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ゲーム世界に転生したので物語介入を始めます!  作者: 亜土しゅうや
Chapter.2
62/81

第62話 消失?:人助けくらい私だって

 

 「失礼します。」

 「あ...!」


 ある日私は病院にやってきた。

 私に何かあった訳じゃない、面会だ。

 本来のカメリアなら今頃、彼氏候補達のキャラクターストーリーを進めメインストーリーを解放しているだろう。

 まぁ今のカメリアはそんなの興味持ってないが。


 さてさて、


 この感じからしてフヨウも彼氏候補にならずただの友達となってる。しかも聞いてる限りじゃ妹を原作以上に大切にしている。


 その妹もゲームでは後輩として登場していたのにこの世界ではここ最近入院中だという。念の為本当かどうか調べたけど、妹さんは入院していた。それもかなり重い病気の様だ。


 公演の後日、私はカメリアに誘われ妹さんの病室にやって来た。実際に出演した私の演技に彼女はとても喜んでいた。

 フヨウからは深く感謝を受け、妹さんからはまた来てと言われた。

 勿論だとも。


 しかし私やカメリア達は気づいた、

 彼女の魔力が余りにも弱っているのを。

 風が吹けば消えてしまいそうな何かを。


 体が弱い設定はあったけど...この改変は可哀想過ぎる、私がこの世界にいるのが原因なのかはわからない。


 幸い中級エリクサーが効いている様子はある、

 だがやはり完治はしていない。


 ...もしエリクサーをあげていなかったら容体が悪くなった時この子は...と思うと怖い。正直これは見過ごせない。


 私が目指すエンディングにそんな展開はいらない。


 「や、来たよ。マロウちゃん。」

 「サフラさん...!」

 「今日も元気そうだね、これ今日の分のエリクサーだよ。」(こっそり)

 「...いつもすみません、私なんかの為に。」

 「だからいいんだよ、お礼は元気になってくれる事。いいね?」


 あれから私は毎日この子、マロウちゃんに会いに来ている。エリクサーを毎日飲ませている為か今は容体が安定している、だがまだ根本的に治ってる訳じゃ無いので油断は出来ない。


 飲ませているのは中級のエリクサー、

 毎日必死こいてドロップしている。

 ちなみに低級が日本円で3万なら中級は30万。

 ドロップ率は低級よりも渋い。


 上級、そして隠された超級。

 上級は終盤エリアにある、カース・バレーでもドロップは出来る。


 だが上級エリクサーには裏設定がある、それは臓器が非常時...主に著しく弱っていたり何かしらの機能障害が起きている時には効能が強すぎて体にかなりの負担が掛かってしまう事だ。


 マロウちゃんは元気に振る舞っているけど感じる魔力はまだ弱っているまま、内臓などの器官が回復しきっていない証拠だ。

 この子に上級エリクサーは使えない、毒になってしまう。


 超級はイベントアイテム。

 通常入手では絶対に手に入らない。

 効能は上級以上であり負担もない。


 あらゆる病気も呪いも癒え、エリクサー回復しない筈のHPまでも回復する超万能薬。

 正に絵に描いたような夢の薬だ。

 だがこれはあるルートのイベントで発生する特殊枠のアイテムであって今の私が手に入れて使う事が絶対に出来ない。


 故に私がこの子に出来る事は中級エリクサーの提供、そしてこうやって毎日励ましてあげれる事なんだ。


 ゲームではフヨウの攻略でマロウちゃんと仲良くするってあったけど関係ない、私だって妹がいるんだ。

 姉としての何かか、助けたい気持ちがある。

 妹を持っているからこの子を見捨てたくない気持ちがある...のかまではわからない。


 「...でさ。」

 「わぁぁ...!」

 「素敵でしょ?...ああ、もう時間になっちゃった。」

 「えー...早いね。」

 「本当、時間って過ぎるのは早いんだよ。」

 「また来てね、サフラさん!」

 「うん!」


 私はマロウちゃんに優しくハグをした。


 「...いつもよりあったかい。」

 「はは、そうかな?」


 しまった、少し熱かったかな。


 ...今の私は魔力で動いているからね、

 体温は魔法で誤魔化しているだけなのさ。


ーーーーー


 喫茶店の閉店時間が過ぎ、

 店の掃除...はシアの子分が大半やってくれるのでちょちょいとやった後、私はいつものゴスロリを着る。

 身だしなみを整え、転移石を使った。


 行く先はChapter.5で解放されるステージ、

 “旧国の平野”だ。


 大昔、ある小国があった場所が今となっては風化した瓦礫とただ緑豊かな平野が広がるステージとなっている。

 なお奥に進むと跡地、遺跡が残っており地下へ進むとボスがいる。


 ここに現れる魔物から中級エリクサーがドロップ出来るが、それだけではない。

 このステージは数少ない“転移石”がドロップ出来る魔物がいるステージなのだ。


 どちらも低確率ドロップ。

 中級エリクサーは最低1個、転移石は往復分2個があれば明日も行ける。

 私は不眠でも問題ない体なので最悪喫茶店の開店時間に間に合えばいい。


 あ、風呂は入るよ?


