第63話 消失?:コネパワー
カメリアの英霊の名前を訂正
ニコニコと笑顔のリップ先輩、
推しを目の前にニヤけるヒマリ、
「...どしたの?」
「いやぁなんでも。」
この前の話をきっかけにトゥリパーノ伯爵家と
ソレイユ公爵家が本格的に私のスポンサーとして手を組んだか。お陰で公演の10日前なのに突然の私が参加が決定。いやまぁ今回は任意だし手厚く支援してくれる上にマロウちゃんも観に来るんだ、やってやりますよ!
「...さぁ行け、我らの勝利は目前に!!」
「うおおおおお!!!」
私の声に続き周囲の人達が叫び、空気が震える。
推しの野球チームが勝ったのでもあるまい。
ちなみに今回はクチナシは出ない劇なので、演じるのは魔物の襲撃に最前線で戦い続ける魔族の女性騎士のお話である。
デモンズヴァルキリー...中学生が考えた様なタイトルだがこれもこの世界じゃ有名な話らしい。
と言うか私そういう系の役ばっかだな。
「ふむ、やはり彼女は逸材ですな。」
「ええ、あれ程の才能に手を貸さない理由は我がトゥリパーノ家にはございません。」
そして向こうにしれっといるが国家重鎮にしてヒマリの父親であるソレイユ公爵と、演劇の大名家でリップ先輩の父親トゥリパーノ伯爵だ。
「驚きましたよ、まさかヒマリお嬢様があの消失新星を見つけていたとは...。」
「やはり君も彼女を見て確信したのかい?」
「ええ、話は聞いておりますがこの記憶から忘れようと感じるオーラと才能そして演技力。3年前の国立劇場の...抜け落ちたパズルのピースは今私の目の前にあるのです。この辺りは娘も気づいた様ですが。」
「いい眼をしているらしいな。」
「観察眼は私以上だと言っておきます。」
「お互い、いい娘を持ったものですな。」
「ちょっとパパ、サフラさんをちゃんと観てる?」
「お父様、なんの為に来たのかお忘れで?」
「...はい。」
...大変だな。
「皆さん休憩でーす!」
部屋に入って来たメリーとリズ。
「サフラくん、先日の件の事だが昼食中に構わないかね?」
!...来たか。
「わかりました...メリー、リズ。」
「!」
ーーーーーーーーーー
ソレイユ公爵、
日本で言う国土交通大臣にあたる人物。
異世界かつゲームの世界でありながら街や街道、インフラなどがしっかりしているのは彼の尽力によるもの。
当然各地のエリアの調査する為の様々な設備があり、エキナさんはそれを見込みソレイユ公爵に各エリアの調査を依頼、協力を申し出たのだ。
無視は出来ない案件だ。
この事はおそらく王様や他の貴族にも伝達されているだろう。
「サフラくん、先日のデイジー家からの申し出の件は滞りなく進んだよ。まずこれは例の結晶の解析結果だ。」
「...やっぱり。」
「ねぇサラ、これって。」
「結晶は邪素の生成に失敗した個体に発生したものだったんだ。魔物の体が生成しようとした邪素の力に耐えられなかったのか...。」
「君は邪素というのを知っているのか。」
「ある方の下で学びまして。」
...もしやゲームで出た邪素よりも濃度が高いのか?
クチナシ達から学んだ今ならわかる、
Chapter.2の大きな改変点だ。
もしゲームで邪素によるテロが学園で起きれば学園全体が終わっていたが、この前にドロップした邪素から考えると前者程度じゃ済まない。
幸い邪素の生成とドロップ率はかなり低い。
が、大量の魔物に同じ施しをすればその内当たる。
ほぼガチャ要素だがSSRよりは当たる。
SSRとSRのSSR寄りの確率。
あれ、結構高くね?前言撤回。
これは女子3人組で終わらせられる案件なんかじゃない。
「はっきり言わせていただきますと、騎士団に預けましたあの邪素を元に疫病の呪術を使えば学園どころか付近の町すら簡単に飲み込まれる程の範囲となるでしょう。半径...100km以上は確実かと。」
「な...!?」
「何しろ疫病ですので人口の多い土地だともっと広がり汚染濃度も高く、広く自然的な収束もかなり遅いでしょう。もしそれを量産出来る体制となっていればかなりまずいです。」
「...直ちに連絡を取るよ。」
「お願いします。」
よし、ゲームと違って上が大きく動いてくれた!
