第38話 またね①
修正 シアの喋り方
「数百年...人族。」
「我ら魔族。」
「「人間を争わせ、地獄を作った狂し神は滅びた!!」」
「我らが争う理由はもう無い!」
「憎しみあれば我の下へ集え!」
「この手はもう剣を取る手では無い!」
「「互いを結ぶ手だ!!」」
わー、ぱちぱち。
昨日の最終リハーサルを思い出しながら、汽車の特等席で窓から景色を眺める私。いやぁ、機関車は便利だよ。近代化インフラ万歳!!!
さて、熊ゴーレムの件から3日が経った。
今日は遂に例の日...私達演劇部による大舞台を公演する日である。
あれからレベルは少しは上げて、
カメリア...レベル26
スリジャ...レベル26
サフラ...27
あと少し戦えば28に届きそうなんだけどなぁ、意外と二人がクレイジーフェアリーを辻斬りしまくるから経験値が爆上がりでレベルが迫られてんの。
ため息が出るわ。
「どうしました、サフラさん?」
「いえ、なんでもありません先輩。ちょっと緊張しちゃって。」
「そうだよね、国王様が来るなんて何年振りかわからないし、期待度が増してるからね。」
特等席の部屋には私と勇者役と魔王役の先輩が相室になっている。
外には教師や十聖(私を除いた7名)全員と、
「...あの、私達が警備に出て良いのですか?」
「君達は十聖候補だからね、これから作る基準や覚えて欲しい事を考えた結果こういうの任せるのも悪い案じゃないと思ったんだ。短期間でレベル26まで上げた君達の努力なら信頼に足ると考えてるよ。」
「あ、ありがとうございます!」
メリーとリズが車両内の警備に選ばれていた。
国家重鎮が関わる件である以上学園は最高戦力を護衛に回したのだ。まぁ物騒な事件に巻き込まれた事もあるから出演者達を絶対に守るのはだろうけど。
そういう訳か今乗ってる列車は私達演劇部用で走ってる臨時車両。他の生徒は乗っていないというか乗れない。多分他の部分も徹底されているだろうな、そう考えると緊張感が走る。
思い返せ、アニメや映画ならこういう列車に乗っている時によく襲撃やら事件に巻き込まれるじゃないか、警戒...してたら疲れそうだ。その辺は警備に任せといていいか。
でも到着まで時間あるしなぁ、うーん...。
「あの、先輩。」
「どうしました?」
「この公演のテーマであるおとぎ話...58年前よりもさらに大昔に起きた大戦、これは本当にただのおとぎ話なのでしょうか?」
私の言葉にきょとんとする二人。
余程おかしい事でも言ったのかと思いきや、
「僕は違うと思うな、きっと...うん、本当にあった事だと思うよ。」
「そうね。私が知っている話だと、はるか昔...58年前よりさらに昔は人と魔族の関係がもっと悪かったみたい。」
「大戦が終わり、それからも何度か大きな戦は起きたけど、起きる度に規模も両種族の対立意識も減った。実際今の時代には多くの中立派が存在している。」
「なんで対立したのかは知らないけど...私から言えるのは人と魔族なんて大して変わらない、人だって魔法で角も翼も出せるから。」
「偽装魔法も進化しましたね、でも宝玉眼はまだまだって感じがするわ。」
この二人は魔族に対する敵意を持っていない。
人と魔族が今より分かり合える世界を望んでますって気持ちが見てわかる。
このゲームを知ってる私が言うならば。
「...そう遠くないうちに、その日はやって来ると思います。努力って時が掛かっても必ず結果が現れますから。」
「そうか、ありがとうサフラさん。」
二人はとても嬉しげな笑顔を浮かべていた。
二人はそんなにこのお話が好きなのか?
考えても無駄か。
今どの辺りだ?大して時間経ってないか。
はぁぁぁぁ....。
ーーーーー
「どうメリー、異常はない?」
「うん、大丈夫だよ。」
「駅まではあと15分って所ですね、もうすぐ街に入りますよ。」
「生徒会長、王都に入る辺りが特に危険かと思いますが...。」
「そうだね、この車両の外にも一応監視魔道具は設置されてるとはいえ、見晴らしのいい景色と賑わう街中...隠れるならどう考えても後者だ。」
「はい。」
「うん、王都に入る前に念のため皆さんにも連絡するよ。」
「やっほーメリーちゃん、リズちゃん!」
「副会長!」
「やーもー!いい加減キリスって呼んでもいいのよー?」
副会長もこっちの車両にきた。
持ち場はワブキ先輩に任したようだ。
私は現在演劇部の護衛の為に車両警備を十聖の皆さんと共に任されています。
こんな大きな仕事、いきなり任されたので緊張が抜けきらないです。
なんでいきなり任せてくるかなぁサラは。
↓カメリアの知らない所であった事。
(大変だ!○○先生と△△先生が都合が悪くなった!)
(ええ!?二人とも車両警備担当じゃないか!?急じゃんどうするの!?)
(んー...待てよ、リンド君が十聖候補に挙げていたあの二人はどうだろうか?)
(そうかその手が!早速サフラ君に言ってくるよ!)
(待て待てなんで本人に言わない?)
(え、友達からの誘いの方が...気楽じゃん?)
(ひっど。)
(...で、私から頼めと?)
(本っ当に申し訳ない!!!学園からの依頼としてこれ使っていいから!)
(なんで教師が賄賂を...[疾風ノ短刀]、レアドロップねぇ...引き受けましょう(キリッ)。)
まぁ、悪い事じゃないしいい勉強だ勉強。
ピクっ
「ん?」
「今下に何かいた?」
「変ですね、車両の下にも魔道具は設置しましたがこの当たりでは無かったはず...。」
「そもそも向きは変わっても動かない...まずいわこれ。」
その場の4人、違和感にすぐ気がついた。
「リズ。」
「任せて...探知、サイコキネシス!」
リズは何かを捕まえ、窓の方へ浮かべる。
「...これは!?」
形は違うが似ている...3日前に私達が壊したあの魔道具に。カメラっていう魔道具に。
「もう追ってきたの!?」
「落ち着いてメリー。カメラ自体は王都でも普及し始めた魔道具よ。前に見たアレとは違うわ。」
「でも...これは?」
「ギャアーーーーーーッ!!?」
「!?」
前の方から悲鳴...というより断末魔。
ガチャッ、
「あのぅ...この方でいいでしょうかー?」
『おーそいつだ、ご苦労。』
「わっ、シア!モネ先輩と...誰?」
『乗務員でーす、カメラを利用して主らを隠し撮りってやつをしていたそうだぜ♪』
「へぇぇ!?」
ガチャッ
「私達が普段どうしているか的なのを撮って週刊誌とかに売りつける気か?カメラは無機物だから生体感知の魔法には引っかからないからわかりづらい。...肝が座ってるねぇ???」
部屋からサラが出てきた。
「...売るだと?おかしな事を言いやがる。」
「あ?」
「いいか...若い女子ってのは撮りごたえがあるんだよ!!!!〈クワッ〉見ろこの写真!!窓から見える景色を楽しむそこの女の子〈ギラッ〉、揺れる列車の中で職務を真っ当仕様と背筋伸ばす君!〈キラッ〉年相応のテンションで友達と話す彼女ら!!〈ペカーン〉まだまだあるぞ他にはなぁ!!!!〈ゴゴゴゴゴ....〉」
「...サフラさん、こういうのは...君が一番得意だよね?」
「慈 悲 は な い 。」
その後車両倉庫からズタボロになった変態が見つかったとさ。




