第59話 勇者:萌芽
origin...
ついにレッドグリズリーを倒した。
その功績を皆が驚き、讃え、憧れた。
しかし私は何も思わない。
なぜか、レッドグリズリー1頭倒した所で救われる命なんてたかが知れるからだ。
私が求めるのは力。
誰かを守れる強さだ。
こんな所で立ち止まってる場合じゃない。
感傷に浸る意味もない。
「メリー、どこに行くの?」
「図書室だよ。この前改装が終わったし色々調べようと思ってさ。」
「私もついて行っていい?」
・1人になりたいの...。
▶︎いいよ。
「いいよ。」
「それじゃ行きましょ。」
〜〜
「...あ、すみません。」
「...?」
▶︎○○の本でどちらにあります?
・その本って風の丘の魔物図鑑ですか?
「...向こうの端、青い本が並んである。」
「ありがとうございます。」
〜〜
ーーーーーーーーーー
real...
「リズ、そっち!!」
「インパクトカッター!!」
「ギャウッ!?」
ここは風の丘。
学園からは少し離れた場所にあり、薄明の森の魔物よりレベルが高い。
この日カメリア達は授業でやってきていたが、
偶然、狼魔物の群れが現れた。
どうやら縄張り拡大で送られた下っ端で、やってきた所を鉢合わせた様だ。
狼達はここの縄張りは我々のものだと言わんばかりに、いきなり皆に襲いかかる。
しかしカメリア達はこの程度のアクシデントは想定内、授業の一環として他の生徒に戦い方を教え始めたのだ。
教材としか見られてない。
大変だね。
「ギャウッ、ギャウ!!」
「逃してもいいのですか?」
「仲間が大元の群れに危険だと伝え、来なければヨシ、群れの中枢が来れば叩き潰せるチャンスにもなるでヨシだから別にいいよ。」
「わぁ...。」
「さて、授業再会しますよ!」
ちなみに今日は科学の授業で、薬草採取に来ていた。
「...す、凄かったです。」
「フヨウ。」
フヨウ・ベローズ
彼氏候補キャラクターの1人。
前髪長めで大人しく、あまり誰かと話そうとせずいつも図書室で独り本を読む典型的な隠キャである。
「グリーンウルフは連携が得意だから数が多めの群れで来られると対処が難しいから逃げなきゃって思ってたけど...皆さんはすぐに対処したどころか教材にするなんて。」
「前のソニックビーの一件もあったからね。この辺りのレベル帯なら私達はどうって事はないからさ。」
「本当に凄いなぁ、カメリアさん。」
「おーいフヨウ、これ見分け方教えてくれー!」
「わ、わかった!」
(フヨウも凄いと思うけどなぁ、座学はリズ
程じゃないけどこの前のテストはハイビスには勝っていた。それにこの辺りの薬草は何があるか把握してるし見分けもしっかりしている。皆んなの役に立ててるじゃん。)
「戦闘だけが全てじゃない、彼はいい例だと思うな僕は。」
「そうだね。私のような人間はそういった人達を守る為だ。お互いがいてこそだ。」
「ああそうだ、ヒマリが。」
「?」
ヒマリが変な物を見つけたという。
「カメリアさーん、こちらです!」
「なんだこれ?」
「うわっ!?」
それは黒紫の結晶。
解析しようとリズが手をかざすと、
結晶が消えて無くなったのだ。
「...今のは?」
「他に無いか探そう、嫌な予感がする。」
「私はもう少しこの辺りを探しますわ。」
「僕は向こうを。」
...見た事も無い結晶だった。
なんというか...淀んでる?
「先生に報告してくるよ、何事も無ければいいけど...。」
「何事...そうだ!」
「リズ?」
「それでここ来たのね。うーん...多分、魔結晶かもしれない。」
「魔結晶?」
リズの提案でサラのいる喫茶店へやって来た。
サラならもしかしたら何か知っているかもと。
ここ最近サラは喫茶店の看板娘として話題になっており、お客さんの話を聞きわからない事があれば教えてくれるらしい。
「えーと...これと似た形だった?」
メモ用紙には今日見た物と似た絵が描いてある。
「そう、こんな感じ。」
「なら間違いないな...。」
「サフラさん、魔結晶とは?」
「魔結晶は魔族領で産出される魔力を含んだ希少な宝石なんだ。ゴーレムの魔導コアに使える程じゃないけど材料として使われる事はあるね。」
「それがどうして?」
「なんであるかはわからない。でも可能性は2つあるんだ。」
1つ目はその狼魔物から。
稀に魔結晶は魔族領やその付近で暮らしていた魔物の体内に発生する事がある。どう訳か魔物に悪影響は無く寧ろ強化される。
倒した際に確率でドロップするけど消えるって話は聞いた事もないし知らんぞ、怖。
2つ目は人為的に。
いくら魔力の含有量が少ないとはいえある事に変わりはない。簡単かつ単純な魔法なら仕込む事ができる。ただし高品質な魔結晶じゃなきゃ出来ないけど。
ただ刺激する程度なら出来る。野生生物ならすぐパニックを起こしたりするから。
「ギラギラ騒動終わったばかりだけど騎士団も出張ってもらった方がいい案件だよ。私が言えるのはここまでかな。」
「わかった、ありがとうサラ。」
「どういたしまして。それとコーヒーどうぞ。」
ーーーーー
その日の夜の事...、
さてさて、ストーリーイベント発生したな。
魔結晶がついに出たか、悪い魔族の介入もそろそろ始まって来るな。
しかし変だな、魔結晶が消える?
