第6話 魔物襲撃
新入部員歓迎劇から1ヶ月。
相変わらず同級生から差をつけるように実力を伸ばす私。いやぁ便利だわこの辺、学習内容は中学生辺りので真面目学校つまらなく頑張ってた私にはわかってしまう。まぁこの前のテストの総合平均点はスリジャに負けたんですけどね。
(イエーイ!)
((チクショー!!))
それからは2人揃って図書館で自主勉強。
スリジャも加えてね...。
ああちなみに私達の長所はバラバラ。
・サラ(私)...派手な魔法が使えない、物理系。
・カメリア...物理も魔法も得意、ザ主人公。
・スリジャ...物理は苦手、頭脳、魔法系。
...と見事に3タイプに分かれている。
実を言えば私、ファイアボールとかのようなザ・魔法!とかそう言うのが苦手です。
得意なのは思考加速や足音消しや気配消し。
要するに周りから目立たないスキルが得意。
学校成績的に派手なの一個二個あった方がいいんだけどな...くそぅ。
「うぐぐ...座学はいつもリズに負けてしまうよ...。」
(ぐぬぅ...異世界や魔法関連の知識は向こうの方が上だ。数学と物理とかいった共通知識しか勝てる見込みがねえええ....。)
「「はぁ...。」」
「おーほっほっほ!手伝いますから頑張りなさいよー!」
ある日の夕方、
私達はテストで間違えた所をとにかく復習するのだった。
ーーーーーーーーーー
結局3人とも疲れて下校。
食堂でさっさと甘いもの食べたーいな雰囲気を纏わせる。
心で言うより口に出して言おう。
「あああああーーーーーーーー疲れたあ!」
「ひゃあああ!横で叫ぶんじゃないわよサラ!」
「ふぅ、スッキリ!」
「あたしゃストレス溜まったわ!!」
「あっははは、はは、はっははは!!!」
私は疲れた。
スリジャのストレスが溜まった。
カメリアがツボった。
ただでさえ物語の根幹に介入してるのにちゃんとシリーズ3到達出来るか?いいや到達するね、じゃなきゃ面白くねぇ。ただの未来改変じゃ面白くない。
友達...いや、お人形さんと今は遊んでるだけ。
そう、つまらない灰色の日常を私色に染めるために利用する...お人形さんと遊んでいるだけなんだ。
メリーとリズは私の...
「キャーーーーッ!!!」
「!!?」
え、ちょっと待って。
事件発生!?
...正直疲れている状態である以上逃げたい、だがおそらく2人なら...。
「行くよ。」
「うん、この先だからどの道避けて通れないわ。」
だろうな、引き返すか寮に向かうこの道真っ直ぐ進むしか選択がない。回り道もない、引き返す選択肢もない、引き返して先生達や見回りの騎士団を呼んでもさっきの悲鳴をあげた人の身に何が起こるか分からない。かといって誰か1人が引き返せば別のトラブルに巻き込まれる可能性もゼロじゃない。
後で怒られるかもしれないけど下手な行動はよそう、今は多数意見に従うしかない。
思考加速終了。
「...行こう!」
幸い鞄の中に護身用ナイフを隠している。
最低限は戦える、こうなりゃ冷静にやけくそだ!
...何を言ってるんだ私は?
「あ、いた。...ってあれ先生だ!」
「先生...何先生?」
「えーと...そうだ魔道具の科目副担任のチア先生だよ!」
「「はぁ!?」」
まずい、魔道具...と言うか魔法関連の教師はレベルが高い。ディスティニーブレイブは1〜100までのレベルが存在する。学園の教師のレベルは最低でも34はある、今の私達はせいぜい15レベル。そんな人がでかい悲鳴あげるほどって何が起きた!?
「チア先生ー!!」
「!?、逃げて!!」
「ガチチチチチッ....!!!」
「ぁ...っ!?」
その鳴き声に聞き覚えがあった。
「蜘蛛の...魔物!」
「何この数!?」
そう、本来の世界線の私を殺した蜘蛛の魔物...それの群れだ。
とうとう来たか、カメリアルートの難点...魔物襲撃率上昇!!!
「先生腰抜かしてる場合じゃない、逃げるよ!!」
「え...ええ!ごめんなさい...!」
カメリアとスリジャが腰抜かした先生を支える。
「サラ!」
「緊急信号玉、飛んでけ!!!」
私は空に向かって信号玉を投げる。玉は強い光を発するとそれに反応して各地の騎士団が返事用の信号玉を光らせる。
だが少し距離がある....やるしかない。
「メリー、リズ!先生を安全な所に!!」
「え、ダメだよサラ!」
ダメなのはそっちだ!
ここは森の中、魔法ぶっ放すのは危険がある!
...というのは表向き。
魔物襲撃はなぁ...経験値がウマウマなんだよおおおおーーーー!!!!
説明しよう!魔物襲撃イベントは文字通り魔物が襲撃してくるイベントだ。基本的に20体以上の魔物が学園や町を襲撃するという内容なのだが、実はこのイベント...魔物の経験値が普段の1.5倍あるんだよ!
くぅーーーー....騎士団がいればタンクさせて楽に討伐していたけど...仕方がない!
「ごめん、頼んだ!!」
「サラーーーー!!!!」
魔法発動、
足音消去魔法「サイレントウォーカー」
半透明化魔法「トランスルーセント」
ヘイト増加魔法「マイヘイト」
知覚妨害魔法「フィエルジャミング」
風圧軽減魔法「ウインドスルー」
そして魔法を使い維持するためのエネルギー、マジックポイントことMPを回復させる薬MPポーションガブ飲み!!ブハッ!!
さぁこい...半透明で知覚妨害によりまともな視認が不可、その上ヘイト上昇で相手に注目してしまう、だが感覚がおかしくて混乱に陥る!
「でやああああーー!!!!」
護身用ナイフで蜘蛛をとにかく斬る。
よし、とりあえず周辺にいる6匹はなんとかなりそうだ。だがこれが襲撃イベントならまだ奥に...本隊とも言えるのがいるはずだ!
「ガチチチチチ....ッ!」
「!、そこだ!!」
しかし...ここはゲームじゃない。
現実。
ゲームのようにご都合には動かない。
ゲーム通りの先読みは出来ない。
ザシュッ
「あ...やば。」
キラッ...
私のナイフが頭部に突き刺さった蜘蛛は他の蜘蛛と違って赤色。
コイツは襲撃魔物...先遣隊のリーダーだ。
何がまずいのかというなら...知らせる力。
コイツは自身が死ぬと本隊に自身の死を意味する光を発する。
それは軍体にとってそこに強い奴、脅威になりうる存在がいるという意味合いになる。
そう、私はその先遣隊のリーダーを殺してしまった。
つまり....これからくるのは。
ドドドド.....
「...やらかした。」
数々の黒い蜘蛛、
赤いラインの入った黒い...大きな蜘蛛。
「襲撃イベントでボスの出現率は50%、それを避ける事は出来る。でも今回はやらかした、むしろやられた。私は炙り出されたのか...。」
「ガチュルァアアアアーーーーー!!!!」
あはは...やばい。