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ゲーム世界に転生したので物語介入を始めます!  作者: 亜土しゅうや
Chapter.0
36/81

第36話 絶望的短期決戦

 「どぅおりゃああああ!!!」

 「グゥッ...!?」


 怪物が怯む。


 「サラ!」

 「デバフ強化からの...酸毒マシマシの一撃!!!」


 怪物の皮膚が焼け爛れる。


 「メリーもう一発!!」

 「武法[扇風乱流]!!!」

 「グォオオッ!!?」


 怪物の肉が抉られる。

 そして怪物の肉体は時間をかけ戻り始める。


 「おいおい...どうなってんだこれ。」

 「自然回復持ちなんてズルいよ!?」

 「それに視野が広いっていうか、どこにいても攻撃してくるわ...?」


 それは化け物。


 薄明の森のボス[レッドグリズリー]。

 ゲームのストーリーにおける最初のボスだ。


 赤い毛並みとおっとりとした見た目の熊だが性格は凶暴で縄張りに入り込んだ者はなんであろうと敵とみなす。


 だが同時に臆病。

 意外にも下手に縄張りの拡大はせず己のキャパシティ内で縄張りを維持する。


 推奨レベル...18以上。


 しかしどうだろうか、目の前にいる奴は。

 どう見てもおっとりの「お」の字もない見た目。

 2周り大きな体格。

 赤黒い毛並み。

 

 そして...青く光る額と後ろ首根っこ。


 レベルは...最悪60前後あってもおかしくない。

 正直、戦闘開始3分でジリ貧確定どころか絶望的状況となっている。

 今生きているのは下手に攻めず、前世のゲーム知識とこの世界で得た知識をフル活用してこそ。

 当然頭の回転と思考力を上げる魔法を使っている、正直頭が痛くなってきた。


 また、熊の動きが[生物の動きにしては妙]だから。


 「死角があるくせに狙ってくるのはおかしいな、単純パワーを見る限り被弾=死ではあるけども、動きがレベルの割になんか鈍いぞ?」

 「鈍いというか、僅かにだけど...動きに間があるわ。」

 「生物の動き...っていうより。」

 「「「物。」」」


 口を揃えて出した結論。

 その動きは生物というよりロボットのそれを感じる。感じた間とはゲームで言う、


 [Now loading...。]


 である。

 老化や病気の個体でもこんな動きはしない、そもそもそれだったら倒せている。


 「魔道工学系の部活が扱ってたゴーレムとどこか似ているわ。動作のどこかで僅かな間があるのを覚えてる。」


 だとすれば[額と後ろ首根っこの光り]と[死角を狙う動き]、そしてドローン。


 考えられる事は...、


 「魔法[思考共有]...これであってると思う?」

 「賭けるしかないと思うわ。」

 「動き方はさっきと同じでいいと思う。私はサラを信じる。」

 「おっけー、それじゃ...!」


 「「「散開!!!」」」

 「グゥッ!!!」


 ドゴォッ!!


 「グオオオーーッ!!!」


 怪物は大きな音がなった方向を...見なかった。

 真後ろであるにも関わらず。


 むしろ大雑把だが、散開して森の中を動き回る私達を捕捉し始める。


 「やっぱり、聴覚が弱っている。」

 「匂いで捕捉してる訳でも無さそう!生き物の五感じゃない、おかしいくらいはっきり見えてる!」

 「なんなら答えはとっくにあった!」


 ピーッ


 「そこだあああっっ!!!!」


 ガシャアッ


 「グオオオオーーーーーッッ!!!」

 

 森に隠れていたドローン。

 最初から答えはあった、これが[目]だった。


 ドローンのカメラで捕捉した景色や情報を熊に送っていたのだろう。多分脳とかが機械的な物に改造されてる可能性がある、額や髄が光ってたり聴覚嗅覚が鈍ってた様子を見る限り。


 文字通りの生物兵器だね、多分動作実験に巻き込まれたのかな?まぁこんな所で内緒でする時点で碌でもないのはわかる。


 「グゥゥッ!?グオオオオ!!?」

 

 お、向こうも破壊出来たな。

 でもまだあるっぽいよね、まぁ熊は視界を壊されまくって混乱しているし、今の間なら...。


 ゾォッ


 「...ッ!?」


 瞬影、


 今立っていた所を赤い光線が通った。

 ...純粋な魔力を飛ばしてきた。


 熊の体中に、頭部に向かって青い光の筋が入っている。あれは『魔道回路』、または『ゴーレム回路』。ロボットで言う銅線やら回路とかの役割を担う。要はゴーレムの魔力エネルギーの流れそのもの。


 これが可視化している状態はそれの出力が上がり、ステータス上昇バフが入る。


 思えばゲームでもゴーレムが魔力を光線にして発車する[レーザー]とかあったわ。


 ...やばい。


 レーザーは速すぎるし、撃った方向によってはどうなるかわかったもんじゃない。


 ゲーム自体はRPGなので相手からの攻撃は基本技で避けるかガードするかのどっちか。


 そしてレーザーなんて普通人が避けれるもんじゃねぇよ。ゲームの技あってこそ避けれたんだ、あたしゃ○ュータイプじゃないんだよ。


 加えて誰にどこに当たるかわかったもんじゃない、メリーじゃどこまで対策出来るかわからない。


 そもそも奴の動きを抑えると言う点であればメリーよりも私向き。


 ...私が行くか。


 「効くか知らないけど気配増加、マイヘイト!」

 「グウウッ!!!」


 流石に反応したか。

 ほらほらこっち!!


 「グウウァァーーーーーッ!!!」


 熊は私に向かって全力パンチ。

 避けると地面に熊の拳(前脚)が地面にめり込む。

 ズドガァアアッって地面が抉れた。


 当たってたらと思うとゾッとする。


 しかし視界が消えてゆく恐怖かヤケになっているらしく、地面を抉った前脚がそのまま地面に埋もれている。


 暴走し始めてるけど隙も大きくなった。

 酸毒、麻痺毒、出血毒、全部使ってでも抑える。


 ゴーレム回路が可視化しているなら倒せる希望がある。エネルギーの流れそのものだけあって破壊すると当然流れに支障が出る。自然回復を持っていたのはこれを[直す]為だ。


 なら。


 「グオオオオッ!!!」


 一か八か、私はゴーレム回路をなぞる様に斬る。

 少しでもエネルギーの流れを妨害するために。

 自然回復されようが何度だって。


 「グウウッ!?グオオ!!?」


 様子からしてドローンが次々と壊されているらしい。


 ああ、これならいける。



 ピピッ


 ...は?


 次の瞬間、私は爆炎に包まれた。


ーーーーーーーーーー


 すぐに目が覚めた。

 全身が痛い。


 やられた、どこかから来たドローンが自爆しやがった。やっぱり誰か見ていやがる。


 ッ!?

 鼻血だ、思考加速とかを使い過ぎたせいだ。


 やばい、脳が、オーバーヒート。

 

 動けない。


 持久力が足りな過ぎた。


 マイヘイトは今も続いている。


 熊がこっちに向かってレーザーを撃とうとしている。


 ...終わった。



 「また君かよ畜生!!!!」


 へ?


 「隊長!!!」

 「魔融合武法[フラッシュ・エッジ]!!!」


 熊の体に白い光が。

 熊が倒れた。

 私は誰かに抱えられている。


 ...ああ、騎士団が来てくれたのか。


 「しっかりしろ、そのレベルで無茶過ぎるがよく抑えてくれた!あとは任せろ。」


 意識を失う寸前まで私は考えていた。


 (最近血を流し過ぎだな、私。)

ひでぇ7月。

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