あれはドロップ品で合成や魔道具関連の素材として使えるはず。ヒマリ曰く倒した魔物から得た訳じゃなくその辺に落ちていたらしいからドロップ失敗演出なんかじゃない。
じゃあなんだ、気になるなら現地に行くのが一番。
お着替え完了ーっ!
「じゃ、行きますか。」
コンコンッ
「お待ちなさい、これを。」
「マスター?」
ドアを開けマスターからそれを受け取る。
「特殊な素材で造られたケースです。これなら消える前の魔結晶を保存しておけるかとお嬢様からお預かり致しました。」
「なんと、ありがとうございます。」
「お気をつけて。」
黒髪赤目の黒紫ゴスロリ、
ただいま出動!
いやぁ最近はお客さんから色々聞かれたり話したりで、すっかりゲームの情報提供キャラクター的立場になってしまった。なんでも看板娘として噂になっているらしい。
妙な形だが物語の存在として復帰は出来た様だ。
現在はChapter.2辺りだな、
多分メリー達はもうフヨウに出会ったかな。
アイツは隠キャで戦闘は不得意だけど知識に長けサポートスキルが充実している。友達になっているなら役に立ってくれるさ。
えーと薄明の森付近の街道から進んで...見えて来た。
Chapter.2で追加するステージ、風の丘。
さぁて調査開始...おわあ!?
「貴様、何者だ!!!」
...マジかよ。
抑えても桁違いに感じる魔力とオーラ。
「え...エキナさん...!」
「ん?...君どこかであったか。」
出たよ前作プレイアブル!
これはシャレにならん、
私は咄嗟に武勲の勇証を見せる!
「それは...鑑定。」
武勲の勇証には個人ID的なのが組み込まれている。
偽物だったらいけないからね。
「馬鹿な...本物?それも私が君へ発行した...君は本当にどこかで?」
「[灼熱界]と[寒冷界]をほんの一瞬でもいいのでオーバーロードさせてください。」
「!?...なぜ君が、いや...わかった。」
エキナは双剣をクロスさせ、己の魔力と同調し桁違いの魔力を発生させる!!
メリーの比じゃない。
「...な!?」
「思い出しましたか?」
エキナは魔力を即座に解除、私に大して驚愕な表情を見せ、涙を見せる。
「君は...あの時の!生きていたの!?」
前作最高ランク武器である灼熱界と寒冷界は作中設定で神器と書かれている。その製作者はとある神であり、内包魔力は計り知れない。
それを世界最高クラスの実力者であるエキナさんであれば神の力を引き出せる。己の魔力と同調しているのでその瞬間神の域へ達した事でロストの呪いによって消えていた記憶が蘇ったのだ。
「お久しぶりです。」
と言ったら強く抱きしめられた。
「うわああああん!!!もう、どこ行ってたのよ!!」
「色々ありまして、伝説級の呪いのせいで今は皆の記憶から私が消えているのです。」
「なっ...そうだったのね。」
「...再会を喜びたいところですが、エキナさんはどうしてこちらに?」
「ああ、魔結晶が発見されたと聞いてね。」
「もう調査が始まりましたか。私もそれの調査で来てまして。」
「そうなのかい?」
「喫茶店メモリーはご存知ですか?今はそこで住み込みで働いています。」
「ソレイユ家の下で...上はその事は?」
「知っています。ヒマリお嬢様からも調査を頼まれています。」
「そうか、なら一緒に調べるとしよう。信用出来る人手が多いに越した事はない。」
「よろしくお願いします。」
魔物A「なんだあそこ...。」
魔物B「本能が言っている、近づけば...死ぬ。」
どう言う訳かその日魔物は襲って来なかった。




