第39話 またね②
王都...とある劇場の衣装部屋にて。
「わぁぁ.....!」
「綺麗...お人形さんみたい!」
「どーう?盛り上がる終盤を飾るにはいささか地味だと思ってのぅ。本を見て思いついた限りだけど、夜のうちに作っておいたんだ。」
「シアさんって言葉遣いやっぱそういうのがいいの?」
「うむ!」
おいおいおいおいなんでみんなツッコまない?
本番直前で突然の衣装変更ってどういうこっちゃ?
練習では黒くキラキラしたドレス着ていたけども今はなんだこれ、
「黒と紫のゴシックロリータ...いいじゃない!!」
いやいやいやリップ先輩、確かに私好みだけどさ。
劇だよ?
本番前だよ?
もう劇場にお客さん入ってるよ?
「こんな見た目で良いのですか!?」
「大丈夫よ、邪神クチナシがどんな見た目で登場するなんて広告ネタバレしてないから!」
「で、でも邪神クチナシがこんな衣装って...、」
「どの演劇でも邪神に決まった衣装はないから問題はないよ。」
「...確かに、かっこいいし可愛いけども。」
「「「なら決定!!!」」」
ダメだ先輩達は何がなんとしてもシア謹製ゴスロリを着せたいらしい。これ以上の抵抗は無駄だろう。
でもまぁシアが作ってくれた服なんだし、無碍にするのは酷だ。徹底的に私に合わせて作ってくれたようだし。
案外いい効果付いてたりして......え。
・バディズ・ゴシックロリータ...
物理防御力、250
魔法防御力、250
耐久力、-(破壊不可)
重さ、20
パッシブ、[毒属性強化][身体強化1.5倍]
[魔力の鎧100]
...おかしいな、騎士団が使ってる良い鎧でも防御力は100前後だっていうのに。未強化で金属より頑丈ってどゆこと?
しかも魔力の鎧100って...生身の部分にも物理魔法防御が100も適用されるってことだぞ?
仮にパンツにこれの付与するとしよう、これがあればパンツ一丁で鎧に匹敵する頑丈な肉体を得るって事。どこの戦闘民族だ?
ゲームシステム上では物魔両方に数字分防御力が加算される。実質防御350、ストーリー中盤以降の防御超えたな。
(...シア、何このガチ防具?)
(ただの[俺]謹製の服だ!)
(一人称も戻ってるのね...。でもありがと、シアは本当に器用だね。羨ましいよ。)
(フフン!)
シアの人間体はナイスボディな美女だっていうのに喋り方はなぁ...なんて事は正直私は然程気にしてはいない。仕草は普通に女の子だし可愛いし家事も裁縫も出来る。最近はよく人間体で一緒に学園生活送ってたし気づいたらファンクラブも出来てたし。
結婚したら良い奥さんになるよ。
十聖服もあるのにすんごい良い服もらっちゃった、メリーとリズの分も作ってもらおうかな?
「例えば...こういうポーズ?」
「きゃーーー!!!」
うむ、似合ってるぞ!ってシアの声が先輩達の黄色い声でかき消された。
コンコンッ
「ん?はい。」
「アカンサスさんすみません...、」
「...わかりました。」
「どうしました?」
「国王様や貴族の方々がご到着された。そろそろ公演が始まる、気を引き締めよう。」
「はい!」
ーーーーー
劇場内、特別観覧席にて。
「...ふむ、今年は観客の期待の眼差しが一段強く感じるな。」
「はい、今年選ばれました王国立学園の演劇部は大変練度が高いと聞いております。」
「なんでも、今年の新入生の一人が非常に高い実力を持っていたと娘から聞いております。娘もこの舞台に来ており父として誇らしい限りです。」
「そうか、お前の娘も学園の生徒だったな。」
「何年経ってもその親バカは治ってないな?」
「やめんかい。」
「はっはっは、そろそろ始まるぞ。」
「あの人がマール王様...。」
「そうよ。」
「へぇー、もっと怖い人かと思ったけど。」
「メリー...まぁ、実際私もそう思ってたり。」
二人は引き続き警備を担当している。
流石に立ちっぱなしは辛いだろいという事で道側の席に座って入る。まぁ何かあっても二人なら動けるだろう、念のため使い切りの魔法道具を隠し持たせているからいざって時は動けるはず。
特に今のリズならレベル50の敵から拘束魔法を受けても大体は20秒もなく解けるだろう。拘束直後に敵が何かしてこない限りは脱出できる。
何より、カメリアとスリジャ以の他にも十聖も警備係になっている。加えてあちこちに騎士団、観客の中に仕草からして暗殺部隊らしき人物がいる。国王がいるだけあって並の警備じゃない。
これで何か仕掛ける方がとち狂ってるだろ。
ちなみに私は二人の目を通して会場を見てます...あれ、これブーメラン?
「サフラさん、始まりますよ?」
「ん?ああ、すみません。」
私の出番は後半なんだけどなぁ、まぁ傍から見ながら台本をもう一回くらい見ておこう。
「大変お待たせ致しました。それではこれより王国立学園演劇部による人族と魔族の大戦劇[ニンゲンの心]の開幕です!」




