第57話 運命:赤き勇者と消えた記憶
「ねぇ知ってる?あの喫茶店の新しい店員さん...。」
「ええ、綺麗だったわね...。」
「俺達と同じ歳に見えたけど...学園の生徒にいたっけ?」
あれから3日。
何やら噂が。
「喫茶店って...東の端っこにあるおじさんの店かな。」
「新しい店員さんだって。その内行ってみよっか。」
「ええ...それはいいんだけど。」
ざわつく競技用会場。(お道具箱)
現在夜7時。
「...確かに私は彼女に3日後の夜、競技用会場で待つとは言った。その日に会場借りる手続きはハイビスがやってくれるって...。」
チラリとハイビスを見る。
(学園長に話を通したぞ)とチラリ、
(生徒に立ち入らない様教頭に)とチラリ、
(ちゃんと勧告はしましたが)とチラリ、
(なんかつまらないので上記取り消して観戦OKにしようと3人で決めました!テヘ!)とハイビス。
「...。」
...もう気にしない。
「さて...7時...ん?ねぇメリー、」
「どうしたの?」
「彼女に“何時”かは伝えたの?」
「あ。」
「...嫌 な 予 感 はしたけどその場の 雰 囲 気 で 夜 っ て だ け 言ったわね?」
「あの...ハイ...ゴメンナサイ...リズ様...。」
「ねぇメリー、何時集合だった?」
「ごめん言ってなかった...。」
「もういいんじゃな...、」
え?
「ん?」
何かありました?と言わんばかりのキョトンとした顔で私達の後ろに立っていたサフラ・アコニリン。
「おお!?見ろよ来たぜ対戦相手!」
「すげぇ、噂通り人形みたいに綺麗だ。」
「なんと素晴らしいゴスロリっ娘...イイ。」
「学園の生徒か?オルトロスと仲が良いみたいだぞ。」
「あれ、最近どっかで見た様な...?」
会場が一気にざわつく。
「メリー...聞いてなかった私も悪かったけど。」
「...ゴメンナシャイ。」
「それでルールは?」
「それは僕から、二人ともステージへどうぞ。」
「頑張ってくださいね、サフラさん。」
私とサフラ・アコニリンはステージ中央へ立つ。
向かい合い、改めてお互いの姿を見る。
(サフラ・アコニリン...以前シアが大切な主の為にゴスロリ作ったとか言ってたけど...間違いなくこの服だ。彼女の戦闘は毒の魔剣と高い機動力に加えゴーレム回路のよるパワー増強もある。はっきり言って全てのステータスが高水準と見ていい、どこか隙を見つけないと勝機はない...。)
(見た事もない装備だ...騎士団の最新機種っていうか新型の鎧か?メリーの事だから騎士団から何か話があってもおかしくはない。でも問題はあの凶刃双剣だ、アレのパッシブは攻撃スキルとしては中々に凶悪すぎる、当たらなければどうとやらなんて考えてる場合じゃないメリー相手でそれはきつい!今の体は機能を失い死人同然となりゴーレムとなったせいでレベルが無い、強さがロスト魔力の出力次第になっている。だからと言って元がモブステータスの私では単純な戦闘力は永久にメリーには勝てない。どこかつけ入れる隙はないか...?)
((ならごり押しで無理矢理作る!!))
「ルールは審判の判断によって勝敗を決めます。また、相手を殺す事、観客への攻撃は反則と致します。観客の皆様もステージへの介入の一切を禁じます。勝者には相手から欲しい物を得ることが出来るのは知っているな?それでは改めて、紹介しよう!我らが学園の十聖にして頂点たる戦士、カメリア・レッドペタル!!!」
「うおおおーーー!!!」
「カメリア様ー!!!」
メリーは凛とした姿で立つ。
流石主人公。
「対戦相手は、騎士団の精鋭を圧倒しかの公爵令嬢が認めた実力ある魔剣士、サフラ・アコニリン!!!」
「おおおーーー!!」
「アレが噂の美少女!!」
意外と人気がある、あの子。
やっぱり綺麗だよねあの髪、羨ましい。
「さぁ両者準備はいいか!!」
「「...!」」
「試合開始だ!!!」
ーーーーー
開始直後、両者の姿が消えた。
瞬間、強く激しい剣のぶつかり合う一撃が会場に響く!!
(なんてパワー!)
(うっげ、正面はまずい!!)
サフラは傘を開く!
「な!?」
後ろに回り込み手刀を、
カメリアは気づく!
「アタック・ワン・ゼロ!!」
「やっぱりか!!」
防御魔法アタック・ワン・ゼロ、
一度の戦闘で一回だけ使える防御魔法。
どんな攻撃も一撃だけ無効化する!!
「はああっ!!」
「っ!!」
左手のフェイタルアームでカメリアのカウンターを防ぐ!!当然ゴーレムパワーを結構持って行かれた。
「この前の!!」
「破壊不可の魔シリーズは盾としても使えるんだ!!どりゃああ!!」
「っ!!」
掠めた!
ファーストアタックは貰った、継続ダメージと耐性0.9倍化!