コネは作っておくもんだよなぁ!
しかし問題はまだまだある。
この世界では魔族はどこを狙う気か。
企んでいる魔族の居場所は知っているがこの世界と同様かまでの保証は無い。
...あの魔族もなんか聞く前に死んじゃったしな。
心当たりある場所巡る他ないな。
「今更ですが。」
「?」
「公爵様もその...ラーメン食べるんですね。」
「ラーメンの旨さの前に爵位も権威を関係無いのだよ。」
なんて素晴らしい人だ。
ちなみにトゥリパーノ伯爵はカツ丼食べてた。
時は経ち夜、
集合したのは“風の丘”。
「正直時間無いから私達は3手に分かれる。私とシア、メリーとリズ、ハイビスとヒマリ。捜索エリアは...こうだ。」
地図に3つの赤丸。
これは私が敵のアジトに心当たりがある場所。
「騎士団はこの辺りにいるから何かあったらこっちに行ってね。」
「わかったわ。」
「もし敵のアジトがなくても周囲の魔物は極力狩ろう。もし邪素を生成されていたら面倒だ。」
「了解。」
「ああそれと、ハイビスとリズはこのバッジつけて。探索に有効なバフがあるから。」
「お、ありがとうな!」
「メリー、ヒマリ。シアの子分も連れて行って。この子は気配の探知が得意だから補助になるよ。」
「へぇ、よろしくね!」
「蜘蛛は余り好きじゃないですがこの子は可愛いですわ。頑張りましょう!」
小蜘蛛はヨロシクと前脚を挙げた。
その子がいれば半径50mは確実、的確に相手の位置を念話で知らせてくれるよ。
「この作戦は掃討だから誤射には気をつけてね。何か質問は?」
「はい!」
「メリーくんどうぞ。」
「私とリズが入るこのエリアって普段入れない場所だけどいいの?」
「お父様が許可を降ろしています。問題ありませんわ。」
「以上かな、じゃあ2時間後この場所に集合。緊急事態が発生したら信号弾を上げる事。いいね、作戦開始!」
各々が指定されたエリアへ向かった。
『上手くいくのか?』
「問題ないよ、対象レベルをぶっちぎりで超えてる彼らなら。それにメリーにはアテナがいるしハイビスとヒマリも互いの連携力は高いしいざって時に援護が来やすい場所だ。私達は本命のアジトに殴り込みますか!」
メリー班のルートはChapter.6後に解放される、いわゆる序盤では入れません的な場所。
あそこの奥に“白桜の髪飾り”というのがあり、魔法攻撃力、防御力が上がる他色々強化される装備が手に入る。
ハイビス班のルートはこのイベント直後に起こる強制襲撃イベントの発生地。だがレベルは固定かつ彼らのレベルと騎士団含めた数的に負ける要素もない。
そして私は大元を叩く。
まさかこんなに早くストーリーが進むとは。
多分何かあるだろうな...。
私は丘を進み森へ入る。
薄明の森につながるこの道をこう進み、
ある程度進めば...洞窟がある。
よし、記憶通りだ。
「さてさて、すぅ...だーれかいませんかー??」
わざと大きな声を挙げた。
「グルルル...!!」
「でましたな、魔力の流れが変な狼さん。」
こりゃ当たりだ。
「ガルゥア!!!」
「ごめんね、消えて。」
ロストストレージに溜めた魔力エネルギーを一瞬解放、狼は前半身が消し飛んだ。
「うーん、邪素はドロップしなかったかぁ。」
早く進もう。
道も覚えている。
「ここに罠、こっちは行き止まり、こっちはあえて進んで金塊ゲット。」
『...楽しんでいるな。』
「そりゃぁねぇ。」
気配はある。
この先だな...?
「ごめんくださーい。」
「...誰かね?」
扉を切り刻んだ先、研究室の様な部屋が広がる。
中には角と尻尾の生えた初老の男。
「お初にお目にかかります、魔族の研究者様。」
「...まさか旧国の平野で邪魔をした者かね?」
「はい。」
「...仕事はきっちりこなすが盗賊紛いの連中に頼るべきでは無かったか、まぁいい。」
男は杖を取り出す。
「ここに来たということはワシの目的は知っているんだな?」
「ええ、あんなの見ちゃったら黙ってる訳にもいかなかったので。」
「ふっ、自信を持つのは良いことだ。だがそれが蛮勇である事に気づけなかったのが君の死因だよ。」