 「グルルル....!!」

 「さて、今日も中級エリクサーと転移石の為に犠牲になってもらうよ。」


 さぁ今日も元気にいこう。

 ゴーレム回路の出力を上げいざ作業開始!


 「とおりゃあああ!!」

 「え?」

 「インパクト・バレット!!」

 「メリー、リズ!!?」


 え、なんでいきなり出てきた?

 なんでここにいるの?


 「...なんでここにいるの?」

 「フヨウから聞いてるよ、中級エリクサーをマロウちゃんにあげてること。」

 「前に一個だけ持ってると言ってたよね。なのに毎日あげてる...もしドロップするなら距離的に転移石も欲しいからここじゃないかって先に来てたの。大当たりだったわ。」


 えー読まれてた。


 「もうサラ、私達だってマロウちゃんの事は気づいているんだから。無理矢理でも手伝わせてもらうからね!!」

 「...へいへい、じゃああっちのお願い。こっちは私がやるから!」

 「了解!」


 全く...どこにでもいるなあの二人。

 

 理由はどうであれ、

 人助けであれ、


 「あ、落ちた。」

 「え?」


 え、もうドロップしたの?


 「...何これ、エリクサーってこんな色だっけ?」

 「は?」


 瓶に入ったドス黒い液体。

 エリクサーは透明度の高い黄色だった。


 その液体について私は知っている。


 「...邪素だ。まさか...。」


 Chapter.2のストーリーにて魔族が密かに企んでいた計画に使用していた物。


 邪素はなんと言うか、毒素というか人体に有害な波長?成分?的なのが高濃度に含まれた魔素、または魔力。

 これはそれを溶け込ませた液体、毒と呪いのポーションという感じの物だ。


 「...邪素って?」

 「前に私を助けた方がいるって話をしたよね。その方から教えてもらったんだけど...簡単に言えばこれ、魔族の仕業だよ。」

 「魔族...!?」

 「主に呪いや危険な実験で使われる危ない物...何かしらの魔力を魔物に纏わせ、ドロップという形で完成させる。世界の仕組みを利用...いや、悪用した代物だよ。」


 魔力を纏わせる...ドロップ...。


 ...待てよ、もしや先日の結晶の生えた魔物と関係があるんじゃ?


 

 ガサッ


 「!!」


 私達は臨戦態勢に入る、


 「あーれー...どこに行ったとおもったらさ...あー...人族が先に見つけちゃったかー。」


 おいおい...出て来やがった、メインストーリーが食い込んできやがった。


 でもどういう事だ、ここはChapter.5のステージだぞ?


 「魔族...!」

 「へぇ、人族の若者にしては物知りだねー。そう俺は魔族さ。会ってばかりで頼むけどさ、ソレを渡してくんね?大人しく渡せば痛い目には合わせないさ。」

 「...ほい。」

 「え?」

 「サラ?」

 「いいさあれくらい、一応私も邪素の作り方くらい知ってるし作れなくもない。」

 「え?え?」

 「...お前、おもしれー事いうなぁ。」

 「私としては“その程度”の邪素に興味はない。使い道としては浄化すればポーションに使えたりするけど...そのままだとロクな使い道が無いんだよ。」

 「!!」

 「おいおい....喋り過ぎるのは良くないぜ。不審者に会ったら誰かに言うか逃げるかって親に教わらなかったか?」

 「潰せるなら潰す方が好きなので。」

 「...まあいいさ。」


 キィンッ!!