「っ!!」
傘を拾われた、その上私は耐性が下がった。
初撃は取られたか...やるな。
...思ったより早く、[奥の手]を使う事になりそうだ。
(さてどう動くか、パッシブ効果は1分間だ。)
(...距離をとって動きを止めた。冷静だ。)
「凄いですわね...始まった直後であの動き。」
「メリーが動くわ。」
メリーが消えた!
この風切り音、加速魔法を使ったか。
さぁどこからくる...、
...
...タンッ、
「そこだっ!!」
ガンッ、
「なぁ!?」
そこにカメリアの姿は無い。
気づく、さっき聞こえた足音は風魔法で作った囮。
そこに風魔法ブラストで私の集中を向けられた。
メリーは後ろだ!!
「貰った!!」
「ィッ!!」
ゴーレム回路の出力を上げて治癒力を上げる、
回路の損傷は不味い。
急いで修復、その上で即反撃!!
攻撃こそ最大の防御!!!
私は魔剣にゴーレム回路を通し擬似ビームソードを作る!
「その剣は!」
メリーの魔剣と打ち合うたびに接触部のゴーレム回路が損傷する、凶刃双剣の魔断の力だ。今のメリーは私の持久戦に於いて相当相性が悪い相手か!
「魔融合武法:堕天!!」
「うわっ!?」
サフラの魔融合武法!重力魔法で振り下ろす力を強化しているのか、あの魔剣を受けるのは危険だ!機動力を維持して戦わないと!
((強い!!))
「速い、なんてパワーだ!」
「メリーとここまで打ち合える人、エキナさん以外で初めてかも...。」
「この前の模擬戦がお遊びに見えますわ、あれが...あれこそがかつて学園最強を争った魔剣士同士の戦い。」
「それに勢いが落ちない、どんな集中力だ?」
(埒が開かない、なら!)
「せいっ!」
「!?」
足元から何かプツンと切れる感覚。
糸だ。
蜘蛛糸がどこかでくっつけられていた。
足掛けではない、一瞬気が逸れる事が狙い!
「今だ!!」
「!!」
「...え?」
赤い魔力と...”青い魔力“が弾けた。
一瞬見えたどこかで見た光...まさか。
「でやああ!!」
「この腕力、マジか!!?」
あの軽鎧...ゴーレム回路を敷いてあるのか!!
「あれは?」
「とうとう使ったね。」
「騎士団の試作型魔兵器。長時間はまだ使えないが...。」
剣を打ち込む瞬間と移動の瞬間にのみ使っている。さては3年前暗殺部隊の親玉と一緒にいた人が完成させたのか?
起動しっぱなしの私と違って相当な技量を要するが無駄な消費魔力を減らせる。その上ただの通常攻撃が武法に匹敵する威力になっている。身体機能そのものをゴーレム回路で動かしている私と違って純粋な強化。...凶悪なとっておきじゃないか!!
「魔導回路接続、レベル1。」
「なら...ロスト・ストレージ!」
「!」
赤黒い魔力が私から溢れだす。
センカを倒した時になった姿だ。
普段からロストから供給される余剰魔力をアイテムボックスに貯めており、必要な時にこうやってチャージするのだ。
その結果肉体が過剰な魔力で継続ダメージと治癒力の両方が働き不安定になるが。
「さぁ来いメリー、お互いの手札はこれで見せ合った。」
「...すぅ。」
両者の魔力が昂る、
青白い魔力と赤黒い魔力がはっきりと燃え盛る!
「「魔融合武法...!!!」」
「リズ、ヒマリ!会場のバリアを強化だ!!」
「そして避難ですわ!!!」
「絶断!!!」
「堕天!!!」
激しい魔力がぶつかる!
眩い光がステージから溢れる!
「「はああああああ!!!」」
「なんて魔力...!!」
「伏せろリズ!」
負けるか、今日こそ勝ってみせる!!
『見せてみよ、カメリア・レッドペタル!』
「!!...ようやく出たか。」
メリーの髪の毛先が桃色になった!
Chapter.1の終盤追加される機能...英霊!!
やはりメリーに憑いていたのはお前か!!
「戦の女神...アテナ!!!」
『んふ...直接会うのは初めてね!』
やはり神だから私を知っているか!
ロストの魔力すら超える存在!
「シア...英霊必殺だ!」
魔剣ゴシック・ポイズンは姿を変え、
白銀の刃を持つロングソードへと姿を変える。
以前よりも美しく洗練された刀身が魔力で赤く染まる!
「勝つ...、」
「のは...、」
「「私だあああーーーーー!!!」」
互いの今持つ全力を出した。
Chapter.1で終盤展開の様な事をした。
そうでなきゃ今のメリーと戦えなかった。
そうでなきゃ...、
「もっと早く負けていたからさ...。」
私は膝をつき、
メリーは立っていた。
「それまで!勝者カメリア・レッドペタル!!」
観客席にて...、
「なんじゃ、なんじゃありゃあ!!」
「お嬢、はしゃぎ過ぎるな!」




