じゃ二人だと時間が掛かる、なら!」
ハイビスは魔物の襲撃を意味する信号弾を撃ち上げた。
即座に応答の信号弾が撃ち上がる、幸い近くに騎士団の小隊がいる様だ。
「いくよヒマリ。」
「勿論ですわ、ハイビス。」
ーーーーー
「蛮勇ねぇ...早く挑めばわかるんじゃない?」
「それを蛮勇と呼ぶのだ若造!!」
流石魔族だ、いい動きだ。
ノロマで動作がわかりやすい。
実力に差があり過ぎる。
「今のを避けるか、なら!」
「はいちょっと邪魔。」
「グォ!?」
どれどれ。
あーやっぱゲームと比べても効果の強そうな呪詛魔法陣だ。これだとChapter.2の魔物程度じゃ作れない。
もしメリーがドロップした邪素が先にコイツらが手に入れてたらと思うとゾッとするな。それにこの研究室ゲームの景色と同じだけど今ならただのオブジェクト扱いだった本とかが読めそうだ。
やってみたかったんだよな、
“難しそうな本がある。”だの、
“本がいっぱいだ!”とかで終わるやつの中身を見るのを。
ゲームによっちゃストーリー後半で読める様になってそれがゲームクリアの攻略イベントだったーなんてカス過ぎるのよ。
「これならどうだ!!」
「ほーん。」
適当に避けながら何かないか探す。
「邪素とは...こういうのはクチナシから学んだからいいか。邪素の応用...これもパス、...これは?」
見つけたのはファイル。
…ほう、どうやらこの魔族の様な過激派というかゲームで出て来た魔族の一派に関する情報が書かれている。そういやコイツゲームでもそれなりの立場を持った魔族と設定があったし持っていてもおかしくないか。
機密情報管理がザルなのは目を瞑るとして。
んーしかしまぁ、これを提出するのも何かなぁ。
Chapter.1の様なあの危ない騎士がまだ騎士団にいるかもしれないと考えるとこれは怖い。
よくてエキナさん辺りで秘密裏に管理か...?
それに今の魔族にはリリーロクって言う前作の生き残りが関わってる以上もし機密を持ち出したのをバレたらどう動きを変えて来るかわかったもんじゃない。
ファイルは一旦私が保管、この研究室は壊すか。
いやどうせ疑われるか、まぁ魔法陣消し飛ばせるならそれでもいいや。
「や、やめろ!!それは!!」
気づいたらこの魔族すげぇ焦ってた。
「邪魔。」
「うぐぉ!?」
「とりあえずこれは貰ってくしこの研究室も壊していくね。だからちょっとじっとしていてねー。」
私はシアの蜘蛛糸で魔族を強く縛りつける。
コイツでは自力で解除出来ない程頑丈なのを。
「それとこれ。」
「な、その実むぐぁ...!?」
マジナシの実を食わせた。
軽い状態異常が回復するけど短時間魔法の使用が出来なくなる果実。エリクサー持ってる私にはゴミでしかないのであげた。
そこに...爆弾も括り付ける。
「な...や...やめろ!!!」
その爆弾なら研究室が消し飛ぶどころか洞窟が崩落するね。
「ごめんね、死なれたら困る人がいるからそんな時にこんな事されたらたまったもんじゃない。いくら人間嫌いだからってこんな事されたら報復くらうよ。中立やら関係ない魔族もそれで滅ぼされたら大戦争間違いなしなのよ。...ふざけた事するくらいなら、同族至上だって言うなら他所を巻き込まず同族が青空の下を走れる世界を作れよ。殺戮だけでどうにか出来ると思うな、お前の知識ならそれが出来るはずだった。まー今更遅いけど。さて最後に一言どーぞ。」
「やめろ...わかった、悪かった!!呪術は使わない、だから私の命とその資料だけは!!!」
「ほほーなるほど、その資料を持てる程アンタ高い地位なのか。あっそ。」
そういやこれ導火線も遠隔操作機能も無かったな。適当にガソリン...はないから可燃性の液体撒いて火でも付けるか、換気扇は備えられてるから酸素は問題ないでしょ。
「じゃ。」
火をつけ私は転移石を使って外に出た。
「嫌だ...嫌だ...嫌だ嫌だ嫌だ嫌だあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
転移する間際、魔族の顔が涙でぐちゃぐちゃになってたけどどうでもいい。
アンタがやろうとしてたのはその比にならない程クソみたいな展開だからさ。
転移して2秒経った辺りで洞窟方面から爆音が響いた。
結構うるさい。
...さて、他の2班どうしてるかなー?