 「気づいていたさ、どうせ私達を生きて返すつもりはない事くらいは。」

 「当たり前だろ、俺様は...おっとこれ以上は言えねえ。」

 「あ、ちょ、危ない。」

 「え?」


 魔族は剣を抜き襲いかかって来た。

 私の魔剣で防がれてもなお押し込もうとするが、


 私の魔剣は擬似ビームソードが使えるので超高熱と魔力エネルギーを纏った剣にそこらの剣を押し込めば当然剣は焼け溶けて、勢い良く飛び込んで来たので後ろに下がろうとも出来ない。


 無理に力押しで倒そうとしなかったらこんな死に方にならなかったろうに、剣は焼き切れ体は前に倒れ、魔族の目の前には擬似ビームソード。


 0.数秒の最中、目の前の光景を理解できぬまま魔族は頭を...うん。


 「...突っ込んで来たのは向こうからだし私は知らないよ。」

 「あ...うん。」

 「邪素は...騎士団に連絡入れといて。それと多分コイツ以外もいると思うし気をつけて。レベルは大した事無いけど目を付けられたら鬱陶しいから。」

 「わかった。」


 いやぁ驚いた、モブ敵魔族。

 全く強く無いけどあんな死に方はちょっと引く。

 思ったよりは早かったけどついにメインストーリーに魔族が絡んで来た。


 メインストーリーでは邪素を使い疫病の実験を行おうとする魔族を倒すってのがChapter.2のシナリオ。

 

 薄明の森で魔物が大量死する事件をきっかけに調査が始まるのだが、なぜChapter.5のステージでChapter.2と関係ありそうな魔族と出会った?


 ...わからないな、生かしときゃ良かったか。

 いやでもそれだとこれまでの経験上、後で何してくるかわかんないし...あーもう面倒くさい。


 「早くドロップして帰ろうか。」

 「そうね...。」


ーーーーー


 「サフラさん!」

 「やっほーマロウちゃん!」


 サフラがマロウと面会中、病室の外にて。


 「近頃マロウの容体が安定していまして、このまま続けば退院が出来るかもしれないのです。」

 「わぁ!良かったじゃん!」

 「外科的な治療が効かないので、こうやって元気な姿を見れて自分は嬉しいのです。...本当に...ありがとうございます。」

 

 フヨウの目からは涙が溢れていた。

 

 「...まだ油断は出来ないからしばらくはサポートする、だからまだ泣くのは早いわ。」

 「サラも言ってたけどお礼はマロウちゃんに元気になってもらう事!」


 メリーはフヨウにビシッと指をさした。

 医者曰くこのままマロウちゃん自身の体が回復すれば学園に問題なく通えるとの事。

 サラはマロウちゃんの器官が回復すれば上級エリクサーでなんとか出来るかもしれないってさ。

 

 だから退院は出来てもまだ油断はしない。

 知っている人を失うのは怖いから。



 それからしばらくして、


 「リズ、あれから騎士団から連絡って何か来た?」

 「来てないよ。サラもエキナさんからは?」

 「まだだよ。この事件は色々深いからまぁ、今はそのコーヒーをゆっくり飲むといいさ。」

 「そうだね、いただきます。」


 魔族を倒して(?)から1週間、

 あれ以降魔族とは出会ってないし邪素もドロップしてない。


 サラが言ってた、

 邪素の使い道の一つで、疫病や感染症と言ったバイオテロが起こせると。もし病院や学園で行動を起こされたら...と。


 それを受け騎士団が警備の強化をしている。


 カランカランッ...。


 「いらっしゃいませ...え!」

 「お邪魔します、皆さん。」

 「フヨウ、それにマロウちゃんまで!」

 「えへへ。」


 店に入って来たのはなんとフヨウとマロウ。


 「外出の許可が出来ましたので早速皆さんに会えると思う場所に来てみましたが、良かった。」

 「こんにちは!」

 「うわぁーんマロウちゃんここまで元気になったんだねぇー!」

 「メリー、せめて座らせてあげて。」

 

 あ、ごめん...。


 「実は皆さんにご報告がありまして。」

 「?」

 「マロウの容体が非常に安定化し始めまして、予定ではありますが8日後に退院が決まりました!」

 「なんと!」

 「えへへー。」


 驚いた、もうそこまで回復していたなんて!


 「8日後...待てよ?あれを観に行くのかい?」

 「?」

 「はい、そこから3日後...つまり今から11日後に□△劇場で公演がありまして、それを観に行こうと思います。」

 「サフラさんは出演するの?」

 「しないよ、ごめんね...。」

 「そっか...。」

 

 「あぁっ!!忘れるとこだった。」

 「ん?」


 マスターが何かを思い出した。


 「今朝ポストにこれが入っていてね...。」

 「トゥリパーノ家印の手紙...まさか。」

 

 トゥリパーノ...確かリップ先輩の...?


 「あ...いやまぁ...当日よりはマシだ。」

 「???」

 「...マロウちゃん、私その公演出るわ。」

 「え?」

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